小池百合子(72)、都知事選にむけた都民をあざむく天才のバラマキ政策「高校無償化」

小池百合子(72)、都知事選にむけた都民をあざむく天才のバラマキ政策「高校無償化」

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導入 ― 「無償化」は善か、選挙向けバラマキか

「東京都の高校授業料“実質無償化”」。耳触りは良い。だが政策には常に財源と設計がある。2023年12月、小池百合子知事は都内の高校授業料を所得制限なしで実質無償化する構想を表明、翌2024年度から段階導入された[1][2]。私立を含めた都内平均授業料相当額(約48.4万円)まで支援するという設計は、家計に直球で効く。一方で、選挙タイミングとの重なり、受益と負担のバランス、私学の学費上昇インセンティブなど、論点は多い。

第1章:政策の骨子 ― どこまで、誰に効くのか

東京都の公表資料によれば、無償化は「所得制限の撤廃」が最大のポイントだ。従来は年収910万円未満世帯が対象だったが、2024年度から撤廃。都内私立高校の平均授業料相当額=48万4,000円を上限として支援すると明記された[1]。国の就学支援金と都の上乗せを組み合わせ、世帯年収に関わらず実質ゼロを目指す枠組みだ[2]

表:東京都「高校授業料・実質無償化」の整理

項目 内容(東京都の設計)
対象 都内の高校生(私立含む)
所得制限 撤廃(2024年度~)
支援上限 私立平均授業料相当(484,000円)まで
仕組み 国の就学支援金+都独自上乗せで「実質ゼロ」を目指す
申請 オンライン申請(6月開始等、年度ごと案内)

出典:東京都プレスリリース等[1]

第2章:タイミングの必然 ― 都知事選2024との“隣接”

表明は2023年12月、都知事選は2024年7月7日。連想は避け難い。選挙前に効果がイメージしやすい政策を打ち出すのは、あらゆる現職の常套手段だ。結果として小池氏は第3期を獲得(得票率42.8%)し、都政継続に成功した[3][4][5]。もちろん「だからといって政策が悪い」とは限らない。ただ「政治効果」を見越した打ち出しであった可能性は高い。

第3章:分配の正義 ― “普遍主義”は最適か

無償化は普遍主義(ユニバーサル)の色が濃い。つまり高所得層も給付対象になる。家計の安心感や少子化対策のメッセージ効果はある一方、機会費用の視点では異論が出る。「資源を手厚くすべきは本当に困っている層や、教材費・通学費など授業料以外の負担領域ではないか」――優先順位の議論だ。

教育費は授業料に限らず、入学金・施設費・制服・塾費など裾野が広い。東京都の支援で「授業料」は軽くなるが、家計全体負担が本当に軽くなるかは別問題である。特に私学の値上げインセンティブ(後述)が残る設計では、数年後の実質負担が逆戻りするリスクもある。

第4章:財政と価格の問題 ― “ステッカー効果”の落とし穴

公的補助が価格に乗ると、供給側がじわりと価格を押し上げる――経済学でいう「ステッカー効果」への懸念だ。私学側が平均学費を引き上げれば、都の上限に吸い寄せられる形で学費水準が高止まりし、制度の実効性が削がれる可能性は否定できない。東京都は上限額を「平均授業料相当」としたが、平均自体が上がれば天井も上がる構造である。

さらに、国全体の物価高や人件費上昇も重なり、教育コストは上方圧力が強い。報道でも学費負担の過去最高が指摘されている[6]。設計段階で価格監視ガバナンス(値上げの妥当性や透明性チェック)をどう組み込むかが問われる。

第5章:比較軸 ― 大阪・国の制度との違い

高校授業料の実質無償化は大阪など既導入の地域も多い。「東京モデル」の特徴は、家計所得で線を引かない普遍主義の徹底と、私学支援のボリューム感だ。国(文科省・就学支援金)も2025年度以降、所得制限の緩和・撤廃方向の見直しを進め、ベースの給付を一律化する流れが強まっている[7]。都の上乗せはスピード感で先行し、政治的メッセージ性が際立った。

第6章:受益者の内訳 ― 誰がどれだけ得をする?

仮に都内私学の「平均授業料=48.4万円」を上限とするなら、授業料が平均以下の学校では実質ゼロ達成が視野に入る。一方で、入学金・施設整備費・教材費などは制度カバー外が多く、学校間の実負担格差は残る。さらに、通学定期代は家計を直撃するが、ここは交通政策との接続が無いと軽くならない。つまり「授業料無償化」は強いが、トータル教育費の最適化には別レイヤーの政策が必要だ。

第7章:噂と政局の読み ― “無償化”は何を狙ったのか

政治ウォッチャーの間では、今回の設計に二つの読みがある。ひとつは「選挙対応型の普遍主義」――線引きを嫌う有権者心理に配慮し、批判を浴びにくい普遍給付で勝利の確度を高めたという見方。もうひとつは「分配より出生率のメッセージ」――東京の合計特殊出生率の低迷に照らし、若年・子育て層へ“象徴的な安心”を与える狙いだ。

陰謀論めかして言えば「都と私学の暗黙の共存均衡」――すなわち学費の構造を温存しつつ、負担感を“都が肩代わり”して可視化を抑える、という筋書きも囁かれる。確証はない。ただ、価格の統治学費の透明化が弱いと、制度は長期で歪む。

第8章:実務リスク ― 現場の手続・周知・不公平感

オンライン申請は利便性が高い半面、周知不足入力ミス、外国籍・ひとり親世帯での書類負担など現場課題はつきまとう。支給タイミングが遅れればキャッシュフローが厳しい世帯ほど打撃が大きい。ここは学校と都庁の窓口連携、NPOや区市町村の伴走支援が要る領域だ。

第9章:政策オプション ― “実質無償化”を持続可能にするには

  • 価格監視・情報開示:学費の構成要素(授業料・設備費・入学金等)の開示強化、年度ごとの上昇率の説明責任。
  • 非授業料費への重点化:教材費・通学費・デジタル端末費など、実費負担の大きい領域にピンポイントな補助。
  • エビデンス評価:進学率・退学率・家計負担・出生動向への影響をKPI化。3年ごとの見直し条項を入れる。
  • ターゲティング併用:ベースは普遍、だが低所得・多子世帯には上乗せ。二段ロケットで効率と公正を両立。

結論 ― 「耳当たりの良さ」を、設計と検証で裏打ちせよ

授業料の実質無償化は、家庭の不安を和らげ、教育機会の裾野を広げる“正のメッセージ”であることは確かだ。しかし、予算は有限で、価格の上方圧力は強い。都知事選前のインパクトに終わらせず、価格ガバナンスと実費負担の軽減、そして成果検証を一体で設計できるか――そこに政治の腕前が露わになる。


脚注・参考リンク

  1. 東京都「所得制限なく私立高校等の授業料支援が受けられます」(2024/5/29)
    https://www.metro.tokyo.lg.jp/information/press/2024/05/2024052909
  2. The Japan Times「Tokyo aims to make high school tuition free of charge for all」(2023/12/6)
    https://www.japantimes.co.jp/news/2023/12/06/japan/society/tokyo-high-school-tuition-free/
  3. Wikipedia「2024 Tokyo gubernatorial election」(公式結果・基礎データ)
    https://en.wikipedia.org/wiki/2024_Tokyo_gubernatorial_election
  4. AP News「Tokyo Gov. Koike wins a third four-year term…」(2024/7/7)
    https://apnews.com/article/japan-tokyo-governor-election-koike-women-10bd9e7940d17f1ad4fd8acb66c6a4be
  5. Reuters「Tokyo Governor Koike set to win re-election, exit poll shows」(2024/7/7)
    https://www.reuters.com/world/asia-pacific/tokyo-governor-koike-set-win-re-election-exit-poll-shows-2024-07-07/
  6. The Japan Times「Cost of private education through high school hits record…」(2024/12/26)
    https://www.japantimes.co.jp/news/2024/12/26/japan/society/school-fee/
  7. 毎日新聞英語版「Tokyo metro gov’t to abolish income limit for free high school tuition」(2023/12/6)
    https://mainichi.jp/english/articles/20231206/p2a/00m/0na/005000c