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麻布十番納涼まつりで76人が体調を崩した──2000円の蟹ラーメンが名指しされ、保健所は断定せず

2026年8月28日、東京都港区が一枚のコメントを出した。8月22日と23日に開かれた「麻布十番納涼まつり」で、みなと保健所に体調不良の連絡をした人が76人にのぼった、という内容である。

清家愛区長は「体調を崩された皆様に心からお見舞い申し上げますとともに、一日も早い回復をお祈りいたします」とし、区は出店者への立入調査を進めていると説明した。

だが、その同じ時期に保健所の担当者が取材に答えていた言葉は、こうだった。

「原因は全く断定できていません」

── みなと保健所/2026年8月27日、女性自身の取材に

9月2日の時点でも、病因物質は発表されていない。原因食品も特定されていない。港区の「食品衛生法違反者等の公表」ページには、この件に関する処分は1件も載っていない。

それでもSNSでは、8月26日の時点で答えが出ていた。1杯2000円の「冷やし蟹ラーメン」である。

この記事は、その一杯が白だと言うためのものではない。記録が残っていることと、まだ誰も答えを持っていないことを、分けて並べるためのものである。

麻布十番納涼まつりの体調不良、記録があることと、まだ無いこと2026年8月22日から9月2日までの経過。上段は記録が残っている事実、下段は9月2日時点で公表されていない事項。記録があること(上)と、9月2日時点でまだ無いこと(下)記録がある(報道・行政の公表・本人の投稿)8月22日(土)まつり初日。16時から雨、17〜19時で108mm。途中中止冷やし蟹ラーメンは約40食「700食余ってしまった」と投稿8月23日(日)2日目。雨なし販売時間帯は26.1〜28.8度冷やし蟹ラーメン約500食1杯2000円8月24日(月)「月曜の夕方から下痢」「月曜の夜から胃痛」など発症の申告はこの日に集まる喫食から20〜30時間後8月26日(水)正午すぎ、保健所に初通報同日夜までに5グループ6人16時29分、39度の投稿表示は180万を超えた8月27〜28日27日 商店街と店が謝罪、営業自粛28日 港区が76人を公表保健所が出店者に立入調査「原因は全く断定できていません」9月2日時点で、公表されていない病因物質何の菌・ウイルスだったのか。検便の結果も未発表原因食品23日に売った食品は、調査開始時にすでに残っていなかった76人の喫食の内訳保健所の説明は「そのうちの多く」。何人が食べたかは非公表「700食」の中身完成品なのか、食材なのか、予定数との差なのかも不明許可の種別と品目名臨時営業許可か、臨時出店届か。申請書の品目名も公表されていない行政処分営業自粛は店の自主判断。区の違反者公表欄は掲載ゼロこの図の読み方上段は、日付と出所が言える事実だけを並べた。下段は、9月2日の時点で誰も答えを持っていない項目である。SNSで名指しが始まったのは8月26日で、上段の右端より前。下段が埋まる前に、答えのほうが先に決まっていた。

上段が、日付と出所の言える事実である。下段が、9月2日の時点で空欄のままの項目だ。ここから、下段が埋まらないうちに上段の右端が動いていった順序を追っていく。

保健所が言ったのは「多く」であって、「全員」ではない

76という数字は、報道各社が同じ日に一斉に伝えた。ただし、その数字に付いていた言葉のほうが重要である。

TBSは「76人は下痢や腹痛、発熱などの症状を訴えていて、そのうちの多くが祭りで提供された『冷やしカニラーメン』を食べたと話している」と書いた。

FNNは「27日の夜までに76人から連絡があり、このうちの多くが『冷やしカニラーメン』を食べたと話している」。J-CASTニュースの取材に対して、保健所の担当者は「多くの方が蟹ラーメンを食べたとお話しになっています」と答えている。

三社とも、独立に取材して、そろって「多く」である。

「多く」は「全員」ではない。76人のうち何人が冷やし蟹ラーメンを食べたのか、その内訳は9月2日の時点で公表されていない。

媒体 日付 76人と蟹ラーメンの関係をどう書いたか
港区(区長コメント) 8月28日 76人という人数のみ。商品名には触れていない
TBS NEWS DIG 8月28日 「そのうちの多くが」冷やしカニラーメンを食べたと話している
FNNプライムオンライン 8月28日 「このうちの多くが」冷やしカニラーメンを食べたと話している
J-CASTニュース 8月28日 保健所の発言として「多くの方が蟹ラーメンを食べたとお話しになっています」
日テレNEWS NNN 8月27日 この時点の6人(男性2・女性4)については、6人とも蟹ラーメンを食べていた
まとめブログ 8月28日 「全員が『こめおの冷やし蟹ラーメン』を食べた模様」と見出しに書いた

最初に保健所へ届いた6人については、日テレが「6人とも蟹ラーメンを食べていた」と報じている。ここは全員である。

その6人が76人に増えたあとの内訳は、同じ形では出ていない。にもかかわらず、まとめブログの見出しでは「全員」に変わっていた。行政も報道も一度も言っていない言葉が、拡散の途中で足された。

まつりの人出は、例年で2日間およそ30万人。冷やし蟹ラーメンの提供数は、保健所の説明で22日が約40食、23日が約500食である。

発症は「月曜の夕方」から始まっている

この件を全国に広げた投稿は、8月26日の午後4時29分に出ている。表示は180万を超えた。

「麻布十番祭りのかにをの蟹ラーメン食べてから腹痛酷いし熱も39℃でしぬんだが」

── Xの投稿/2026年8月26日16時29分

この投稿者は翌27日に「病院は即日行って保健所も連絡しました」と書き足している。実在の被害の訴えであり、保健所にも届いている。

ただし、日付を丁寧に見るとずれが出る。2026年8月22日は土曜、23日は日曜、24日が月曜、25日が火曜である。

体調不良の申告をまとめたサイトが元投稿へのリンク付きで整理したところによれば、発症の時期として繰り返し出てくるのは「月曜の夕方から下痢」「月曜の夜からひどい下痢と胃痛」「月曜から入院している」といった表現だった。

月曜は8月24日である。まつりの2日目は23日の15時から21時。つまり、食べてからおよそ20時間から30時間で発症している。

この時間は、原因を絞る物差しになる。

病因物質 潜伏期間 主な症状 令和6年の東京都
(件数/患者数)
サルモネラ属菌 6〜72時間 激しい腹痛・下痢・発熱・嘔吐 1件/3人
ノロウイルス 24〜48時間 吐き気・嘔吐・下痢・腹痛。発熱は軽度 36件/1,056人
腸炎ビブリオ 8〜24時間 激しい腹痛・水様下痢・37〜38度の発熱 0件
カンピロバクター 平均2〜5日 下痢・腹痛・発熱 26件/152人
ウエルシュ菌 6〜18時間 腹痛・下痢。発熱はまれ 7件/164人
黄色ブドウ球菌 30分〜6時間 悪心・嘔吐・下痢 2件/26人
セレウス菌 30分〜15時間 嘔吐型は嘔吐、下痢型は下痢 1件/38人
腸管出血性大腸菌 3〜5日 下痢・激しい腹痛・血便・発熱 2件/7人

20時間から30時間という幅に素直に入るのは、サルモネラ属菌である。ノロウイルスも下限で入る。腸炎ビブリオは上限で届く。

逆に、30分から6時間の黄色ブドウ球菌、6時間から18時間のウエルシュ菌は、月曜夕方の発症とは合わない。「前日の作り置きを常温に置いた」という絵にいちばんはまる菌が、時間では合わない。ここが、この件の分かりにくさである。

そして、これはあくまで教科書の数字と申告された症状を並べただけのものだ。検便の結果が出れば、この表の見え方はひっくり返る可能性がある。

保健所が言った「ウイルスが増殖」は、国の説明と噛み合わない

J-CASTニュースの取材に、みなと保健所の担当者はこう答えている。

「700食の使い回しについては、確認が取れていません。ただ、ウイルスが増殖していますので、使い回した可能性が高いと思います」

「冷蔵・冷凍庫に入れ、翌日に火を通すなど衛生環境を保てば、食中毒にならなかったでしょう。冷蔵庫などに入り切らなければ、廃棄処分になります」

── みなと保健所/2026年8月28日、J-CASTニュースの取材に

報道でこの件の「使い回し」が語られるときの根拠は、ほぼこの一言である。

ところが、厚生労働省の「ノロウイルスに関するQ&A」は、こう書いている。

「ノロウイルスは手指や食品などを介して、経口で感染し、ヒトの腸管で増殖し、おう吐、下痢、腹痛などを起こします」。

増殖するのは、ヒトの腸の中である。食品の中では増えない。これは食品衛生の基礎で、東京都の解説も同じ立場をとっている。

同じQ&Aは、症状についてもこう書く。「主な症状は吐き気、嘔吐、下痢、腹痛であり、発熱は軽度です」。

一方、今回の申告では39度、38.8度という数字が出ている。患者2人を診察した「たけ内科新橋駅前院」の竹内翔祐統括院長は、血液検査の結果を「炎症反応高値」と評価し、「何らかの感染性腸炎を疑う」と診断している。

ノロウイルスなら、食品の中で増えたとは言えない。39度と炎症反応高値も、軽度の発熱という一般的な像とは合いにくい。かといって、細菌の話だとすれば「ウイルス」という言葉が説明できない。

この保健所の発言は、J-CASTニュースが自社取材として掲載したものである。港区の公式発表ではなく、検査結果として公表されたものでもない。取材のやりとりを記事にまとめる過程で言葉が縮んだのか、実際に何らかのウイルスが検出されているのか、9月2日の時点では確認できない。本記事は、この一言だけを根拠に原因を推定していない。

あの2日間は、猛暑ではなかった

「真夏の屋外で、冷たい麺を売った」と書くと、炎天下のイメージが立つ。実際の観測値はそうではない。

時刻 8月22日
気温
8月22日
降水量
8月22日
湿度
8月23日
気温
8月23日
湿度
15時 29.4度 0.0mm 75% 28.7度 79%
17時 24.2度 37.0mm 99% 28.3度 77%
18時 24.3度 47.0mm 99% 27.8度 81%
19時 24.3度 24.0mm 99% 27.5度 78%
21時 24.4度 100% 26.1度 88%
24時 24.2度 100% 25.2度 96%

8月22日の日最高気温は31.5度、23日は30.8度。2026年8月の東京は、猛暑日(35度以上)が3日、真夏日が24日あった。

そして、この月の平均最高気温は31.5度である。22日の31.5度は、月の平均とぴったり同じだった。23日の30.8度は、平均を0.7度下回る。

まつりの2日間は、この夏の東京として、暑くも涼しくもない普通の2日だったということになる。

つまり「炎天下で傷んだ」という書き方は、観測値と合わない。

代わりに立っているのは、別の3つである。22日は17時から19時までの3時間で108mmが降り、湿度は99〜100%になった。気温は夜通し24度台で、翌朝まで20度を下回った時間は一度もない。

厚生労働省は、細菌がよく増える温度帯を20度から50度としている。寒くはないが、涼しくもない。屋台の冷蔵能力で「冷やして保つ」を通しきるには、そういう夜だった。

23日に売った食品は、もう残っていない

原因の特定が長引いている理由も、記録に残っている。

弁護士ドットコムニュースによれば、23日に販売された食品そのものは、調査が始まった時点ですでに残っていなかった。

保健所は8月26日に現場で残っていたものの収去と拭き取り検査を行い、症状を訴えた人と従業員に検便を求めている。原因食品を直接調べる道が細いぶん、患者の便、従業員の便、調理場の拭き取り、そして「食べた人と食べなかった人の比較」を突き合わせて判断することになる。

ここで見ておきたい数字がある。東京都で令和6年に起きた食中毒は114件・患者1,536人。そのうち原因食品が「不明」に分類されたものが5件、原因施設が「不明」だったものが6件ある。

調べても特定に至らない事案は、毎年一定数ある。今回がそうなるとは限らないが、「結果が出れば全部はっきりする」とも限らない。

保健所は当初、調査に1〜2週間かかると説明していた。8月28日の取材では、検便の結果が早ければ31日にも判明する可能性があると報じられていた。9月2日の時点で、発表はない。

因果と関係なく、いま確かめられることが一つある

原因が分からない、という話をここまで続けてきた。だが、体調不良との因果と無関係に、記録だけで確かめられる論点が一つある。その一杯が、そもそも祭りで出せる品目だったのかという点だ。

東京都には「行事における臨時営業等の取扱要綱」(平成3年3月26日、2衛生食第589号)があり、各区がこれに沿って運用している。取り扱える食品の条件は、はっきり書かれている。

「ところてん、かき氷、清涼飲料水及び酒類を除き、客への提供を行う直前に加熱処理を行わないものは取り扱わないこと」。

麺類については、さらに具体的である。うどん、そば、ラーメンなどは「許可施設又は清潔な場所で仕込んだめんを使用し、当日茹で、当日調製した汁をかける行為に限ること」。そして「水さらしは行わないこと」

荒川区の資料は、この水さらし禁止の理由をノロウイルス汚染の防止と説明している。冷やした麺は、茹でたあとに水で締める工程が要る。その工程が、屋外の簡易な施設では認められていない。

一方、出店したこめお氏は8月28日、Xでこう説明している。日刊スポーツが伝えたところでは、臨時営業許可を申請していないのではないかという問いに対し、「今回の出店については、必要な臨時営業許可の申請を行い、『冷やし蟹ラーメン』として申請しています。申請せずに出店していたという事実はありません」と否定した。

ここに、記録の上での食い違いが残っている。「冷やし」の麺は、都の要綱の書きぶりでは、祭りの簡易な施設で扱える品目に見えない。それが「冷やし蟹ラーメン」という名前のまま申請を通ったのなら、通したのは誰かという話になる。

港区の場合、住民祭のような公共的な行事で年5日以下の出店は「臨時出店届」で足り、行事の主催者と出店者の双方に、保健所への事前相談が義務づけられている。主催した麻布十番商店街振興組合も、8月27日に理事長名でお詫びを出し、調査に全面的に協力するとしている。

この一点は、誰の便から何が出るかを待たなくても、書類を見れば答えが出る。そして、いまのところ誰も答えを公表していない。

12年前の510人と、去年の35人

屋外のイベントで冷たいものを出した結果が、どうなりうるか。記録は残っている。

事例 原因食品/病因物質 規模 その後
2014年7月
安倍川花火大会
露店2店の冷やしキュウリ/腸管出血性大腸菌O157 患者510人
入院114人
静岡市が露店出店リストの提出を義務化、冷やしキュウリの販売自粛を指導
2024年1月
上野恩賜公園
牡蠣フェスの牡蠣料理/ノロウイルス 患者35人 台東保健所がイベント主催者に厳重注意指導(営業禁止等の記載なし)
事業所の夏祭り
(国の報告事例)
前日に県外業者が調理したキーマカレー/ウエルシュ菌 発生規模984人
報告患者253人
会場で長時間常温保管されていたことが問題点として記録された

12年前の静岡は、この国の露店食中毒で最大級の事案である。原因は、冷やして出す一品だった。

去年の上野は、イベント主催者への対応が営業禁止ではなく厳重注意指導で終わっている。屋外イベントには、店舗のような「営業停止」がそのままの形では効かない。

港区の規模も見ておく。令和6年度、区内で起きた食中毒は16件・患者89人。今回1件の76人という数字は、区の1年分に迫る。同年度の不利益処分は18件で、区が監視の対象としている施設は27,060軒ある。

そして、処分が出た場合の公表は「公表を行った日から原則として7日経過後に削除」される。処分が出ても、記録は1週間で区のサイトから消える。

決めつけが早いと、何が起きるのか

この件では、名指しが行政の判断より2日早かった。8月26日にSNSで商品名が広がり、8月28日に区が人数を公表している。

その2日のあいだに、いくつかのずれが生まれた。

180万表示を超えたあの投稿は、店名を「かにを」と書いている。だが、まつりの公式ガイドに載っている出店名は「割烹こめを」で、商品名は「こめを冷やしカニラーメン」である。「かにを」は浅草にある別の店で、そちらは営業を続けている。

行政も報道も一度も言っていない「全員」という言葉が、まとめブログの見出しに現れたことは先に見た。

体調不良を申告した人の食べたものには、焼きそば、チキンステーキ、かき氷、煮込み、鯖サンド、ブラックヌードル、おにぎりが混じっている。蟹ラーメンを挙げずに発症を訴えた投稿もある。その人が76人に入っているかどうかは、外からは分からない。

本記事が引用したSNSの投稿のうち、原文を直接確認できたのは8月26日16時29分のX投稿のみである。他のThreadsの投稿については、元投稿へのリンク付きで整理したまとめサイトの記載を通じて内容を把握しており、鉤括弧での引用は行っていない。削除・非公開になった投稿もあるとみられ、SNS上の申告の全体像を示すものではない。

燃えやすい下地があったことも事実である。こめお氏は2026年5月、浅草に開いた蟹ラーメン店「かにを」で、クラウドファンディングの段階から国産の蟹を前面に出していながら中国産などのソフトシェルクラブを使っていたとして批判を浴びている。2025年11月には監修したおせちの誤発注を公表し、「誤発注商法」と指摘された。

過去に説明が足りなかった人物だ、という印象は、今回の反応の速さを説明する。だが、それは今回の原因が何だったかの答えにはならない。

東京美容外科の統括院長である麻生泰氏は8月29日、Xでこう投げかけている。スポニチアネックスが伝えたところでは、「麻布十番祭りの食中毒ですが、何で食中毒になってるかは確証がないわけでしょ?それで個人を叩いてる人も問題になりますよ。営業妨害や名誉毀損になりますよ」という内容だった。

もう一つ、押さえておきたい区別がある。「割烹こめを」の営業自粛は、保健所の営業停止処分ではない。店側が自主的に決めたものである。処分は9月2日の時点で1件も出ていない。

答え合わせをするのは、私たちのほうである

いま確かなのは、76人が体調を崩したこと。その多くが冷やし蟹ラーメンを食べたと話していること。発症が食べてから20時間から30時間後に集まっていること。当日は猛暑ではなく、湿度100%の夜だったこと。23日の食品はもう残っていないこと。

そして、病因物質も、原因食品も、76人の内訳も、700食の中身も、申請書に書かれた品目名も、9月2日の時点で誰も公表していないこと。

調べれば分かることと、調べても分からないかもしれないことがある。要綱に照らして品目が適切だったかは、書類を見れば答えが出る。何の菌だったかは、検便を待つしかない。

事前相談を受けたのは保健所であり、出店を認めたのは主催者である。76人が体調を崩したあとで問われるのは、店の衛生管理だけではない。誰がその品目を通したのか、である。

保健所の結果が出たとき、名指しが当たっていたのかどうかが分かる。そのとき答え合わせをされるのは、8月26日に答えを決めた側でもある。

この記事で使った資料と、その確度

★が低いから使わない、という意味ではない。★2でも、用途を限定すれば材料になる。何に使い、何に使わなかったかを書いた。

確度 媒体 資料 評価の理由
★5 港区 麻布十番納涼まつりにおける食中毒疑いについて 区長コメント 一次資料。76人という人数と、立入調査、結果は今後公表するという方針の出所。区は原因食品も病因物質も一切認定していない。商品名にも触れていない
★5 麻布十番商店街振興組合 納涼祭りに関してのお詫び 一次資料。主催者名・理事長名・連絡先まで確認した。特定の商品や店舗を原因として挙げていないことも本文で使った
★5 東京都保健医療局 臨時営業(食品衛生の窓) 「提供直前に加熱処理が行えるもの以外は取扱うことはできません」の出所。取扱品目が1品目に限られることもここ
★5 東京都北区 模擬店で食品を取扱う方へ めん類の要件(当日茹で・当日調製した汁・水さらし禁止)の全文を確認した。北区の資料であり、港区版の同じ表は本記事では確認できていない。都の共通要綱に基づく運用であることの確認に用途を限定した
★5 荒川区 行事における臨時出店について 同じ文言を別の区でも確認。水さらし禁止の理由がノロウイルス対策であるという説明もここ
★5 港区 行事・催事で食品を提供される方へ 臨時出店届の3要件(公共的目的の行事/飲食店行為・食料品販売行為/年5日以下)と、主催者・出店者双方に事前相談が必須である点。取扱品目の一覧はこのページには載っていない
★5 厚生労働省 ノロウイルスに関するQ&A 「ヒトの腸管で増殖し」「発熱は軽度です」「潜伏期間は24〜48時間」。保健所の「ウイルスが増殖」という発言を測る物差しとしてのみ使い、原因の推定には使っていない
★5 気象庁 過去の気象データ 東京 時別値 8月22日・23日の1時間ごとの気温・降水量・湿度。日本気象協会のページは22日の最低気温を25.2度と表示しているが、気象庁の日ごとの値は23.8度。数字は気象庁を採った
★5 気象庁 過去の気象データ 東京 日ごとの値 2026年8月の全日の最高・最低気温。猛暑日3日・真夏日21日という月内の位置づけはここから
★5 東京都保健医療局 令和6年 東京都食中毒発生状況(確定値) 病因物質別の件数・患者数、原因食品「不明」5件、原因施設「不明」6件。比較の土台としてのみ使い、今回の原因の推定には使っていない
★5 港区 令和6年度 港区食品衛生監視指導の実施結果 区内1年度の食中毒16件・患者89人、不利益処分18件、監視対象27,060軒。今回の1件の大きさを測る土台
★5 港区 食品衛生法違反者等の公表 9月2日時点で掲載ゼロ。公表は原則7日経過後に削除されるという運用も、このページの本文に書かれている
★5 厚生労働省 安倍川花火大会で起きたO157食中毒について(静岡市保健所資料) 患者510人・入院114人、原因は露店2店の冷やしキュウリ、再発防止策まで。前例としてのみ使い、今回と同じ病因物質だとは書いていない
★5 国立健康危機管理研究機構 台東区内で開催されたイベントにおいて提供された食事による食中毒 2024年1月の上野「牡蠣フェス」。患者35人、ノロウイルス、主催者への厳重注意指導という対応
★4 国立健康危機管理研究機構 No.1586 事業所の夏祭り会場で提供された食品を原因とした食中毒事例 前日調理・冷蔵搬送・会場で常温長時間保管のキーマカレーによるウエルシュ菌。発生規模984人
★4 J-CASTニュース 麻布十番祭り「蟹ラーメン」で76人体調不良 保健所の発言3つと、22日約40食・23日約500食という販売数の出所。いずれも同社の自社取材であって、区の公式発表ではない。本文にもその旨を書いた
★4 女性自身 「原因は全く断定できていません」 保健所の同趣旨の発言と、8月26日に現場で残存物の収去・拭き取り検査を行ったこと
★4 堀潤/8bitNews 【独自】麻布十番「カニラーメン」で体調不良 患者2人を診察した医師が証言 実名の医師に取材した独自記事。炎症反応高値・感染性腸炎の疑いという所見はここ。患者は「冷製ソフトシェルのまぜそば(豆乳)」と説明しており、公式ガイドの商品名と呼び方が違う
★4 日刊スポーツ こめお、前日余った冷やしカニラーメン700食使い回し疑惑など否定 本人のX声明を4項目に整理した記事。「『冷やし蟹ラーメン』として申請しています」の出所
★4 TBS NEWS DIG 「麻布十番納涼まつり」76人が体調不良 「そのうちの多くが」という表現。FNN・J-CASTと一致していることの確認に使った
★4 FNNプライムオンライン 「麻布十番納涼まつり」で集団食中毒か、76人が発熱や下痢など 「このうちの多くが」という表現
★4 弁護士ドットコムニュース 麻布十番祭り「蟹ラーメン」で体調不良訴え相次ぐ、6人から連絡 初期6人の内訳と、23日に販売した食品は調査開始時に残っていなかったという一点
★4 山路力也 麻布十番祭り「冷やし蟹ラーメン」の食中毒騒動 「余った700食を流用」は本当なのか フードジャーナリストによる実務からの指摘。「余った」ではなく「売れなかった」ではないかという読みと、都の麺類ルールへの言及
★3 集英社オンライン なぜ夏の屋外で「冷やしラーメン」は少ないのか? 冷却の温度管理の難しさと、屋外で麺の水さらしが認められていないことへの言及。制度の論点に触れた数少ない先行記事として位置づけを明記した
★3 スポニチアネックス 麻生泰氏、麻布十番祭りを巡る“体調不良”騒動に私見 当事者以外からの「確証がない」という指摘。Xの原文はこちらで確認できていないため、媒体が伝えた内容として書いた
★3 東スポWEB こめおに食中毒騒動が直撃! ソフトシェルクラブ・コーン・豆乳スープという商品構成。診察医への取材記事と合わせて2つ目の裏づけとして使った
★3 ウォーカープラス 第60回 麻布十番納涼まつり 詳細データ 第60回、開催時間15〜21時、例年の人出約30万人。人出は「例年」の値で、2026年の実測ではない
★2 X(8月26日16時29分の投稿) 「腹痛酷いし熱も39℃でしぬんだが」 原文をこちらで確認した唯一のSNS投稿。本人の申告であって診断名ではない。翌日に保健所へ連絡した旨の追記も確認した
★1 HNN_Online(まとめ) こめおの蟹ラーメンで何があった?投稿者のまとめ X・Threadsの体調不良投稿をアカウント名と時刻つきで整理したもの。発症が月曜に集まっていること、蟹ラーメンを挙げない発症申告があることは、ここでしか揃わない。個人の公開投稿の集積であり、保健所の患者データとは別物なので、鉤括弧での引用はしていない
未確認 みなと保健所への確認事項 76人の喫食内訳/許可の種別と申請書の品目名/「ウイルス」の根拠 この3点は本記事の中心にありながら、公表資料からは埋められなかった。問い合わせ先はみなと保健所生活衛生課 西部地域食品監視係(03-6400-0046)

編集者K

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