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中国が名指ししたのは、中国出身で帰化した石平参院議員だった──靖国に参拝した89人のうち1人

2026年8月15日、終戦から81年の日。靖国神社には超党派の国会議員89人が参拝しました。小泉進次郎防衛相、小野田紀美経済安全保障担当相を含む閣僚も足を運んでいます。

その日、中国最大のSNS「微博(ウェイボー)」の検索ランキングで1位になったのは、この89人のうち、たった1人の名前でした。

「汉奸石平参拜靖国神社」——漢奸(かんかん)石平、靖国神社を参拝。

石平氏は日本維新の会の参議院議員です。中国・四川省の生まれで、2007年に日本国籍を取得しました。日本のニュースでは、共同通信が「維新・石平参院議員が靖国参拝 中国出身、日本国籍を取得」という短い記事を配信して、それで終わっています。

同じ人物の、同じ日の、同じ行動です。それが国境をまたいだ瞬間に、扱いの大きさが桁で変わる。この記事は、その落差を追いかけます。

89人のうち、名指しされたのは1人だった

まず、その日に何が起きたのかを整理します。

参拝したのは89人、閣僚も含まれていた

2026年8月15日、超党派の議員連盟「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」を中心に、89人の国会議員が靖国神社を参拝しました。時事通信は「約90人」と報じています。

閣僚では小泉進次郎防衛相、小野田紀美経済安全保障担当相、城内実氏、黄川田仁志氏らの名前が確認されています。高市早苗首相は参拝せず、玉串料の奉納にとどめました。

これは日本の政治では毎年の風景です。8月15日に誰が行き、誰が行かなかったか。首相は行ったか、玉串料か。それが翌日の紙面に並びます。

中国のランキングで1位になったのは、石平氏だった

一方、中国側で何が起きていたか。

微博の「熱捜(ホットサーチ)」は、その日に中国で最も検索・議論された言葉のランキングです。8月15日のアーカイブには380項目が記録されています。

その1位が「汉奸石平参拜靖国神社」でした。2位は「日本 拜鬼」。日本語に直せば「日本、鬼を拝む」です。

89人が参拝したという事実そのものより、そのうちの1人の名前が、先に来ている。ここが今回の話の入り口です。

※微博の熱捜は、運営が編成に関与する半キュレーション枠です。「中国の世論がこうだ」と読むより、「この語が、管理された場に何日残ったか」と読むほうが正確です。本記事もその前提で扱います。

中国のネットで、最も広まったのは怒りではなかった

では、実際にどんな言葉が並んでいたのか。微博の投稿をそのまま見ていきます。

「漢奸」「鬼厕」「戦犯神社」

まず、目に入るのは罵倒です。

「汉奸石平又去参拜靖国鬼厕了……PS他还觉得汉奸这个称号很光荣」
(漢奸の石平がまた靖国の「鬼厕」を参拝しに行った。しかも本人は「漢奸」という呼び名を名誉だと思っている)
──転載175/コメント320

「鬼厕」は「鬼の便所」という意味です。後述する「拜鬼」をさらに崩した言い方で、神社そのものを侮辱する語になっています。

解放軍系の公式評論アカウント「钧正平」も参加していました。「靖国神社就是『戦犯神社』、名副其実」——靖国神社はまさしく「戦犯神社」だ、という短い投稿です。

ここは押さえておくべき点だと思います。民間の書き込みと、軍系の公式アカウントの発信が、同じランキングの中に混ざっている。さらにロシア国営メディアRTの中国語アカウントも、靖国神社前の様子を伝える投稿を出していました。

いちばん拡散したのは、怒りではなく嘲りだった

ただ、この日いちばん広まった投稿は、罵倒でも歴史認識批判でもありませんでした。

「站姿说明一切,你跪得最彻底,也得不到日本的喜欢」
(立ち姿がすべてを物語っている。どれだけ深く跪いても、日本から好かれることはない)
──転載828/コメント720

参拝の写真に写った石平氏の立ち方を指して、こう書いています。拡散数は他の投稿の4〜5倍でした。

言っている中身は、歴史でも領土でもありません。「お前は日本にも受け入れられていない」という嘲りです。

南京大虐殺を否定しているという批判より、こちらのほうが広まった。中国のネットが最も反応したのは、石平氏の主張ではなく、彼の居場所だったということになります。

批判の中身は、3点に集約される

投稿全体を眺めると、批判は3つに分かれます。

1つ目は、参拝を続けていること。「越是这种叛徒越发急于表忠心(こういう裏切り者ほど、忠誠を示すのに焦る)」といった書き込みが並びます。

2つ目が歴史認識です。「看见这张照片,我就愤怒!他否定南京大屠杀,否定731部队的罪恶(この写真を見ると怒りが込み上げる。彼は南京大虐殺を否定し、731部隊の罪悪を否定している)」——転載159、コメント246。

3つ目が尖閣諸島をめぐる立場です。そして全体を通して繰り返されるのが、中国の慣用句でした。「中国の飯を食べながら、中国の椀を壊している」。育ててもらった国を裏切る、という意味です。

※これらの投稿が挙げる「石平氏が南京大虐殺を否定した」等の発言は、中国語に訳されたものの再引用です。原文にあたって確認できていないため、本記事では石平氏の発言としては引用していません。中国側がそう主張している、という事実のみを記載しています。

「汉奸」と「拜鬼」——2つの言葉が持つ重さ

中国側の反応を読むうえで、避けて通れない言葉が2つあります。日本語に訳しただけでは温度が伝わりません。

汉奸(かんかん)=漢奸

「漢奸」は、中国人でありながら外敵に通じる者、という意味の語です。日中戦争期に日本側に協力した中国人を指す語として定着し、いまも最上級の侮蔑語として機能しています。

ここにねじれがあります。石平氏は2007年に日本国籍を取得しており、法的には日本人です。中国人でないのだから、本来この語は当てはまりません。

それでも「汉奸」が使われる。つまり中国側は、帰化という手続きを事実上認めていないということになります。ここは日本語で報じられているのを見たことがありません。

拜鬼(はいき)=鬼を拝む

もう一つが「拜鬼」です。直訳すれば「鬼を拝む」。中国メディアが靖国参拝を指すときに使う定型表現で、戦犯を「鬼」と呼んでいます。

8月15日の熱捜2位が、この「日本 拜鬼」でした。1位が個人名、2位が国名。個人が先に来ているのが、この日の特徴です。

この語には崩した派生形があります。先に挙げた「鬼厕(鬼の便所)」「鬼社(鬼の社)」がそれです。公式の論評から匿名の書き込みまで、同じ語幹を共有している。言葉が先にあり、事実は後からそこへ当てはめられていきます。

中国が科した制裁は、3つの措置だった

ここが日本ではあまり知られていない部分です。石平氏は、中国政府から正式に制裁を科されています。

2025年9月8日、資産凍結と入国禁止

中国外務省は2025年9月8日、石平氏に対する制裁措置を発表しました。中国国営メディアが伝えた内容は、次の3点です。

措置 内容
資産の凍結 中国国内の動産・不動産、その他の資産を凍結する
取引の禁止 中国国内の組織・個人が、本人と取引や協力をすることを禁じる
入国の禁止 本人と直系親族へのビザ発給を拒否し、入境を禁じる(香港・マカオを含む

注目すべきは3つ目です。対象が本人だけでなく、直系親族にまで及んでいます。そして香港とマカオが明記されています。

理由として挙げられた6つの論点

中国側が制裁の理由に挙げたのは、台湾、尖閣諸島、歴史、新疆、チベット、香港の各問題における言論でした。加えて靖国神社参拝、そして「日中間の4つの政治文書の精神と、一つの中国原則に違反した」「内政干渉にあたる」としています。

外務省報道官の林剣氏は会見で、石平氏のような人物は個人の利益のために祖国を裏切り、良心を売って反中勢力と結託している、という趣旨の批判を展開しました。制裁は「強力な懲罰であり、厳しい警告である」という位置づけです。

本人は「勝手にやってくれよ」と言っている

この制裁について、石平氏本人はこう語っています。

「中国に資産を持っていませんし、そもそも中国に行くつもりがないので、正直『勝手にやってくれよ』という感覚です」

さらに、米国のルビオ国務長官が上院議員時代に中国から入国禁止を受けた例を挙げ、「結果的に、今となっては米国の要職にある人物を呼ぶことができなくなった中国の方が困っているのではないでしょうか」とも述べています。

制裁を受けた側が困っていない。それでも中国は制裁を続け、参拝のたびに名前を出す。この非対称そのものが、今回の話の核心です。

制裁は罰ではなく、「名簿」への登録だった

中国が石平氏に科した措置の根拠は、反外国制裁法という法律です。ここを押さえると、なぜ1年経っても名前が出続けるのかが分かります。

2021年6月に作られた、対抗措置の枠組み

反外国制裁法は2021年6月に制定されました。外国が中国に制裁を科したとき、中国側も対抗措置を取れるようにするための法律です。

リストに掲載されると、次のような措置が1つ以上取られます。ビザの発給拒否・入国拒否・ビザの取り消し・国外追放。中国国内の動産、不動産、その他の財産の差し押さえ、押収、凍結。中国国内の組織や個人との取引・協力の禁止または制限。そして「その他必要な措置」です。

石平氏に適用されたのが、このうちの3つでした。「その他必要な措置」という枠が残されている点にも注意が要ります。

本人だけでは終わらない

この法律の実務解説では、対象が配偶者や実質支配者にも及びうると整理されています。石平氏のケースで直系親族まで含まれたのは、例外的な運用ではないということです。

ここが日本の感覚とずれるところだと思います。日本で「制裁」と聞くと、その人がやったことに対する一回限りの罰を想像します。しかし反外国制裁法の制裁は、名簿に名前を書き込む行為に近い。

名簿に載っている人が、名簿に載る原因となった行為を繰り返せば、当然また話題になります。2025年9月の登録と、2026年8月の熱捜1位は、切れていません。1年前の出来事が、今年のランキングを作っているわけです。

逆に言えば、日本側にはこの名簿に相当するものがありません。誰が何を言い、どう動いたかを継続的に記録して、必要なときに引き出す仕組みが、少なくとも公開の形では存在しない。片方だけが台帳を持っている状態です。

その日の中国で、日本はどう話題になっていたか

石平氏の件だけが突出していたわけではありません。同じ日のランキング全体を見ると、別のものが見えてきます。

380項目のうち、日本関連は7件だった

8月15日の熱捜には380項目が記録されています。そのうち日本や歴史問題に関わるものを抜き出すと、次のようになります。

順位 原文 日本語
1位 汉奸石平参拜靖国神社 「漢奸」石平が靖国神社を参拝
2位 日本 拜鬼 日本、鬼を拝む
17位 日本人街头质疑南京大屠杀 日本人が街頭で南京大虐殺に疑問を呈する
32位 高市早苗称日本将成为灯塔 高市早苗「日本は灯台になる」と発言
34位 重温日本投降后民众上街欢庆画面 日本降伏後に民衆が街で祝った映像を振り返る
48位 韩方强烈敦促日本领导人正视历史 韓国側が日本の指導者に歴史の直視を強く促す
48位 日本人组成的战斗分队在乌克兰成立 日本人で構成された戦闘分隊がウクライナで結成

参拝した89人のうち、名前が出ているのは石平氏だけです。小泉防衛相の名前は、筆者が確認した範囲では上位に見当たりませんでした。閣僚より、帰化した1人の議員のほうが上に来ている。

その週、中国では日本の話が続いていた

この非対称は8月15日だけの現象ではありません。同じ週の熱捜を並べると、別のものが見えてきます。

8月13日、プーチン大統領が択捉島に上陸した

8月13日の熱捜には「普京登島後日本急了(プーチンが島に上陸して日本が慌てた)」が9位、「高市早苗強烈抗議普京登島」が18位、「普京視察俄日爭議島嶼(プーチンが日露の係争中の島を視察)」が34位で入っています。

翌14日には「日本拟就普京登岛采取反制措施(日本、プーチンの島上陸に対抗措置を検討)」が49位。日本の北方領土をめぐる動きが、中国のランキングで3日続けて追われているわけです。

災害も、生活も、中国側から見られている

同じ週、8月14日には「日本暴雨中国游客无奈地铁站过夜(日本の豪雨で中国人観光客がやむなく地下鉄駅で夜を明かす)」が19位。15日には「日本千叶暴雨已致8人死亡」が19位に入っています。

そして46位に、こんな項目がありました。「东京地铁被淹却见水质清澈」——東京の地下鉄が浸水したのに、水が澄んでいる。

災害そのものではなく、水の質に驚いている。日本人が一度も考えたことのない角度です。そして、日本語圏にはまったく届いていません。

8月16日には、靖国前の中国国旗が話題になった

翌16日の熱捜31位は「中國籍男子在靖國神社附近揮舞國旗」でした。中国籍の男性が靖国神社付近で中国国旗を振り、警察に制止された、という内容です。

元になっているのは、8月14日に日本のSNS利用者が投稿した動画とされています。日本で撮られた映像が、中国で消費されて、日本には戻ってこない。これも同じ構造です。

日本では、どう報じられたか

では日本側です。

共同通信の短い記事が1本

確認できたのは、共同通信の「維新・石平参院議員が靖国参拝 中国出身、日本国籍を取得」という記事でした。事実を伝える短い原稿です。

見出しに「中国出身、日本国籍を取得」と入っているのが目を引きます。89人の他の議員に、こうした属性の注記は付きません。日本のメディアもまた、この人物を説明するときに出身を外せていないということです。

「中国で1位になった」ことは、日本語で見当たらない

一方で、この参拝が中国の熱捜1位になったという事実を伝える日本語の記事は、筆者が探した範囲では見つかりませんでした。制裁を受けている議員が、制裁の理由そのものである行為を繰り返し、出身国のトップトレンドになっている。その部分が抜け落ちています。

ここで「日本のメディアは報じない」と書くのは簡単ですが、正確ではありません。参拝の事実は報じられています。報じられていないのは、その後に中国側で何が起きたかです。

  日本 中国
扱いの単位 89人という「人数」 石平という「個人名」
石平氏の位置 89分の1 1位
記事の量 共同通信の短報が1本 新浪などが複数のページを立てる
継続性 その日で終わる 制裁リストに載せ、毎年追跡する

同じ非対称は、観光の数字にも出ている

この落差は、SNSのランキングだけの話ではありません。もっと分かりやすい場所にも出ています。

中国本土からの旅行者が半分になった

2026年に入って、中国本土から日本を訪れる旅行者が大幅に減りました。J-CASTニュースは、高市早苗首相の「台湾有事」をめぐる国会答弁をきっかけに日中関係が冷え込み、中国本土からの旅行者が激減したと伝えています。

失われた消費額は5210億円。これは小さな数字ではありません。2025年の訪日中国人の消費額は2兆58億円で、国別のシェア1位でした。その4分の1が消えた計算になります。

それでも「全体では減っていない」

ところが、日本側の読み方はこうなります。訪日客全体はほとんど減っておらず、消費額はむしろ前年を超えている。台湾や欧米、そしてロシア、ドイツ、インド、スペインといった新興市場が伸びて、中国の穴を埋めたからです。

ニッセイ基礎研究所の分析も、消費が「買い物」から「体験」へ移り、買物代の比率が27.0%まで下がっていることを指摘しています。数字の上では、日本のインバウンドは中国抜きでも回っている。

だから日本では、この話は「影響は限定的だった」という結論で閉じます。

読み方が、そもそも違う

しかし中国側から見れば、これは「日本に行かない」という選択が数百万人規模で継続しているという事実です。片方は影響の大小を測り、片方は態度を示している。

熱捜のランキングと観光の統計は、まったく別のデータに見えます。ただ、日本側が「全体の数字」で読み、中国側が「個別の意思」で動いているという点では、同じ形をしています。

なぜ、これほどの落差が生まれるのか

この非対称には、理由があると考えています。

中国は「個人」を追い、日本は「事象」を報じる

中国側の扱い方には一貫性があります。制裁リストに名前を載せ、その名前をハッシュタグにし、同じ人物が同じ行為をするたびに再燃させる。2025年9月の制裁が、2026年8月の熱捜1位につながっているのは偶然ではありません。

日本側は違います。8月15日に何人が参拝したか、閣僚は誰か、首相は玉串料か。報じられるのは「その日の出来事」であって、「特定の個人の継続的な行動」ではありません。

どちらが良いという話ではなく、記録の設計が違うということです。ただ、設計が違えば、見落とすものも違ってきます。

帰化した人物が、出身国の制裁対象になっている

もう一つ、この件には前例の少なさがあります。

石平氏は日本国籍の日本の国会議員です。その人物に対して、出身国が資産凍結と入国禁止を科し、直系親族まで対象に含めている。そして「漢奸」という、中国人を前提とした語で呼び続けている。

国籍を変えても、出身国の側は帳簿から名前を消していない。これは石平氏個人の問題というより、帰化という制度が国際的にどう扱われているかの問題です。

本人は、この構図を「牽制」と見ている

石平氏自身は、自分への攻撃が日本国内からも来ていることに触れています。

「『中国共産党が石平に制裁したのは中国のスパイであることを隠すためだ』とまで言う人もいます。帰化しても『中国人は日本の政治に関わるな』という人がいて、外国出身者というだけで攻撃する人が、残念ながら日本社会にいます」

中国からは「漢奸」と呼ばれ、日本の一部からは「スパイ」と呼ばれる。どちらの側からも、国籍が本人の帰属を決める根拠として扱われていないという点で、2つの批判は形が似ています。

私たちが見ていないのは、石平氏ではない

この記事で追いかけたのは、石平氏という人物の評価ではありません。参拝の是非でもありません。

見落とされているのは、「中国が、日本の誰を、どういう基準で選んでいるか」という部分です。

8月15日、靖国神社には89人が参拝しました。その中には防衛大臣も、経済安全保障担当大臣もいました。それでも中国が1位に置いたのは、比例で初当選した1年目の議員でした。

閣僚を叩くより、帰化した議員を叩くほうが効果的だと判断された、ということかもしれません。あるいは、制裁リストに載っている人物は自動的に追跡される仕組みになっているのかもしれません。理由は、外からは分かりません。

ただ、選ばれる基準があること自体は、確実です。そして日本側は、その基準を測る材料をほとんど持っていません。89人が参拝した、という記事で終わってしまうからです。

中国のランキングは、毎日380項目が記録され、誰でも過去にさかのぼって読めます。読むかどうかは、こちら側の問題です。

石平という人物の、44年

最後に、この人物の経歴を整理しておきます。中国が「漢奸」と呼び続けている相手が、どういう44年を歩いてきたのか。ここまで読んだうえで見ると、印象が変わる部分があるはずです。

文化大革命から北京大学、そして天安門

石平氏は1962年、中国・四川省に生まれました。4歳のときに文化大革命が始まり、両親は下放されています。

1980年に北京大学へ進学。その後、日本の神戸大学に留学しました。1989年の天安門事件のとき、関西の中国人留学生による抗議活動の中心にいた人物です。

そして2007年に日本国籍を取得しました。評論家として活動し、2025年7月の参議院選挙に日本維新の会から比例代表で出馬して初当選しています。

選挙活動を、中国総領事館の前から始めた

ジャーナリストの安田峰俊氏によるインタビュー(JBpress、2025年10月)で、石平氏は選挙活動の始め方をこう語っています。

「大阪の総領事館から選挙活動を始めました。1989年の天安門事件の直後、私はそこで抗議デモをしたんです。だから今回の選挙活動もそこから始めるしかないと思いました。その後、福岡や名古屋、最後は東京の中国大使館でも抗議活動をしました」

当選については「維新の基礎票のおかげで当選できたと思っています」と述べています。出馬の経緯についても「いえ、私の方から立候補を希望し、公認をお願いしました」と、自分から動いたことを認めています。

出来事
1962年 中国・四川省に生まれる
1966年 4歳で文化大革命が始まり、両親が下放される
1980年 北京大学に入学
1988年 日本へ留学(神戸大学)
1989年 天安門事件。関西の中国人留学生の抗議活動の中心に
2007年 日本国籍を取得
2025年7月 参議院選挙に日本維新の会から比例で出馬し、初当選
2025年9月8日 中国政府が制裁を発表
2026年8月15日 靖国神社を参拝。微博の熱捜1位に

この記事で使った資料と、その確度

★が低いから使わない、という意味ではありません。★2でも、用途を限定すれば材料になります。何に使い、何に使わなかったかを右端に書きました。

確度 媒体 資料 評価の理由
★5 JBpress JBpress「【中国が制裁した男①】中国出身で日本に帰化した石平議員が語る」(安田峰俊、2025年10月14日) 本人インタビュー。本記事の「」内の発言はすべてこのシリーズの日本語原文による
★5 JBpress JBpress「【中国が制裁した男②】参院選で中国とケンカ!」 選挙活動の経緯
★5 JBpress JBpress「【中国が制裁した男③】「中国のスパイ」批判…渦中の石平議員は、なぜ帰化制度の厳格化とスパイ防止法を訴えるのか」 スパイ批判への反論
★5 ニッセイ基礎研究所 ニッセイ基礎研究所「インバウンド消費の動向(2026年1-3月期)-中国半減も多様化が下支え、深まる『量から質』への転換」 買物代27.0%、上位3か国の構成比低下などの分析
★5 ジェトロ北京事務所 ジェトロ北京事務所「反外国制裁法の概要」(2021年9月) 制裁の根拠法の解説
★5 牛島総合法律事務所 牛島総合法律事務所「中国の反外国制裁法の概要と近時の動向」 制定時期、措置の4類型、配偶者・実質支配者への波及の解説はここによる
★4 微博熱捜アーカイブ 2026年8月15日(justjavac/weibo-trending-hot-search) 微博熱捜アーカイブ 2026年8月15日(justjavac/weibo-trending-hot-search) GitHub上で毎時収集・日次保存されている公開アーカイブ。順位と項目は原データそのまま。ただし収集の網羅性は運営側の仕様に依存する
★4 中国日报网 中国日报网「中国对日参议员石平实施制裁」(2025年9月9日) 制裁3措置の内容は国営メディアの公式説明として信頼できる。ただし論調は完全に政府側
★4 共同通信 共同通信「維新・石平参院議員が靖国参拝 中国出身、日本国籍を取得」 通信社の事実報道。ただし短報で、中国側の反応には触れていない
★4 時事通信 時事通信「超党派約90人が靖国参拝」(2026年8月15日) 参拝者数の一次的な報道
★4 NHK NHK「終戦の日 超党派議員89人が靖国神社参拝 小野田経済安保相も」 89人という具体的な数字はここによる
★4 日本経済新聞 日本経済新聞「小泉防衛相が靖国神社を参拝 城内・黄川田・小野田氏も、終戦の日に」 閣僚の参拝を確認
★4 時事通信 時事通信「石平参院議員に制裁「誤った言論拡散」と非難―中国外務省」(2025年9月8日) 制裁発表の日本側報道
★4 訪日ラボ 訪日ラボ「2025年の訪日中国人数は909.6万人、消費額はシェア1位の2兆58億円」 比較の基準として使用した2025年の実績値
★3 星島日報 星島日報「日籍華裔參議員石平再次參拜靖國神社 中方曾因其言行實施制裁」 香港系メディア。経歴と制裁の経緯を簡潔にまとめている
★3 新華社日本語 新華社日本語「中国外交部、日本の石平参院議員への制裁発表」 中国国営通信の日本語版。発表内容の確認用
★3 J-CASTニュース J-CASTニュース「中国人観光客『半減』で吹き飛んだ5210億円 それでも全体消費額は前年超え、訪日客全体もほとんど減っていない」 5210億円という数字と、減少のきっかけが台湾有事答弁だという指摘はこの記事による。本文全体は未読で、見出しと記事概要から引用している
★2 新浪新闻 新浪新闻「#汉奸石平参拜靖国神社#」 本文がほぼなく、微博投稿の集約ページ。事実の裏取りには使えず、「中国側で何が言われたか」の観測にのみ使用
★2 新浪新闻 新浪新闻「石平参拜靖国神社及争议言论」 同上
★2 新浪新闻 新浪新闻「#汉奸石平参拜靖国神社#可耻」 本文中に引用した微博投稿の原文と転載数・コメント数はこのページによる。投稿者の属性は未検証
★2 新浪新闻 新浪新闻「石平参拜靖国神社」 钧正平・RT中国語版の投稿を確認したページ
★2 みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会(Wikipedia) みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会(Wikipedia) 議連の概要把握のみに使用

関連(当サイト既報)

中国側の対日感情がインバウンドの数字に出ている点は、当サイトで別途扱っています。中国人観光客の減少と、その穴を埋めた国の内訳については、そちらを参照してください。

この記事に登場する人物小泉進次郎小野田紀美高市早苗

編集者K

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