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自民党の地方議員を47都道府県調べた 30都道府県で39件、辞職勧告を可決しても辞めなかった

2026年8月17日、福岡県議会で、議長の辞職を求める決議案が採決されませんでした。否決ではありません。採決そのものが行われなかったのです。

これは福岡だけの話なのか。それを確かめるために、47都道府県すべてを調べました。

対象は、自民党所属の地方議員をめぐる事案と、自民党会派が調査や処分を止めた事例です。2023年から2026年8月まで。大きさは問わず、返還額3,010円のような小さいものも数えています。

結果を先に書きます。30の都道府県で、39件が確認できました。

並べてみると、繰り返される形が5つありました。

返せば、監査は中身を調べずに終わる。愛知では1,856万円が自主返還され、返還を理由に請求が却下されています。

処分は党までで止まり、議席には届かない。埼玉では2,794万円の私的流用が認定され、除名も刑事告訴もされて、それでも議員は辞職していません。

決議しても、辞めない。鳥取では辞職勧告決議が全会一致で可決されましたが、本人は辞めませんでした。

調べる仕組みそのものを止める。鹿児島は百条委員会を否決し、長野は第三者委員会の陳情を「審議しない」と決め、茨城はハラスメント相談窓口の設置を見送りました。

刑事にならない。熊本の賭けゴルフ13人は、検察審査会が「不起訴不当」と議決したあと、再び不起訴になりました。

以下、まず福岡・東京・長崎の3件を詳しく見て、そのあとに39件の一覧を出します。記事の後半では、この調査から私たちが何を考えるかも書きます。そこは論評であることを明記して分けています。

まず、3つの議会で何が消えたのかを見てください。

3つの議会で消えたもの福岡・東京・長崎の各議会で、審議や調査が採決の手前で止まった事例の比較3つの議会で、何が消えたかいずれも「否決」ではなく、審議・調査の手前で止まっている福岡県議会2026年8月17日出されたもの議長への辞職勧告決議案消えたもの採決そのもの止めたのはその議長の元秘書の県議が出した緊急動議と、自民党会派の会派拘束その後決議案は今後も審議されない東京都議会2025年2月19日出されたもの政治倫理審査委員会の設置案消えたもの全会派による真相解明止めたのは自民・都民ファースト・公明などの反対77人(提案は6会派40人)その後6月に成立した条例に「遡及しない」条項長崎県議会2025年10月6日出されたもの百条委員会の設置動議消えたもの議会の調査権の行使止めたのは最大会派の自民が反対。賛成13・反対22で否決。自民8人は採決前に退席その後同じ動議は2024年12月にも否決されている※長崎の対象は県議ではなく大石賢吾知事の疑惑です。議員の不祥事とは性質が違いますが、「議会が調査権を使うかどうか」という点で同じ判断が問われました。※東京では自民のほか都民ファースト・公明も反対に回っています。自民だけの問題として書かないため、そのまま記載しています。

3件とも、賛否を問う場面に到達していません。止まったのは、その手前です。

以下、1件ずつ確認していきます。

福岡で起きたのは、否決ではなく多数決の回避だった

福岡県議会の議長、藏内勇夫をめぐって、複数の疑惑が報じられています。議長ポストをめぐる金銭の授受、パーティー券の不適切な販売、講演料の水増しです。

告発したのは、同じ自民党会派にいた元議長の吉松源昭と、元副議長の江藤秀之でした。身内から出た告発です。

2026年8月17日の臨時会で、吉松が辞職勧告決議案を提出しました。可決される見込みが報じられていました。

討論の直前に、動議が出た

賛成・反対の討論に入る直前、自民党県議団の林泰輔県議が「動議」と発議します。採決を中止する緊急動議です。

これが起立多数で可決され、辞職勧告決議案は宙に浮きました。議会事務局によれば、この決議案が今後審議されることはありません。

動議を出した林は、藏内議長の元秘書です。

林は動議の理由をこう説明しています。議長を辞めさせるのは重大なことであり、十分な調査のないまま決議するのは拙速で、そうした前例を作るべきではない、という趣旨です。「決議案自体が県議会にとって汚点」とも述べました。

7日前に「一掃する」と言った会長が、拘束をかけた

その動議に賛成するよう会派拘束をかけたのは、7日前に選ばれた自民党県議団の新会長・渡辺勝将でした。

会長就任時、渡辺は「今までのうちの役員は一掃する」と公言しています。その7日後に、身内を守る側の拘束をかけました。

採決は起立採決でした。誰が賛成したのか、記録には残りません。

金銭の授受について、藏内議長本人は「一切ありません。議会内の人事に関して、そういうことはありえない」と全面的に否定しています。この記事は、藏内議長が金銭を受け取ったと主張するものではありません。問題にしているのは、疑惑の当否を議会が判断する場面が消えたことです。

本人は辞めると言った。それでも採決は戻らない

臨時会の前に開かれた自民党県議団の非公開の議員総会で、藏内議長は議長職を辞任する意向を示しています。時期については9月議会をめどに、議会改革が進んだ段階で、という趣旨が報じられました。

本人が辞めるなら決着ではないか、という見方はあります。

そうではない、というのがこの記事の立場です。

辞めるかどうかを決めたのは本人であって、議会ではありません。議会が判断する場面は、8月17日に消えたままです。決議案は今後も審議されません。誰が守る側に回ったのかも、起立採決なので分かりません。

本人が辞めても、採決が消えたという事実は戻ってきません。そして同じ手続きは、明日ほかの議会でも使えます。

この件のくわしい経緯は、藏内勇夫の元秘書が動議を出し、辞職勧告の採決は消えたにまとめています。党本部の対応と自民党の党則の中身も、そちらに書いています。

東京都議会は、真相解明の委員会を否決した

東京でも、同じ形が起きています。

都議会自民党をめぐって、政治資金パーティー券の収入を議員の手元に留め置き、収支報告書に記載しない処理が問題になりました。不記載を認めた現職都議は16人です。当時の議長だった宇田川聡史は議長を辞任しました。

6会派40人の提案が、77人の反対で消えた

2025年2月19日、共産・立憲・ミライなど6会派40人が、全会派が参加する「政治倫理審査委員会」の設置を共同提案します。真相を解明するための場を作ろう、という提案です。

これが77人の反対で否決されました。反対に回ったのは自民、都民ファーストの会、公明などです。

代わりに可決されたのは「政治倫理条例検討委員会」の設置でした。真相解明を目的としない委員会です。

そして条例には「遡及しない」と書かれた

4か月後、その条例が作られます。

2025年6月5日、閉会の前日になって、条例案に一文が追加されました。「条例施行前の行為には適用しない」という条項です。

この文言が入った案に自民が共同提出者として加わり、翌6月6日に可決されました。

同じ日、裏金問題を前文に明記しパーティーの自主禁止を盛り込んだ6会派の対案は、自民・都民ファースト・公明の反対で否決されています。

不記載を認めた16人の都議への再招致と資料提出の要求は、小宮安里と鈴木章浩の両氏が拒否しました。

倫理条例はできました。ただし、問題になった行為には適用されません。

日付 東京都議会で起きたこと
2025年2月19日 6会派40人が政治倫理審査委員会の設置を提案 → 77人の反対で否決
同日 代わりに「政治倫理条例検討委員会」を設置。真相解明は目的に入っていない
2025年6月5日 閉会前日に「施行前の行為には適用しない」という条項を追加
2025年6月6日 その案が可決。同日、裏金を明記した6会派の対案は否決

福岡は採決を消しました。東京は、調べる場所と、適用される期間を消しました。

長崎県議会は、百条委員会を3回止めた

長崎のケースは、対象が県議ではなく知事です。それでも並べる理由は、議会が調査権を使うかどうかという判断が、まったく同じ形で処理されているからです。

大石賢吾知事に、2022年の知事選をめぐる疑惑が出ました。自身の後援会に架空の2000万円を貸し付け、その返済金を受け取ったとされるものです。

3回出して、3回とも止まった

自民・公明を除く3会派10人が、百条委員会の設置動議を提出しました。提出側の一人が改革21の山田朋子県議、反対理由を説明したのが自民の中島浩介県議です。百条委員会は、地方自治法100条に基づく調査権で、証人喚問ができ、虚偽の証言には罰則があります。議会が持つ最も強い調査手段です。

1回目は2024年12月。最大会派の自民が1人を除いて反対し、否決されました。

2025年9月1日に再提出。そして2025年10月6日、賛成13・反対22で否決されます。

この採決で、自民の議員8人は、採決の前に退席しました。

自民が挙げた反対理由は、長崎地検が嫌疑不十分で不起訴にしたこと、というものです。

不起訴を理由に議会の調査を見送るという判断には、一定の合理性があるという見方も成り立ちます。刑事責任と政治責任は別物だという反論もありますが、「検察が起訴しなかったのだから議会が呼び出す必要はない」という論も、それ自体は筋の通った主張です。本稿はこの判断を違法だとも不当だとも書きません。記録しているのは、判断の中身ではなく、調査の是非を決める場面で自民会派がどちら側に立ったかです。

逮捕されても、殺人で起訴されても、議席は残る

もう2件、性質の違う例を挙げます。

高知県議会・当て逃げで略式起訴された自民県議

高知県議会の戸田宗崇県議(59・土佐市選出・自民)は、2026年4月10日、土佐市の市道で停車中の軽乗用車に追突し、警察に申告せずその場を離れました。

道路交通法違反(報告義務違反)で書類送検され、2026年8月4日に略式起訴されています。

自民党県連の処分は3か月の役職停止でした。本人は議員を辞職していません。県議会として辞職勧告決議は行われていません。

長野県議会・殺人罪で起訴されても任期満了まで在職

もっと極端な例があります。

長野県議会の丸山大輔元県議は、2022年11月28日に妻の殺害容疑で逮捕され、12月20日に殺人罪で起訴されました。

自民党県連は12月18日に除名処分にしています。ところが本人は議員を辞職せず、2023年4月30日の任期満了まで議席を保持しました。

信濃毎日新聞は、逮捕・起訴後も議員報酬の支払いが続いたと報じています。

丸山元県議は2024年12月23日に長野地裁で懲役19年の判決を受け、2026年4月に最高裁で確定しました。

この2件で分かるのは、党が処分しても、議席は別だということです。除名も役職停止も、議席には届きません。

辞職勧告には、法的拘束力がない

ここで制度を確認します。議員をやめさせる手段は、実は3つしかありません。

議員をやめさせる3つの手段辞職勧告決議・除名・解職請求それぞれの拘束力と使える主体の比較議員をやめさせる手段は3つ。議会が使えるものには、力がない辞職勧告決議使えるのは議会拘束力なしつまり可決されても、本人が辞めなければ議席は残る報酬も支払われ続ける除名使えるのは議会拘束力ありただし対象は「院内の秩序をみだした議員」に限られ、院外の不祥事は対象外解職請求(リコール)使えるのは有権者拘束力ありつまり議会の意思とは関係なく成立すれば議席を失う。署名の収集が必要議会が院外の不祥事に対して使える手段は、拘束力のない辞職勧告だけその拘束力のない決議さえ、福岡では採決に至らなかった※除名の要件は地方自治法134条・135条による。解職請求は同法80条以下。いずれも条文および複数の解説による整理。

整理すると、こうなります。

辞職勧告決議に、法的拘束力はありません。可決されても、本人が辞めなければ議席は残ります。長野の丸山元県議のように、報酬も支払われ続けます。

除名には拘束力がありますが、対象は「院内の秩序をみだした議員」に限られます。議場の外で起こした不祥事は、原則として対象になりません。だから逮捕や起訴に対しては、拘束力のない辞職勧告が使われることになります。

つまり議会が院外の不祥事に対して使える手段は、効き目のない決議ひとつだけです。

そして福岡では、その効き目のない決議さえ、採決されませんでした。

残る手段は2つです。有権者による解職請求(リコール)と、選挙です。

数字で見ると、自民党は道府県議の51%を持っている

ここまでは個別の事例です。次に全体を見ます。

地方議会をめぐる3つの数字自民党の道府県議席占有率、無投票当選率、政務活動費領収書のネット公開率地方議会をめぐる3つの数字2023年の統一地方選で自民党が取った道府県議席51.0%2,260議席のうち1,153議席41道府県議選の合計同じ選挙での都道府県議の無投票当選率25.9%4人に1人以上が選挙を経ずに議員になった政務活動費の領収書をネット公開している議会約7割残る約3割は非公開都道府県・政令市・中核市過半数を持っている会派が反対すれば、調査も採決も止まる※議席・無投票の数字は2023年統一地方選(日本経済新聞・地方自治総合研究所ほか)。領収書公開率は全国市民オンブズマン連絡会議の2026年7月1日調査。

過半数を持っていれば、単独で止められる

2023年の統一地方選で、自民党は41道府県議選の全2,260議席のうち1,153議席、51.0%を取りました。

この数字の意味は単純です。自民党会派が反対すれば、それだけで否決できる議会が多いということです。百条委員会も、辞職勧告も、政治倫理審査会も、過半数がなければ設置できません。

長崎の百条委が3回とも止まったのは、最大会派が反対したからです。東京で77人の反対が出たのも、同じ構造です。

4人に1人は、選挙を経ていない

もう一つの数字が、都道府県議の無投票当選率25.9%です。

2023年の統一地方選で、都道府県議の4人に1人以上が、投票を経ずに議員になりました。立候補者が定数以下だったからです。町村議会では定員割れが全国で2,000件を超えています。

対立候補がいなければ、有権者には落とす手段がありません。この記事が提案していることは、対立候補がいない選挙区では実行できません。それは事実として書いておきます。

3割の議会は、領収書を見せていない

全国市民オンブズマン連絡会議が2026年7月1日時点で調べたところ、政務活動費の領収書をインターネットで公開している議会は全体の約7割でした。

裏を返せば、約3割は公開していません。都道府県・政令市・中核市の議会での話です。

見えないものは、検証できません。

39件を並べた。30の都道府県で見つかった

福岡・東京・長崎の3件だけでは、たまたま目立った3件かもしれません。

そこで47都道府県すべてについて、2023年から2026年8月までの事案を探しました。大きさは問わず、返還額3,010円のような小さいものも入れています。

自民党の地方議員をめぐる事案を確認できた都道府県47都道府県のうち、2023年から2026年8月の間に事案を確認できた30府県を色分けした図事案を確認できたのは、47のうち30の都道府県確認できた(30)確認できなかった(17)北海道青森岩手宮城秋田山形福島茨城栃木群馬埼玉千葉東京神奈川新潟富山石川福井山梨長野岐阜静岡愛知三重滋賀京都大阪兵庫奈良和歌山鳥取島根岡山広島山口徳島香川愛媛高知福岡佐賀長崎熊本大分宮崎鹿児島沖縄※「確認できなかった」は事案が無いという意味ではありません。今回の調べ方で裏が取れなかった、という意味です。地方紙の有料記事や紙面データベースには当たれていません。

確認できたのは30の都道府県、39件です。

先に断っておくと、灰色の17県は「何もなかった県」ではありません。今回の調べ方で裏が取れなかった、という意味です。地方紙の有料記事や紙面データベースには当たれていません。むしろ調べ方を変えれば、この地図はもっと赤くなると考えるほうが自然です。

一覧

金額の大きい順ではなく、北から並べています。

都道府県 確認できたこと どうなったか
北海道 自民党会派「自由民主党・道民会議」の政務活動費2,097万円を、札幌地裁が一部違法と認定(2025年5月27日) 2026年3月6日に札幌高裁が控訴を棄却。会派・議員への処分の報道はない
宮城 自民会派の渡辺重益県議が、議会棟の駐車場から酒気帯び運転(2026年2月10日) 3日後に辞職。党・会派の処分の報道はない
宮城 柏佑賢・庄田圭佑・髙橋伸二・佐々木喜藏・石川光次郎の自民会派5県議が、旧統一教会の関連行事の交通費に政活費を充当(2017〜2022年) 仙台高裁が2026年1月27日に一部を違法と判断。処分の報道はない
山形 元自民県議の野川政文が、架空の人件費672万円を政活費から不正受給(2021年発覚) 2024年7月30日、山形地裁が県は遅延損害金348万円の請求を怠っていたと認定
茨城 議員間ハラスメントの相談窓口の設置が、白田信夫・いばらき自民党議員会長らの反対で一転見送り(2024年3月) 「議員は自制を持ってやっている」との理由。窓口は設置されなかった
栃木 自民県議の小林達也が、酒気帯び運転で衝突事故を起こし報告せず逮捕(2026年1月24日) 翌日に県連が除名。その後に議員辞職願を提出
栃木 自民党県議11人と元県議2人が、計316万円を収支報告書に記載せず(2024年11月) 各氏「事務的ミス」。処分の報道はない
群馬 当時の自民党県議団長・相沢崇文が、入札妨害とあっせん収賄で逮捕・起訴(2025年6〜7月) 離党と会派退会のみ。本人は辞職せず、公判中も議席を保持。辞職勧告決議は確認できない
埼玉 県連幹事長の小谷野五雄が、5年間に1,357件・計2,794万8,493円を私的流用と認定される(2025年10月) 除名・刑事告訴・約3,000万円の損害賠償提訴。それでも議員は辞職していない
千葉 自民県議・阿井伸也の政務活動費の按分をめぐる住民監査請求(2023年12月) 2024年2月21日に棄却。処分なし
神奈川 公費の海外視察で、自民県議団の調査団長だった松田良昭が自己都合で日程を切り上げ帰国(2024年3月) 議長にも団にも事前連絡なし。処分・旅費返還の報道はない
新潟 当時の県議会議長・小島隆が、政活費約120万円の詐欺容疑で書類送検(2023年2月17日) 議長辞任と離党のみで議員辞職はせず。同年4月に不起訴
山梨 自民県議の寺田義彦が当て逃げ。車検と自賠責保険が約3か月切れていた(2026年1月14日) 2026年7月に厳重処分の意見付きで書類送検。辞職せず、処分の報道もない
長野 当時の議長・佐々木祥二が、旧統一教会の関連会合に10回出席し政活費を返還(2023年1月) 第三者委員会の設置を求める住民の陳情を、議会運営委員会が全会一致で「審議しない」と決定
長野 自民党の県議3人が、計35万円の寄付を収支報告書に記載せず(2024年12月) 3氏とも「事務的なミス」。処分の報道はない
東京 会派が歴代幹事長(山崎一輝・三宅正彦・小宮安里・鈴木章浩ら5人)に支出した運営費770万〜1,253万円の使途が不明(2025年12月) パーティー券の不記載とは別件。処分の報道はない
愛知 自民県議・山下智也が、政活費1,856万4,463円を自主返還(2026年1月) 返還したことを理由に監査請求は中身を審理せず却下。別件の監査は「合議不調」で止まった
滋賀 自民会派の県議・大野和三郎が、政活費約584万円をだまし取ったとして在宅起訴(2024年10月18日) 起訴の前日に離党届を提出し、県連が受理
兵庫 自民県議・長岡壮寿が、ポイントで支払った分を政活費で精算し3,010円を返還(2025年7月) 「うっかりしていた」。小さな金額だが、点検して初めて出てきた
和歌山 自民県議の冨安民浩が、入札の落札予定者を教えるよう県職員に依頼し逮捕(2024年11月26日) 罰金40万円の略式命令。2024年12月27日に県議を辞職
和歌山 元議長・森礼子の政活費の按分をめぐり住民監査請求が2件(2025年・2026年) いずれも棄却。人件費の一部は本人が記載漏れを認めている
鳥取 自民県議の松田正が、ゴルフ同好会の会費約230万円を私的流用(2023年) 会派除名・党除名のうえ辞職勧告決議を全会一致で可決。それでも本人は辞職しなかった。刑事は起訴猶予
島根 県連幹事長の園山繁が「6人のうち5人が女性であることが残念」と発言(2024年10月21日) 撤回せず。処分の報道はない
岡山 自民県議団所属の県議の台湾視察が「観光旅行」だとして住民訴訟(2025年3月4日提訴) 監査は「県の施策と関連がある」として棄却
山口 自民県議の平岡望が、同僚県議を揶揄する発言をして党員資格停止2年(2025年6月17日) 最大会派を離脱して1人会派を結成。議員辞職はしていない
香川 県議21人が政活費から自治会などに「意見交換会費」を支出、公選法違反で告発 検察審査会が一度「起訴相当」と議決したが、2023年1月に全員の不起訴が確定。約2,000万円を返還
香川 県議38人の政活費のうち約4,900万円について住民監査請求(2026年) 2026年7月24日に棄却
愛媛 当時自民党所属の県議3人の政活費に、松山地裁が計約267万円の返還請求を命令(2024年3月13日) 司法判断のみ。処分の報道はない
愛媛 帽子大輔・明比昭治ら自民県議が代表を務める党支部5つが、県連からの交付金計25万円を記載せず(2023年12月) 「事務的ミス」として訂正。処分の報道はない
高知 自民県議の戸田宗崇が当て逃げをし、道交法違反で略式起訴(2026年8月4日) 県連の処分は役職停止3か月。辞職せず、辞職勧告決議も行われていない
福岡 藏内勇夫議長の辞職勧告決議案の採決が、緊急動議で中止された(2026年8月17日) 決議案は今後も審議されない。動議を出したのは元秘書の林泰輔県議
長崎 大石賢吾知事の疑惑をめぐる百条委員会の設置動議を、最大会派の反対で否決(2025年10月6日) 3回とも否決。採決前に自民の8人が退席
熊本 自民党所属の現職県議11人を含む13人が、4年間に計20回の賭けゴルフで書類送検(2024年10月28日) 不起訴 → 検察審査会が「不起訴不当」 → 再び不起訴。県連の処分も議会の調査も報じられていない
熊本 自民県議の増永慎一郎が、不倫と賭けゴルフの疑惑を報じられ離党(2024年2月19日) 離党のみ。党の処分も議員辞職もない
宮崎 自民県議・右松隆央のセクハラの一部を宮崎地裁が認定し、77万円の支払いを命令(2023年3月22日) 処分の報道はない。同氏は知事選への立候補の意向を表明している
宮崎 自民系1人会派の井本英雄県議が、暴力団を「根絶やしにするのは健全な社会ではない」と発言(2023年9月21日) 4日後に発言を取り消し。処分の報道はない
鹿児島 県警の不祥事をめぐる百条委員会の設置決議案を、自民・公明などの反対で否決(2024年10月9日) 設置を求める陳情22件を6度にわたり継続審査として先送り
鹿児島 当時の副議長・小園成美が代表を務める高齢者施設で、処方箋なしの投薬と複数の虐待が認定される(2024年) 行政処分は施設と運営会社のみ。議員本人への処分の報道はない
沖縄 県連幹事長代理の大浜一郎が、知事を「極左暴力集団が全部支えている」と発言(2026年8月8日) 撤回せず。処分の報道はない

並べて見えてくること

39件を通して見ると、いくつか繰り返される形があります。

1つ目は、返せば終わる、という形です。

愛知では、自民県議が政務活動費1,856万4,463円を自主返還しました。ところが返還したことを理由に、住民監査請求は中身を審理しないまま却下されています。何に使ったのかは、いまも明らかになっていません。

山形では、元県議が架空の人件費672万円を不正受給していました。本人は元本を返しましたが、2024年7月の山形地裁の判決は、県が遅延損害金348万円の請求を怠っていたと認定しています。返させる側も、取り立てていませんでした。

2つ目は、処分が党までで止まる、という形です。

埼玉の県連幹事長は、5年間に1,357件・計2,794万8,493円を私的流用したと県連の調査委員会に認定されました。高級ウイスキー466本、女性用バッグ、ペット用品などが含まれます。除名され、刑事告訴され、約3,000万円の損害賠償も請求されています。

それでも、議員は辞職していません。

群馬では、当時の自民党県議団長があっせん収賄で起訴されました。離党と会派退会はしましたが、公判中も議席を持ったままです。辞職勧告決議が出された形跡は確認できませんでした。

党を出ることと、議席を失うことは、別だということです。

3つ目は、決議しても辞めない、という形です。

鳥取では、自民県議の松田正が、ゴルフ同好会の会費約230万円を私的流用しました。会派が除名し、党も除名し、県議会は辞職勧告決議を全会一致で可決しています。

この記事の前半で「拘束力がない」と書いたことが、そのまま起きました。全会一致で可決されても、本人は辞めませんでした。刑事のほうも起訴猶予です。

4つ目は、調べる仕組みそのものを止める、という形です。

これが福岡と同じ型です。

鹿児島では、県警の不祥事をめぐる百条委員会の設置決議案が、自民・公明などの反対で否決されました。設置を求める陳情22件は、6度にわたり継続審査として先送りされています。

長野では、当時の議長が旧統一教会の関連会合に10回出席していた問題で、住民が第三者委員会の設置を求める陳情を出しました。議会運営委員会は、これを「委員会に付託せず審議しない」と全会一致で決めています。

茨城では、議員間ハラスメントの相談窓口が2024年4月に設置される予定でした。最大会派の反対で、一転して見送られています。理由は「議員は自制を持ってやっている」でした。

5つ目は、刑事にならない、という形です。

熊本では、自民党所属の現職県議11人を含む13人が、4年間に計20回の賭けゴルフをしたとして書類送検されました。不起訴になり、検察審査会が「不起訴不当」と議決し、そして再び不起訴になりました。

県連の処分も、議会の調査も、報じられていません。

香川では、県議21人が政活費から自治会などに「意見交換会費」を支出した件で告発され、検察審査会が一度「起訴相当」と議決しましたが、最終的に全員の不起訴が確定しました。返還したのは約2,000万円です。

処分された例も、ちゃんとある

片側だけを並べるのは公平ではないので、書いておきます。

栃木では、酒気帯び運転で逮捕された県議を、県連が翌日に除名しました。

和歌山では、入札情報の漏えいを職員に依頼した県議が罰金の略式命令を受け、その月のうちに議員を辞職しています。

宮城では、酒気帯び運転が発覚した県議が3日後に辞職しました。

つまり、辞める人は辞めています。組織として一律にかばっているわけではありません。

ただし、この3件に共通するのは飲酒運転や逮捕といった、争いようのない事実がある場合だということです。逆に、政務活動費の使い方、発言、会合への出席、身内の疑惑——解釈の余地があるものは、ほとんど処分に至っていません。

兵庫県議会は、身内を刑事告発した

ここで、この記事の主張にとっていちばん都合の悪い事実を出します。

兵庫県議会では、まったく逆のことが起きました。

100泊超、185万8千円

兵庫県議会の松井重樹元県議(自民)は、県職員と面会したという虚偽の申請で、5年間に100泊を超える宿泊、約185万8千円を政務活動費から不正に支出していました。

自民党会派は返金を受けたうえで、松井を除名処分にします。議会は辞職願を許可しました。

そこで終わりませんでした。

各会派の代表者会議のメンバーが、詐欺と虚偽公文書作成などの疑いで刑事告発したのです。生田署がこれを受理しました。

日付 兵庫県議会で起きたこと
2025年9月24日 議会が辞職願を許可。自民党会派が除名処分
2025年10月14日 議長が刑事告発の方針を表明
2025年12月12日 告発を生田署が受理したと発表

この一件が証明していること

この事実は、「自民党会派は必ず身内をかばう」という一般化を反証します。兵庫の自民党会派は、かばいませんでした。

ただし、反証されるのは一般化のほうであって、福岡・東京・長崎で起きたことの評価ではありません。

むしろ逆です。兵庫にできたのだから、福岡にもできたのです。

制度が同じで、党が同じで、扱っている問題の種類も近い。それでも一方は刑事告発まで進み、一方は採決すら開かなかった。差を作ったのは制度ではなく、その会派の判断です。

「決められない仕組みだった」という説明は、兵庫の一件によって使えなくなります。

その兵庫県議会は、有権者に否定されている

ところが、話はここで終わりません。

兵庫県議会をこの記事の「良い例」として置くなら、同じ議会にもう一つ起きたことを書かなければ不公平です。

兵庫県議会が追及した2件と、有権者の判断斎藤知事への不信任決議と松井元県議の刑事告発、その間に行われた知事選の結果兵庫県議会は二度、追及する側に回った。その間に一度、否定されている2024年9月19日全会一致で知事の不信任2024年11月17日知事選で斎藤元彦が再選111万票超・2位に13万票差2025年9月〜12月元県議を除名し刑事告発議会が仕事をした結果は、選挙では報われなかった※青=議会が追及した場面、赤=有権者の判断。不信任は自民を含む全会派の賛成による。知事選の得票は報道による概数。

史上初の、全会一致の不信任

2024年9月19日、兵庫県議会は斎藤元彦知事に対する不信任決議を可決しました。

全会一致です。自民党会派も含め、すべての会派が賛成しました。

知事に対する不信任決議は、戦後の日本で岐阜(1976年)、長野(2002年)、徳島(2003年)、宮崎(2006年)の4件しかありません。全会一致は史上初でした。

きっかけは、県の内部告発文書をめぐる問題です。百条委員会での証言を経て、パワハラ、贈答品の受領、告発者への対応などが問われました。告発した元県民局長は、2024年7月に亡くなっています。

不信任を受けた知事は、議会を解散するか失職するかを選ぶことになります。斎藤知事は議会を解散せず、9月30日午前0時に失職しました。

そして、有権者は知事を選び直した

2024年11月17日、出直しの知事選が行われました。

斎藤元彦が再選します。111万票を超える得票で、2位に13万票以上の差をつけました。

議会から全会一致で不信任を受けた知事が、出直し選挙で再選したのは、2002年の長野・田中康夫に次いで戦後2人目です。

議会が仕事をしても、票にはならなかった

ここが、この記事にとっていちばん痛いところです。

整理すると、兵庫県議会がやったことはこうなります。

時期 兵庫県議会がやったこと
2024年 百条委員会を設置し、全会一致で知事の不信任を可決した
2025年 自民党会派が身内の元県議を除名し、議会が刑事告発した
その間 有権者は、議会が退けた知事を選び直した

この記事は「議会が身内を止めるから、有権者が票で落とすしかない」と書いてきました。

兵庫は、その逆の順序を見せています。議会は止めませんでした。調べ、告発し、不信任まで出しました。そして有権者のほうが、議会の判断を退けたのです。

これは「票で落とす」という手段そのものに対する、いちばん重い反証です。

そして緊張は、いまも続いている

再選から1年たった2025年11月の時点でも、知事と議会の関係は修復されていません。

百条委員会で委員長を務めた奥谷謙一県議は、告発文書の問題についていくら質問しても知事は本心で答えない、という趣旨の批判を続けています。

追及した議員は、いまも同じ議会にいます。そして、その追及は結果を生んでいません。

福岡の県議たちがこの光景を見ていなかったとは考えにくい、とは書けます。ただし、それが動議の理由だったという証拠はありません。ここは推測なので、事実としては書きません。

党本部も、決めないと言っている

では、上はどうしていたのか。

2026年7月13日、自民党本部で鈴木幹事長と萩生田幹事長代行らが、福岡県連会長の松本國寛と、当時の県議団会長の松尾統章と面会しました。

面会後、鈴木幹事長は記者団にこう述べています。

都道府県連は大きな自治の世界だ。党本部で決めるわけではない

── 鈴木幹事長(2026年7月13日・西日本新聞ほかの報道による)

ところが、自民党の党則は党紀委員会の権能を「党の規律保持および党員の賞罰に関して審査を行う」と定めています。「国会議員」ではなく「党員」です。県議も党員です。

さらに、処分は重い順に8段階あり、そのうち下位4つ(役職辞任勧告・党の役職停止・戒告・党則順守の勧告)は幹事長の権限だけで出せます。

決める仕組みがないのではありません。使わなかったのです。

県議団は採決を消し、県連は動かず、党本部は「自治の世界だ」と言った。どの階層でも、判断が下りていません。

だから、票で落とすしかない

ここからは論評です。ここまでに書いた事実から、この記事が導く結論を述べます。

議会の中に、止める手段が残っていない

整理します。

議会が院外の不祥事に使えるのは、拘束力のない辞職勧告だけです。その決議を出すにも、百条委員会を作るにも、政治倫理審査会を開くにも、過半数がいります。

そして道府県議の51.0%を、自民党が持っています。

つまり自民党会派が反対する限り、議会の中には止める手段がありません。福岡でも、東京でも、長崎でも、鹿児島でも、長野でも、茨城でも、実際に止まりました。

そして、事案そのものは30の都道府県で見つかりました。調べ方を変えれば、その数はまだ増えます。

党本部は「県連の自治」と言い、処分できる党則を使いません。党の中にも止める手段がありません。

残っているのは、外からの2つだけ

拘束力のある手段は、有権者が持っている2つだけです。解職請求と、選挙です。

解職請求は署名を集める必要があり、対象は1人ずつです。全国で起きている構造に対しては、道具として重すぎます。

残るのは、選挙です。

個人の非行を理由にしていない

ここは強調しておきます。この記事は、自民党の地方議員が個々に不正をしていると主張していません。

大多数の議員は、何の不祥事も起こしていません。それは前提です。立候補も当選も、正当な権利です。

問題にしているのは会派としての行動です。身内の疑惑が出たとき、調査に賛成するか、止める側に回るか。福岡でも東京でも長崎でも、多数派は止める側に回りました。そして起立採決だから、誰が止めたのかは分かりません。

会派拘束がかかれば、個人の判断は表に出ません。個々の議員を評価する材料が、有権者に与えられていないということです。

評価する材料がない以上、会派ごと落とすという判断が、有権者に残された最後の手段になります。これが、この記事の主張です。

この主張には、こう反論できる

自分で書いた主張に、反論を並べます。どれも成り立つ反論です。

反論1|連座制のような発想ではないか

最も重い反論です。福岡の県議団がやったことを理由に、鳥取や秋田の県議を落とすのは、行為者でない人に責任を負わせることになります。

これに対する答えは「政党への投票とは、もともとそういう性質のものだ」というものになります。政党の看板で当選している以上、その政党の組織としての行動は評価対象に入る——これが再反論です。

ただし、この再反論が十分かどうかは、読む人によって割れると思います。

反論2|兵庫の例があるではないか

そのとおりです。兵庫の自民党会派は身内を除名し、議会は刑事告発しました。この記事はその事実を自分で書いています。

「自民党の地方議員は全員同じ」とは言えません。言えるのは「同じ党でも議会によってまったく違い、有権者にはどちらのタイプか事前に分からない」までです。

反論3|対立候補がいない

都道府県議の25.9%が無投票当選です。落とそうにも、対抗馬がいない選挙区が4分の1あります。

この反論に、この記事は答えを持っていません。

反論4|代わりが良いとは限らない

自民党の議員を落として当選する人が、より良い議員だという保証はありません。

これも成り立つ反論です。この記事は「誰に入れるべきか」を書きません。それは有権者が決めることであり、この記事が扱っているのは「入れないという選択肢がある」というところまでです。

反論5|兵庫では、有権者のほうが間違えたのではないか

この記事にとって最も重い反論です。

兵庫県議会は全会一致で知事の不信任を出し、身内の元県議を刑事告発しました。議会が仕事をした典型例です。そして有権者は、その議会が退けた知事を選び直しました。

だとすれば、「議会が機能しないから有権者が落とせ」という筋書き自体が疑わしくなります。有権者は、必ず追及する側を支持するわけではないからです。

この記事は、この反論に反論しません。そのとおりだと考えています。

言えるのはここまでです。票で落とすことは、正しい結果を保証する手段ではありません。ただ、拘束力を持つ手段が有権者の側にしか残っていない、というのも同時に事実です。効く保証のない道具しか残っていない、というのが正確な言い方だと思います。

反論6|国政と地方は別ではないか

この点は、この記事も同じ立場です。

国政で政権が公約を実行しようとしていることと、地方組織が身内の疑惑を止めていることは、別の話です。本稿が扱っているのは後者だけです。国政の評価をここから導いてはいません。

落選運動には、法律のルールがある

特定の候補者や政党に投票しないよう呼びかける活動は「落選運動」と呼ばれ、日本では合法です。ただし、守るべきルールがあります。

条文 内容
公選法142条の5 落選運動に使うウェブサイト等には、電子メールアドレス等の連絡先を表示する義務がある
公選法142条の4 電子メールでの落選運動は禁止。ウェブサイトやSNSへの投稿は可
公選法235条 虚偽事項公表罪。当選させない目的で虚偽の事実を公にすることは犯罪
刑法230条 名誉毀損。公共の利害に関する事実で、公益目的があり、真実であれば罰しない

この記事は、次の形で書いています。

事実として書いたのは、報道されている記録だけです。誰がいつ何を提出し、どう処理されたか。数字は公的な調査と選挙結果によるものです。

「票を入れない」は意見です。事実ではありません。前章に「ここからは論評です」と書いたのは、そのためです。

また、この記事の対象は政党の会派としての行動であって、個々の候補者の人格や資質ではありません。個人の犯罪や不正を理由に落選を呼びかけているものではありません。

次の統一地方選は2027年4月です。投票日は前年の特例法で決まるため、まだ確定していません。現時点は選挙運動期間ではなく、通常の政治活動の範囲です。

ここに書いた法律の整理は、条文と一般的な解説にもとづくもので、法律実務家の見解ではありません。実際に選挙期間中に同種の発信をする場合は、各選挙管理委員会の案内を確認してください。とくに142条の5の連絡先表示は、選挙期間中に落選運動を行う場合の義務です。

これから確認できる日付

この記事の主張が正しかったかどうかは、これから確かめられます。確認できる日付を書いておきます。

時期 確認できること
福岡・調査中 県議会が全会一致で設置を決めた第三者委員会が、何を結論として出すか
福岡・今後 藏内議長が表明した辞任が、いつ実行されるか(辞任の条件に期限がない)
兵庫・捜査中 生田署が受理した告発が、立件に至るかどうか
2026年内 自民党本部が、福岡県連の疑惑に党則上の処分を出すかどうか
2027年4月 統一地方選。無投票当選率が25.9%からどう動くか。自民党の議席占有率が51.0%からどう動くか

とくに最後の行が重要だと考えています。無投票当選率が下がらなければ、有権者の側にも選択肢がないままだということになるからです。

この記事が呼びかけているのは、突きつめると「対立候補が立つ状況を作れるか」という話でもあります。落とす相手がいても、代わりがいなければ議席は動きません。

あなたの県では、来年の春、選挙になりますか。それとも、無投票で決まりますか。

この記事で使った資料と、その確度

★が低いから使わない、という意味ではありません。★2でも、用途を限定すれば材料になります。何に使い、何に使わなかったかを書いています。

確度 媒体 資料 評価の理由
★5 自由民主党(公式) 機構図・党則 党本部に処分権限があることの根拠。当事者が公開している一次資料。処分の8段階と幹事長単独の権限はnippon.com日本経済新聞の解説で補った
★4 全国市民オンブズマン連絡会議 政務活動費・領収書のネット公開調査 自ら全議会を調査し、公開ページへのリンクまで出している。「約7割」は2026年7月1日時点の調査値。市民団体なので論調は入るが、この数字は手続きが追える
★4 日本経済新聞 自民、道府県議選で過半数 51.0%(1,153/2,260議席)の出所。選挙結果の集計なので数字の追跡が可能。この記事の骨格を支える数字
★4 地方自治総合研究所ほか 2023年統一地方選挙の分析無投票当選の増加 無投票当選率25.9%の裏付け。複数の媒体が同じ数値を示している。研究機関の集計なので算出方法が確認できる
★4 西日本新聞 鈴木幹事長「福岡県連での実態解明が重要」県議の処分を鈴木幹事長が否定 「党本部で決めるわけではない」の出所。自社取材で、日本語の発言が原文で読める。だから鉤括弧で引用している
★3 東京新聞 政治倫理審査委の設置案を否決条例に遡及しない条項6会派案を否決 東京都議会パートの主要ソース。論調が明確に批判寄りの媒体なので、採決の日付・賛否の人数といった検証できる事実だけを使い、評価の部分は採用していない
★3 NCC長崎文化放送・西日本新聞 百条委設置動議を否決自民8人が退席大石知事の疑惑 地元局が採決の場を直接取材している。賛成13・反対22という数字と退席の事実は複数社で一致。知事の疑惑の当否には踏み込まず、議会の判断だけを使った
★3 神戸新聞・日本経済新聞・サンテレビ 松井元県議の政活費不正辞職と除名告発の受理 この記事の主張に対する反例として使った。都合の悪い材料なので、あえて複数社で裏を取っている
★3 信濃毎日新聞・時事通信 丸山元県議、任期満了まで報酬継続最高裁で確定 地元紙が任期満了と報酬の事実を追っている。「辞職勧告に拘束力がない」ことの具体例として使い、事件の内容には踏み込んでいない
★3 高知新聞・高知さんさんテレビ 戸田県議の略式起訴県連の役職停止処分 地元紙・地元局が経過を継続的に報じている。県議会が辞職勧告決議を出していないことは、報道されていないという意味であり、明示的な否定ではない
★3 TNC・KHB・東京新聞 採決取りやめの経緯林県議の動議理由自民県議団の対応 福岡パートの経緯。林県議の発言は日本語の原文が読めるものだけを鉤括弧に入れ、それ以外は「〜という趣旨」に落としている
★5 各県の監査委員・裁判所 和歌山県の監査結果千葉県の監査結果鳥取県議会の辞職勧告決議山形地裁判決 全国一覧のうち、監査結果・判決文・決議文そのものが読めるもの。当事者の記録なので解釈が入らない。金額と日付はここから取った
★3 各地の地方紙・地方局 下野新聞/上毛新聞/神奈川新聞/信濃毎日新聞/北海道新聞/神戸新聞/中国新聞/愛媛新聞/熊本日日新聞/南日本新聞/沖縄タイムスほか(個別のリンクは一覧表の各行に張ってある 地元を継続取材しているので事実は取れる。ただし有料記事が多く、氏名まで確認できなかった件がある。その場合は「県議◯人」と人数だけを書いた
★3 各地の市民オンブズマン 仙台市民オンブズマン名古屋市民オンブズマン全国市民オンブズマン連絡会議の住民訴訟一覧 請求する側なので論調は明確に批判寄り。ただし判決文・監査結果のPDFを原本で公開しているので、数字はその原本のほうを見て書いた
★2 解説記事・法令解説 辞職勧告決議の解説公職選挙法改正(衆議院) 制度の枠組みを理解するために使い、条文の解釈そのものの根拠にはしていない。142条の5・235条の条文自体は衆議院の法令ページで確認した

この記事で埋まらなかったもの

正直に書きます。

17の県では、事案を確認できませんでした。青森、岩手、秋田、福島、富山、石川、福井、岐阜、静岡、三重、京都、大阪、奈良、広島、徳島、佐賀、大分です。これは「何もなかった」という意味ではありません。地方紙の有料記事や紙面データベースに当たれておらず、無料で読める範囲で裏が取れなかった、というだけです。

辞職勧告決議案そのものが自民党会派の反対で否決された事例は、福岡以外に見つかりませんでした。東京は政治倫理審査委員会、長崎と鹿児島は百条委員会、長野は第三者委員会、茨城はハラスメント相談窓口で、止まった対象が違います。「採決を消す」という形そのものの反復は、いまのところ福岡の1件だけです。

都道府県議会で起立採決と記名投票のどちらが使われているかの全国集計も、見つかりませんでした。「誰が賛成したか分からない」は福岡で確認した事実であり、全国の割合は不明です。

議員定数削減や議会改革が自民党会派の反対で否決された事例は、確認できていません。むしろ逆の動きが出ています。富山県議会では2026年6月10日、自民・公明が定数を40から38に減らす条例改正案を提出する方針を決めました。

また、一覧のうち7件は氏名を書いていません。栃木の不記載13人、長野の不記載3人、東京の会派運営費以外のパーティー券不記載、岡山の台湾視察、香川の21人と38人、愛媛の政活費3人、熊本の賭けゴルフ13人です。いずれも報道が実名を出していないか、有料部分にしか出ていません。

報道が名前を出していない人を、こちらが名前で書くことはしていません。逆に、報道が実名で伝えている人は、すべて実名で書いています。

もう一点。宮崎の井本英雄県議は、所属会派が「自民党同志会」であることまでは確認できましたが、自民党の党籍を明示した報道は見つかりませんでした。そのため本文では「自民系1人会派」と書いています。

このほか、熊本県議・吉永和世が代表を務める会社が選挙区内の団体に協賛金5万円を支払っていた件(2023年4月報道、処分の報道なし)も確認していますが、一覧に入れると件数が変わるため本文の数には含めていません。

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この記事に登場する人物藏内勇夫

編集者K

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