高市政権が初めて作った骨太方針は、これまでのものと何が違うのか。
この問いに一言で答えるのが、意外と難しい。変わった箇所が多すぎるからだ。
数えてみると25箇所ある。しかも財政目標、予算の作り方、お金の行き先、負担のルール、使う言葉、政府の組織という6つの層に散らばっている。ひとつひとつは地味だが、まとめて見ると20年続いた予算の作法が一度に組み替わっている。
報道の見出しは「PB黒字化目標を掲げず」「成長重視」に集中した。間違ってはいないが、25分の2でしかない。
この記事では、25箇所を全部並べる。1項目あたり数行で、専門用語は全部開く。細かい理屈より、何がどう変わったかを一覧できることを優先する。
そして最後まで並べたとき、25の変更すべてに共通する一点が見えてくる。そこがこの骨太方針のいちばんの特徴だと思う。結論は最後に書くので、まずは順に見ていってほしい。
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そもそも骨太方針とは何か
毎年6月から7月ごろに閣議決定される文書で、正式名称は「経済財政運営と改革の基本方針」という。
役割は翌年度の予算をどういう考え方で作るかを、政府として先に決めておくことだ。各省庁はこれを見て8月末の概算要求(来年これだけくださいという申請)を作り、財務省はこれを根拠に削る場所と通す場所を決める。
法律ではないが、その年の予算の設計図としては最も強い文書である。ここに一行入るかどうかで数千億円が動く。だから毎年、与党内で激しい調整が起きる。
今回のものは「経済財政運営と改革の基本方針2026 『責任ある積極財政』元年 ~日本の挑戦を起動する!~」という。この副題からして、これまでと違う。
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【層1】財政の目標が変わった
①PB黒字化目標が、中核から外れた
PB(プライマリーバランス、基礎的財政収支)とは、借金の返済と利息を除いた収支のこと。今年の政策に使うお金を今年の税収で賄えているか、を見る指標である。
この「PBを何年度までに黒字にする」という目標は、小泉政権期から政権が何度代わっても骨太方針に残り続けてきた。2026年版で、初めて中核から外れた。
②代わりに「債務残高対GDP比」が中核になった
財政運営の目標としては、債務残高対GDP比の安定的低下を中核と位置付ける
──基本方針2026(第1章)
債務残高対GDP比とは、国と地方の借金の総額を経済規模で割ったもの。借金が増えても、経済がそれ以上に大きくなれば比率は下がる。
これが実務で効くのはここだ。大型投資をすればその年のPBは悪化するので、これまでは自動的に減点だった。債務残高対GDP比なら、投資が経済を押し上げるかぎり比率は下がりうる。投資が「悪化要因」から「改善手段」に変わる。
③PBは残るが、単年度で見なくなった
PBは廃止されたわけではない。「債務残高対GDP比の低下に向けて確認する指標」という位置づけになり、複数年で管理すると定められた。
景気の悪化や投資の必要があれば、一時的にPBが赤字でも構わない形になった。
④2027〜2040年度の「中長期経済財政計画」を新設した
これはあまり報じられていないが、大きい。14年間を計画期間とする財政計画が、初めて作られた。
骨太方針の第3章が、そのまま計画本体になっている。目指す姿として3つの数字が掲げられた。
| 目標 | 中身 |
|---|---|
| GDP | 2040年度に1,100兆円に近づく |
| 成長率 | できるだけ早期に実質1%超、名目3%超を定着させ、さらに引き上げる |
| 債務残高対GDP比 | 安定的に低下させる |
⑤国債の発行額を具体的に示す
骨太方針2026は、「債務残高対GDP比を安定的に引き下げていく中でも可能となる財政規模を精査し、市場の信認確保に配意しつつ、通年の国債発行額などを具体化する」と書いた。
年間でどれだけ国債を出すかを、あらかじめ示すという方向である。市場に対して先に手の内を見せることで、金利の急変を避ける狙いだと読める。
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【層2】予算の作り方が変わった
⑥「単年度主義」をやめる
ここが2番目の柱である。原文はこうだ。
民間投資を引き出すために政府予算の予見可能性を確保する観点から、財政単年度主義の弊害を是正し、予算の作り方を根本から改める
──基本方針2026(第1章)
財政単年度主義とは、予算を1年ごとに区切って決める仕組みのこと。憲法と財政法に由来する原則である。
この仕組みには理由がある。国会が毎年、税金の使い道をチェックできるようにするためだ。複数年分をまとめて認めてしまうと、途中で状況が変わっても止められない。だから1年ごとに区切って、毎年審議する。
民主主義の根幹に関わる仕組みなので、「弊害を是正する」と書くのは、それなりに踏み込んだ表現である。
ただし副作用がある。10年かかる研究開発でも、予算は1年分しか約束されない。来年も続く保証がないので、企業は設備投資に踏み切れないし、研究者は長期のテーマを立てられない。
骨太方針2026は、複数年度にわたる予算措置、国庫債務負担行為(数年分の契約を先に結ぶ仕組み)、財政投融資、出資などを組み合わせて、この制約を緩めるとした。
⑦『「強く豊かな日本」投資枠』を新設する
通常の歳出とは別枠で、投資のための枠を作る。使途は2種類。
- 危機管理投資──災害、エネルギー、食料、部品の供給網など、途絶えると国が困るもの
- 成長投資──AI、量子、半導体など、先端技術を産業にするもの
規模は書かれていない。「財政の持続可能性を実現しながら必要十分な規模を確保」とあるだけで、金額は今後の予算編成で決まる。
⑧経済安全保障の分野は、特別会計で別枠管理する
これも見落とされやすい。骨太方針は「経済安全保障上、特に重要な分野などについては、特別会計において別枠管理」と書いている。
特別会計とは、一般会計とは別に設けられる財布のこと。使途が限定される代わりに、年度をまたいで使いやすい。投資枠のさらに外側に、もう一段の別枠を作るという意味である。
⑨一律に削る予算編成をやめる
これまでは各省庁が要求できる額に上限をかけていた。デフレの時代に全体を膨らませないための仕組みである。
骨太方針2026はこれを「デフレ・低成長時代の一律抑制型の予算編成」と名指しし、「物価・賃金上昇を的確に反映し、経済の成長力強化と名目の経済規模の拡大にふさわしい予算編成へ転換」すると書いた。
物価が上がっているのに枠が去年と同じなら、実質的には削減になる。その構造をやめる宣言である。
⑩補正予算頼みをやめる
補正予算は緊要性の高いものに限定し、恒常的な施策については当初予算で措置
──基本方針2026 概要
補正予算とは、年度の途中で追加する予算のこと。本来は災害など急な事態のためだが、実際には毎年恒例になり、当初予算に入れられなかった施策の受け皿になってきた。
当初予算は国会で長時間審議されるが、補正は審議期間が短い。当初予算に載せるということは、審議の対象を増やす方向の変更である。
⑪基金のルールを抜本的に見直す
基金とは、複数年にわたって使えるお金をまとめて積んでおく仕組み。使い残しが積み上がっていることが繰り返し指摘されてきた。
骨太方針は「基金ルールの抜本的な見直しを具体化」とした。投資枠を作って支出を増やす一方で、こちらは締める。
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【層3】お金の行き先が変わった
⑫17分野・62製品を、固有名詞で名指しした
投資の対象が、抽象論ではなく製品名で列挙された。2040年度までの累計で、官民あわせて370兆円超の投資を想定する。
| 系統 | 分野 |
|---|---|
| 情報・AI | AI・半導体/デジタル・サイバーセキュリティ/情報通信/量子 |
| 安全保障 | 防衛産業/航空・宇宙/海洋/造船 |
| 素材・生命 | マテリアル(重要鉱物・部素材)/合成生物学・バイオ/創薬・先端医療 |
| エネルギー | 資源・エネルギー安全保障・GX/フュージョンエネルギー |
| 国土・生活 | 防災・国土強靱化/港湾ロジスティクス/フードテック/コンテンツ |
62製品の中には、艦艇、空飛ぶクルマ、月面探査、海洋ドローン、次世代革新炉、永久磁石、陸上養殖などが並ぶ。
そして最後の5つがゲーム、アニメ、マンガ、音楽、実写である。コンテンツが量子コンピューターや艦艇と同じ「戦略分野の製品」として扱われた。
⑬国内投資の目標を2040年度250兆円に置いた
370兆円は官民合計の投資額だが、国内投資については別に「2040年度に250兆円」という目標が新たに設定された。
そして達成状況を確認するため、各地域で投資がどれだけ進んだかを公表する「国内投資マップ」を定期的に改定するとした。数字が出るということは、あとから検証できるということでもある。
⑭「地方創生」が「地域未来戦略」に置き換わった
石破政権の骨太では、地方創生が独立した節として立っていた。ふるさと住民登録制度、関係人口といった施策が並んでいた。
2026年版では独立節としての地方創生が消え、「強い地域経済の構築」の中の「地域未来戦略」に再編された。
中身も変わっている。移住や関係人口で人を呼ぶ発想から、産業クラスター(関連企業の集積地)を作って稼ぐ発想へ。地域未来交付金の拡充、都道府県を超えたブロック単位での投資、インフラと産業の一体整備が柱になった。
⑮社会保障の支出には、上限が残った
投資には別枠を作る一方、社会保障の伸びには上限が残されている。
扱いは脚注でこう整理された。「給付と負担の改革努力を継続しつつ、高齢化による増加分に相当する伸びに経済・物価動向等を踏まえた対応に相当する増加分を加算する」。
高齢化で自然に増える分と物価に対応する分は認めるが、それ以外は増やさない。支出の重心を社会保障から投資へ移す、というのがこの骨太を貫く方向性である。
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【層4】負担のルールが変わった
⑯現役世代の保険料に、天井をつける
骨太方針は「現役世代の保険料率の上昇を止め、引き下げていく」と明記し、手段として「マクロ的な社会保障負担率の目標」を検討するとした。具体的には2027年度の負担率を2025年度より上げないという考え方である。
社会保障負担率とは、社会保険料の負担総額を国民所得で割った比率。2024年度で18.5%、2025年度は17.8%の見込みなので、この17.8%程度が天井になる。税と合わせた国民負担率は46.7%である。
⑰これは「見えない負担増」への歯止めでもある
この目標には、表に出ていない意味がある。PB黒字化目標も債務残高対GDP比も、対象は「国と地方」だけで、社会保険の勘定は入っていない。
だから財源を保険料に寄せれば、給付を増やしても財政の指標には現れない。増税なら国会の審議、国債なら指標の悪化という関門を通るが、保険料は料率の改定だけで済む。実例が2026年4月から医療保険料に上乗せされている「こども・子育て支援金」で、年収400万円なら月384円である。
負担率に天井をつけると、この経路が数字に出る。財源をどこから取るかという選択が、外から見えるようになる。
⑱給付の見直しに、期限がついた
保険料を上げずに物価上昇へ対応するには、給付を絞るしかない。期限つきで進んでいるものはこうだ。
| 項目 | 時期 |
|---|---|
| 介護保険の2割負担の判断基準を見直す | 2026年度中に結論 |
| 市販薬に似た薬の保険給付を見直す | 2027年度以降 |
| 病床数の適正化、医療機関の再編・集約 | 2027年度以降 |
| 高齢者の窓口負担(年齢によらない応能負担へ) | 基準は今後 |
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【層5】使う言葉が変わった
⑲「財政健全化」が11回から0回になった
2025年版(石破政権)と2026年版(高市政権)の本文を単語単位で比較した分析がある。数字を並べる。
| 語 | 2025年版 | 2026年版 |
|---|---|---|
| 財政健全化 | 11回 | 0回 |
| 財政の持続可能性 | 0回 | 13回 |
| 市場の信認 | 0回 | 9回 |
| 投資 | 60回 | 157回 |
| 成長 | 58回 | 139回 |
| 地域 | 184回 | 108回 |
| 賃上げ | 48回 | 10回 |
| デジタル | 77回 | 17回 |
「財政健全化」という語には黒字=正しい、赤字=正すべきもの、という前提が組み込まれている。使い続けるかぎり、投資のための赤字も「不健全」に分類される。
代わりの「財政の持続可能性」「市場の信認」は、借金が経済規模に対して膨らみ続けなければよい、国債が買われ続けていればよいという基準になる。言葉の入れ替えは、そのまま予算査定の物差しの入れ替えである。
⑳最低賃金1,500円の期限が、後ろにずれた
石破政権は「2020年代に全国平均1,500円」を掲げていた。2026年版はこう書き換えた。
「遅くとも2030年代前半できる限り早期に全国平均1,500円を達成する」。
代わりに「2029年度までに実質賃金で年1%程度の上昇」という目標が置かれた。最低賃金を法律で引き上げる路線から、投資で生産性を上げて賃金の原資を作る路線への転換と読める。
㉑「AX」「フィジカルAI」という新語が入った
「デジタル」「DX」の登場回数が激減した一方、「AX(AIトランスフォーメーション)」が0回から8回、「フィジカルAI」が0回から3回と新たに登場した。
フィジカルAIとは、画面の中だけでなく、ロボットや機械として現実世界で動くAIのこと。日本の製造業の強みと組み合わせる分野として、成長戦略の中心に据えられている。
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【層6】政府の組織が増える
㉒防災庁を設置する
事前防災から発災後の復旧・復興までを一貫して指揮する司令塔として、防災庁を設置する。あわせて地方機関として「防災局」も置く。
㉓国家情報会議・国家情報局を設置する
インテリジェンス(情報収集・分析)の機能を抜本的に強化するとして、国家情報会議と国家情報局の設置が明記された。
骨太方針は、「選挙の公正や自由な報道といった民主主義の根幹を脅かす、偽情報の拡散を含む外国からの影響工作」への対応も掲げている。
㉔副首都の整備を進める
首都直下地震などで政府の機能が止まることを防ぐため、首都中枢機能の代替地域と副首都の整備を進めるとした。法案の成立が前提である。
㉕「人口総合戦略(仮称)」を2026年末めどに作る
少子化対策と人口減少への対応を一本化した戦略を、2026年末を目途に策定すると定めた。人口戦略本部の体制を強化する。
注目すべき一文がある。「併せて将来必要となる労働力人口の規模についても多角的に検討する」。これは外国人労働者の受け入れ規模の議論に直結しうる部分である。
なお、骨太方針2026は「外国人政策の推進」を「国民の安全・安心の確保」の章の中に独立した項目として置いている。
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この変更で、誰の仕事が変わるか
制度の話だけだと実感が湧きにくいので、立場ごとに整理する。
| 立場 | 何が変わるか |
|---|---|
| 財務省 | 「財政健全化に反する」「PBが悪化する」という査定の根拠を2つとも失った。代わりに債務残高対GDP比と市場の信認で説明する必要がある |
| 各省庁 | 17分野に絡む施策なら投資枠を狙える。絡まない施策は通常の歳出で戦うことになり、相対的に不利になる |
| 企業 | 複数年度の支援が約束されれば、10年単位の設備投資や研究開発に踏み切れる。17分野に入っているかどうかが決定的になる |
| 地方自治体 | 移住や関係人口の施策より、産業クラスターの計画を書けるかどうかが問われる。「国内投資マップ」で進捗が公表される |
| 医療・介護 | 公定価格には物価が反映される一方、病床の再編や給付範囲の見直しが同時に進む |
| 働く人 | 保険料に天井がつく。ただし最低賃金1,500円の期限は後ろにずれた |
| 国会 | 補正予算が減れば審議は増える。複数年度の措置が増えれば毎年のチェックは減る。差し引きはまだ分からない |
いちばん立場が変わるのは財務省である。20年間、予算を切るときの決まり文句だった「財政健全化」が、政府の文書から消えた。これは相当な変化だ。
ただし、財務省の力が弱まったと単純に言えるかは別である。債務残高対GDP比も市場の信認も、結局は財務省が説明する数字だからだ。物差しが変わっただけで、物差しを持っている人は変わっていない可能性もある。
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まだ決まっていないこと
骨太方針は方向を決める文書であって、金額を決める文書ではない。空欄のままの部分を挙げる。
| 項目 | 現状 |
|---|---|
| 投資枠の規模 | 「必要十分な規模を確保」とだけ。金額なし |
| 保険料をいつ、いくら下げるか | 2027年度に上げない、まで。引き下げの時期と幅は未定 |
| 防衛費 | 安保3文書を年内に改定してから、予算編成過程で検討 |
| 消費税の扱い | 原案の段階で与党調整中とされ、具体的な記述なし |
| ガソリン暫定税率廃止の財源 | 令和9年度税制改正で結論を得る、と先送り |
本当の勝負は、2026年8月末の概算要求と、年末の予算編成にある。
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この方針の弱いところ
成長することが前提になっている。債務残高対GDP比を中核に据える方式は、分母のGDPが伸びることを前提にする。成長が想定より鈍ければ、借金だけが積み上がって比率は下がらない。単年度の縛りを外した分、成長率の実現が生命線になった。
国会のチェックが減る面がある。複数年度の予算措置は、企業にとっては予見可能性が上がるが、国会が毎年審議する機会はその分だけ減る。補正予算を当初予算に戻すのは審議を増やす方向なので、ここは相殺関係にある。どちらが勝つかは運用次第だ。
投資の成否は10年後にしか分からない。量子コンピューターもフュージョンエネルギーも、成果が出るまでに10年単位を要する。失敗しているかどうかも、しばらく判定できない。
金利が上がると前提が崩れる。債務残高対GDP比は、成長率が金利を上回っていれば下がりやすく、逆転すると下がりにくくなる。骨太方針が「市場の信認」を9回書いているのは、ここを意識しているからだと考えられる。
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一覧にすると、こうなる
| 層 | これまで | これから |
|---|---|---|
| 財政目標 | PB黒字化が中核。単年度で判定 | 債務残高対GDP比が中核。PBは複数年で管理 |
| 計画期間 | 中期(数年) | 2027〜2040年度の14年計画を新設 |
| 予算の期間 | 単年度が原則 | 複数年度の措置を積極活用 |
| 要求の枠 | 一律に上限をかける | 物価・賃金を反映。投資は別枠 |
| 補正予算 | 恒常的な施策の受け皿 | 緊要性の高いものに限定 |
| 投資先 | 分野を抽象的に示す | 17分野62製品を固有名詞で名指し |
| 地方政策 | 地方創生(移住・関係人口) | 地域未来戦略(産業クラスター) |
| 保険料 | 財政目標の対象外。歯止めなし | 社会保障負担率に天井を設定 |
| 賃上げ | 最低賃金1,500円を2020年代に | 2030年代前半に後ろ倒し。実質賃金年1%へ |
| 組織 | ── | 防災庁・国家情報局・副首都の整備 |
並べてみると、この骨太方針の性格が見えてくる。
共通しているのは「時間の単位を長くしたこと」だ。目標は単年度から複数年へ。計画は数年から14年へ。予算は1年ごとから複数年度へ。投資の回収も2040年を見ている。
長く見るほど、大きな投資はしやすくなる。同時に、失敗の判定も遅くなり、毎年の国会のチェックは効きにくくなる。この骨太方針が賭けているのは、そのトレードオフである。
骨太方針2026は、世界の産業政策の潮流を「経済財政運営の在り方そのものに関するコペルニクス的転回」と表現している。閣議決定の文書としては、相当に強い言葉だ。
その転回が正しかったかどうかは、2027年度の予算が出てからでないと判定できない。今の段階で確実に言えるのは、判定の物差しのほうが先に変わった、ということだけである。
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主要ソース
一次資料(内閣府)
- 経済財政運営と改革の基本方針2026(内閣府・2026年7月21日閣議決定)
- 基本方針2026 本文(PDF・全文)
- 基本方針2026 概要(PDF)
- 骨太方針2026 PR資料(政策ファイル・PDF)
分析
- 骨太方針2026のポイント(総論編)(第一ライフ資産運用経済研究所・星野卓也)──語の出現回数の比較はこの分析による
- 骨太方針2026のポイント(社会保障編)(同)──社会保障負担率をめぐる論点はこの分析による
- 政府・中長期財政試算を読み解く(同)



