ホーム ニュース 中国には永遠に自粛しても…
ニュース国内海外

中国には永遠に自粛してもらったほうがいい──「日本に行くな」の8か月で消えたのは、日本に金を落としていなかった回路だった


2025年11月14日、中国政府が自国民に日本への渡航自粛を呼びかけました。

高市早苗首相の「存立危機事態」答弁への報復です。当時、日本の観光業は沈むと言われました。

それから8か月が経ちました。結論を先に書きます。

2025年の訪日外国人は過去最多の4,270万人。

旅行消費額は過去最高の9兆4,559億円。

中国からの客が半分以下になった状態で、です。

では、誰が困ったのか。

中国人が経営する民泊と、中国団体客だけを扱っていた旅行会社です。正規のホテルと飲食店は、ほとんど無傷でした。

この記事は、その差がどこから来るのかを、統計と法律の条文で追いかけます。そして最後に、なぜ自粛は続いたほうがいいのかを書きます。

この記事が使っている資料

できるかぎり一次情報で組み立てています。

厚生労働省の全国調査、警察庁の犯罪統計年報、e-Gov法令検索の条文、東京都議会・中央区議会の会議録、観光庁の登録簿と予算資料、日本政府観光局の統計。数字はすべて、誰でも同じものを開いて確認できるものだけを使いました。

住民や事業者の証言は、週刊ポストの現地ルポと在京テレビ各局の報道から引いています。証言は証言として、統計とは分けて書きます。

まず、予測がどれだけ外れたか

渡航自粛が出た直後、専門家の試算が並びました。

誰が 何を言ったか
野村総研
木内登英氏
1年続けば名目GDPが約1兆7,900億円減少、GDPを0.29%押し下げる
チャイナ・
トレーディング・デスク
訪日予約の約30%がキャンセル。2026年まで続けば累積損失は最大約1兆4,000億円

中国からの客は、実際に激減しました。

時期 訪日中国人
2025年12月 45.3%減
2026年1月 60.7%減
2026年6月 57.3%減
2026年上半期の累計 205万8,200人(56.4%減

ところが日本全体は、こうなりました。

2026年1月の訪日外客数は前年同月比4.9%減。コロナ禍以来4年ぶりの前年割れです。しかし2月には6.4%増に戻りました。

2025年11月から2026年3月までの5か月間で、中国は44.1%減。それでもインバウンド全体は3.5%増え、中国を除いた伸び率は15.7%に達しています。

中国が消えても、日本の観光は増えました。1兆4,000億円の損失という予測は、外れました。

現場は、ほとんど困っていなかった

数字だけでは信じにくい話なので、現場の調査を並べます。

調査 結果
京都商工会議所
(2026年2月)
観光業者の67%が春節期間「ほぼ影響はなかった」と回答
関西テレビ
(心斎橋・京都の20店舗)
売上が大きく落ちたのは2店舗だけ(全体の1割)

心斎橋のたこ焼き店の店員は「中国客は半分以下に減ったが、韓国人観光客が増えたため大きな打撃ではない」。京都の老舗あぶらとり紙店は「紅葉シーズンで国内旅行者が増えたため、売上はむしろプラス成長になっている」。

京都・嵐山の旅館業者は、日本経済新聞の取材にこう答えています。「前日にキャンセルが出ても、すぐに新しい予約が入るため全く影響はない」

京都大学の教授が、いちばん本質的なことを言っている

関西テレビの番組で解説した藤井聡氏の指摘です。

20店舗中9割が「影響なし」と答えた事実は、これまでがオーバーツーリズム(観光公害)の状態にあったことを示している。中国客が来なくなったことで、これまで入店できなかった客が席を埋めたため、売上が変わらないのは当然だ

抜けた分を、待たされていた客が埋めた。それだけの話でした。

日本人が、泊まれる値段に戻った

京都市内のホテルでは「過去に例のない値下げ」が起きています。

1泊1万2,000円から1万4,000円で売っていたホテルが、8,000円から9,000円に。「1泊3,000円台まで引き下げた」というホテルもあります。

ある従業員は日本テレビの番組で「本音を言えばもっと高く売りたいが、今は国内客を獲得するために価格を下げざるを得ない」と語りました。事業者にとっては苦しい。ただし、日本人にとってはようやく手頃な価格でホテルが予約できるようになったということでもあります。

では、誰が死んだのか

無傷ではありません。壊滅した業態は、はっきりしています。

業態 起きたこと
中国人経営の民泊 壊滅。大阪市西成区で約80軒を運営する業者は、年末までに1,000人以上の予約が消えた
中国団体客専門の
旅行会社
壊滅。福岡の業者は2月の予約台帳がほぼ白紙。「本当に仕事がない」
中国客が9割の
地方リゾートホテル
富士河口湖町のホテルは3か月で売上が数千万円減。「まるで別のホテルになったかのよう」
中国人女性向けの
着物レンタル店
京都の店は月に約300万円の減収

共通しているのは、客を中国市場に全振りしていたことです。

正規のホテルはBooking.comやAgodaなどの国際的なサイトで予約を受けるので、客層が自動的に分散します。中国客が前日にキャンセルしても、その夜にオーストラリアの家族連れが入る。

そして、いちばん死んだ業態には共通点がある

近畿地方のホテル経営者が、中国人経営の民泊についてこう指摘しています。

客層がほぼ中国人に限定され、決済も中国の電子決済サービスで行われるため、資金が日本の実体経済に流入していない

予約は中国のアプリ、支払いはWeChat PayとAlipay、泊まる先は日本のマンションの一室。日本の銀行を1円も通りません。

だから中国側の蛇口が閉まった瞬間に、売上がゼロになりました。日本の宿泊業とつながっていなかったことが、そこで証明された形です。

日本を通らないインバウンド消費の回路中国国内で完結する部分日本国内で起きている部分中国のアプリで部屋を予約WeChat PayAlipay で決済日本の銀行を経由しない売上の記録が日本側に残らない宿泊税も消費税も課されない晴海フラッグの一室届出ゼロ・規約で禁止白タク・白バス道路運送法違反の疑い人だけが移動受け取れなかった側正規のホテル・旅館 / タクシー事業者東京都(宿泊税) / 国(消費税)

公平のために、数字をひとつ置いておく

「中国人観光客は金を落とさない」という言い方があります。これは、統計上は正しくありません。

観光庁の2025年の調査では、中国人の1人当たり旅行支出は24万6,154円。訪日客全体の平均22万8,809円を上回っています。消費額の総額も2兆26億円で国籍別1位です。

ただし内訳が他国と違います。買物代が9万385円で全体平均の1.5倍、その一方で宿泊費は7万4,086円と、全体平均の8万4,153円を下回っています。米国人の半分、英国人の4割以下です。

金を使っていないのではありません。宿泊に払った分が、どこへ行ったのかが見えないのです。

その回路の実物が、旧五輪選手村にある

東京・中央区の「HARUMI FLAG(晴海フラッグ)」。2020年東京オリンピックの選手村を改修したマンション群です。24棟5,632戸、想定居住人口およそ1万2,000人。

2025年10月1日、中国の国慶節の初日。職務質問を受けた男が、片言の日本語で警察官にこう言い放ちました。

「捕まえられるなら、捕まえてみろ!」

晴海の届出民泊は、1件もない

民泊には3つの入口があります。旅館業法の許可、国家戦略特区の認定、住宅宿泊事業法の届出。晴海フラッグでは、そのどれも成立しません。

理由は3つあります。

ひとつ、管理規約で民泊が禁止されています。三井不動産・三菱地所・野村不動産の3社は取材に同じ文面で「販売時に民泊禁止を定めた内容で案を作成し、管理組合様にて承認されております」と回答しました。規約で禁止されていれば、そもそも適法な届出ができません。

ふたつ、中央区の条例が平日営業を禁じています。条文はこうです。

住宅宿泊事業の実施を制限する区域は、区の全域とする(第3条第1項)

制限する期間は、月曜日の正午から土曜日の正午までとする(同第2項)

営業できるのは土曜の正午から月曜の正午まで。週末の2泊分だけです。

みっつ、そもそも届出が1件もありません。中央区内の届出住宅は2025年10月末で105件。そのうち晴海エリアはゼロです。

つまり晴海フラッグで人を泊めて金を取っていれば、例外なく全部が違法ということになります。ここに解釈の余地はありません。

誰が持っているのか

不動産テック企業のTRUSTARTが、登記データから所有実態を分析しています。対象は板状棟の分譲住戸およそ2,686戸。

項目 数値
法人が所有(一部の棟では30%超) 19.2%
1法人の最大保有戸数 29戸
所有権保存登記と同じ日に売られた住戸 61件
海外住所の所有者を含む住戸 111戸(4.1%)

登記された日にもう転売されている部屋が61件。住むために買った人の行動ではありません。

2025年3月には、脱税事件で起訴された中国籍の男が保有していた晴海フラッグの6戸が、東京国税局に差し押さえられています。

出所について TRUSTARTのレポートは現在、同社サイトの一覧から確認できません。数値は住宅新報・健美家など複数の業界媒体が同一の数字で報じたものを採用しています。当サイトは原本PDFを確認できていません。海外所有者の国別内訳は公表されていないため、この111戸が中国とは限りません。

なお、外国人・外国法人が晴海フラッグを何戸持っているかについて、政府は2025年6月13日の答弁書で「把握しておらず、調査を行う予定もない」と回答しています。

8年間で、違法と確認できたのは5件だった

では、どれだけ摘発されているのか。中央区の区長が議会でこう答弁しています。

平成三十年の規制強化がされて以降、違法行為が確認された事案は四件ありましたが、いずれも営業停止等の指導の徹底により是正されております(2025年9月19日・山本泰人区長)

2018年6月の法施行から2025年8月まで、7年余りで4件。その後1件が加わって、合計5件です。

晴海フラッグには、2025年4月に中央区保健所と月島警察署が曜日と時間帯を変えて計4回、立入調査に入っています。結果を担当課長がこう報告しました。

一部の部屋につきましては、滞在者と接触することができて、その所有者の関係者の方が使用されている

それ以外の部屋につきましては、四回とも人がいるような状況は確認できなかった

週刊ポストの取材に応じた捜査関係者は、もっと直接的に語っています。各住戸を訪ね歩いたがほとんど応答がなく、唯一扉が開いた部屋も「親戚です」と言われてそれ以上は手出しができなかった、と。

全国の数字を並べると、非対称がはっきりする

何の数字か 件数 出所
自治体が把握した「無許可営業の疑い」(令和6年度・全国) 1,151件 厚生労働省
東京都が仲介サイトを監視して保健所に連絡した施設(令和6年度) 延べ約5,000件 都議会答弁
警察の旅館業法違反 検挙件数(2024年・全国) 6件 警察庁
警察の住宅宿泊事業法違反 検挙件数(2018〜2024年) 7年連続ゼロ 警察庁
警視庁の無許可営業 検挙実績(過去5年) なし 政府答弁書

疑いは年に1,151件、東京都だけで延べ5,000件。そして警察が捕まえたのは、全国で年6件です。

住宅宿泊事業法にいたっては、2018年の施行から7年間、検挙が1件もありません。

数字の読み方について 警察庁の犯罪統計年報にある「旅館業法違反6件」は、旅館業法違反の全体です。このうち何件が民泊にかかわるものかの内訳は公表されていません。違法民泊だけで6件、という意味ではありません。

なぜ捕まえられないのか

立入検査は、犯罪捜査ではない

旅館業法第7条第4項に、こう書いてあります。

立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない

保健所の職員に令状はなく、実力行使の権限もありません。無許可業者への立入検査の権限そのものが、2018年にようやく新設されたばかりです。

証拠がないと、指導もできない

中央区の武藤生活衛生課長が、議会でこう説明しています。

無許可営業がされているという証拠がない中で、営業者に対しての指導・勧告というのは難しい

山本区長も別の答弁で「利用者の宿泊行為自体は違法ではないため、調査への協力は任意となる」と述べています。泊まっている側は罪に問われません。だから「親戚です」で終わります。

抜け道が、制度に組み込まれている

2026年3月9日、衆議院予算委員会で山田美樹議員が新宿区の実務を紹介しました。

玄関がオートロックで立入りできないとか、宿泊客が事業者から区役所には対応しないようにと言われていて調査に応じない場合も多々ある

別会社を立ち上げて別の個人名義で届出をすれば、同じ場所で同じ枠組みで民泊営業ができてしまいます

処分が決定する前に廃止届を出せば、処分を受けずに再び届出ができてしまいます

処分される前に廃業届を出せば記録が残らない。会社を作り直せば、また届け出られる。逃げ方が、制度の中に用意されています。

そもそも、相手が日本にいない

大阪市の「違法民泊撲滅チーム」が、独自に解決困難とした施設55件の内訳を公表しています。

解決できない理由 件数
営業者が海外に住んでいる 41件
着信拒否、住所不明 14件

同じ資料には、仲介サイトに載っていた18,599施設のうち適法と確認できたのは47%、違法が6%、「不明」が47%とあります。市は「これが違法民泊の温床になっている」と書いています。

そして、法律が最初から外国業者を罰せない作りになっている

ここが、この記事でいちばん伝えたい部分です。

中国の大手旅行予約サイトは、日本の観光庁にきちんと登録されています。

通称 登録名 登録年月日
携程(C-trip) 上海携程商務有限公司 2023年9月27日
去哪儿(Qunar) 北京趣拿信息技術有限公司 2023年12月26日
途家(Tujia) 途家在線信息技術(天津)有限公司 2024年8月1日
Trip.com 携程旅行網(香港)有限公司 2024年11月15日

登録されているなら、違法な物件を載せていたときに削除させられるはずです。ところが、できません。

「命ずる」が「請求する」に読み替えられている

住宅宿泊事業法第61条第2項を、そのまま引きます。

前項の規定は、外国住宅宿泊仲介業者について準用する。この場合において、同項中「命ずる」とあるのは、「請求する」と読み替えるものとする。

国内の業者には「命ずる」。海外の業者には「請求する」。言葉が1つ違うだけに見えますが、決定的です。

条文 対象 罰則
第74条 国内業者への業務停止命令の違反 6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
第76条第4号 国内業者への改善命令の違反 30万円以下の罰金
── 外国業者が「請求」を無視した場合 刑事罰の規定がない

外国の予約サイトが日本政府の要請を無視しても、罰金すらありません。制裁として残っているのは登録の取消しだけです。

しかも第63条第4項は、外国業者に立入検査をした場合の費用まで「当該検査を受ける外国住宅宿泊仲介業者の負担」と定めています。相手が払わないと言えば、それも進みません。

照合する仕組みを、8年目にして作り始めた

観光庁は2026年度予算に、違法な民泊を予約サイトから排除する仕組みの整備費として7億4,300万円を計上しました。前年度の6.9倍です。その予算資料に、こう書いてあります。

住宅宿泊仲介業者に対し、無届の住宅宿泊事業等を仲介サイトから削除することを求めているが、仲介業者は各物件の適法性を確認する手段が限られており、違法な民泊サービスへの迅速な対応が困難

2018年に法律を作ってから8年目にして、ようやく「どの物件が適法かを照合できる仕組み」を作り始めたということです。

白タクは、8年かけてようやく逮捕まで行った

移動のほうも同じ構造です。

2025年10月1日、国慶節の初日。晴海フラッグでは住民が自警団を結成していました。腕章を巻き、アンケートという形でしか声をかけられません。警察ではないからです。

そこで白タクの運転手とみられる女性が言った言葉が、これです。

「友達! 1円も取ってないから! 無料! もう飛行機の時間あるから無理!」

無償を装う。これが定番の逃げ方です。そして白タクだけでなく、晴海フラッグを巡回して停留ポイントごとに観光客を降ろす「白バス」まで現れたと住民が証言しています。

2026年6月8日、初の一斉取り締まりは検挙ゼロだった

警視庁月島署と関東運輸局東京運輸支局が、約15人体制で晴海フラッグに入りました。約10人に職務質問し、免許証とトランクの中を確認しています。

結果は、検挙ゼロ。東京運輸支局の服部陽介・首席運輸企画専門官は「今回、白タクの現認には至らなかった」と述べています。

ただし、大きく捕まった例はある

2026年7月、警視庁が中国籍の男ら4人を逮捕しました。

項目 内容
逮捕 都内のハイヤー会社の元代表・王暁宇容疑者(41)と、中国籍の運転手3人
手口 個人の車を会社名義に付け替えて営業用の緑ナンバーを取得させ、白タクに使わせた
受け取った金 名義使用料として約3,800万円(運転手の売上の20%)

白タクの検挙は、2021年の11件から2023年33件、2024年80件、2025年は132件と過去最多になりました。罰則も道路運送法第96条で3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金と、旅館業法の無許可営業(6月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金)より重い。

やれば、できています。民泊のほうが、まだそこに至っていないだけです。

自粛の8か月で、日本側にも変化が起きた

ここが重要です。中国からの客が半分以下になっているあいだに、行政がようやく動き始めました。

時期 動き
2026年2月2日 国交省が白タク・違法ハイヤー対策会議を新設。警察庁・観光庁も参加
2026年5月27日 特別区の21区長が連名で自民党に要望書。民泊事業者を国内に住所がある者に限定することなどを要求
2026年6月18日 同21区長が国土交通大臣にも同じ要望書を提出
2026年7月1日 東京都が民泊コールセンターを開設(予算3,500万円)
2026年7月15日 厚労省・国交省・観光庁が連名通知。条例で営業日数を年0日にすること(実質禁止)を容認
2027年4月1日 東京都の宿泊税が一律3%の定率制に。民泊も新たに課税対象へ

国が、自分の方針をひっくり返した

7月15日の通知には、こういう注記が付いています。

※ガイドライン(平成29年12月)では、ゼロ日規制については「適切ではない」としてきた。

2017年に国が自分で出した方針を、2026年に自分で撤回しました。8年半かかっています。

なお21区長の要望に、世田谷区長と杉並区長は署名していません。

投機のほうも、正常化に向かっている

晴海フラッグの転売市場も動きました。不動産ジャーナリストの榊淳司氏によれば、2026年2月時点で売り物件は276件に増えた一方、成約は101件まで落ち込んでいます。

タワー棟の転売価格の上乗せ率は、2026年6月の約99%から7月には約95%に低下しました。榊氏は「相場より安くても損切りする中国人オーナーも増えている」「近い将来、中古相場が新築時の販売価格を割る可能性も」と述べています。

マンションが、住むための値段に戻りつつあるということです。

この記事が言いたいこと

ここからは論評です。

中国には、永遠に自粛してもらったほうがいい。私はそう考えます。

感情で言っているのではありません。この8か月で出そろった数字が、そう言っています。

理由その1 日本の観光は、減っていない

中国が半分以下になっても、2025年の訪日客は過去最多の4,270万人、消費額は過去最高の9兆4,559億円でした。2026年2月には全体が増加に転じています。

1兆4,000億円が飛ぶという予測は外れました。京都商工会議所の調査では67%が「ほぼ影響なし」。関西テレビが取材した20店舗のうち、打撃を受けたのは2店舗だけでした。

理由その2 日本人が、泊まれるようになった

京都のホテルは1泊1万2,000円から8,000円台に下がりました。事業者は苦しい。ただし日本人にとっては、自分の国を旅行できる値段に戻ったということです。

藤井聡氏の指摘のとおり、9割の店が「影響なし」と答えられたのは、これまでが過剰だったからです。

理由その3 消えたのは、日本に金を落としていなかった回路だった

壊滅したのは、中国人経営の民泊と中国団体客専門の旅行会社でした。

予約は中国のアプリ、決済はWeChat PayとAlipay、泊まる先は届出ゼロの部屋、移動は白タク。日本の銀行にも、税務署にも、記録が残らない商売です。

この回路が止まって困るのは、日本ではありません。

理由その4 止まっているあいだに、日本がようやく動いた

21区長が国に要望を出し、国交省が対策会議を作り、東京都がコールセンターを開き、国が2017年以来の方針を撤回して「実質禁止」を認めました。

すべて、この8か月に起きたことです。客が押し寄せていたあいだ、8年間動かなかったことがです。

そして、いちばん認めたくない事実

ここまで並べて見えてくるのは、こういうことです。

届出ゼロ。8年で違法確認5件。住宅宿泊事業法の検挙7年連続ゼロ。警視庁の検挙実績なし。外国の予約サイトには命令できず、無視されても罰則なし。政府は外国人の所有戸数を「把握しておらず、調査を行う予定もない」と答える。

いま日本でこの回路を止めているのは、日本の法律ではありません。中国政府が出した渡航自粛です。

他国の政治判断が、日本で唯一機能している規制になっている。それはつまり、日本には規制がないということです。

だから、戻ってきてほしくない

止めているのが自分の法律ではない以上、相手が方針を変えた瞬間に、また同じ回路が動き出します。

晴海フラッグの届出は、いまも1件もゼロのままです。外国業者への罰則も、条文が変わっていません。照合システムは、まだ作っている最中です。

制度が直るより先に戻ってこられたら、日本はもう一度、同じ8年を繰り返すだけです。

だから私は、中国には永遠に自粛してもらったほうがいいと考えます。少なくとも、日本が自分の手でこれを止められるようになるまでは。

あなたは、中国人観光客に戻ってきてほしいと思いますか。

この記事で使った資料と、その確度

当サイトは資料の確度を5段階で表示しています。★5は当事者の記録そのもの、★4は自社取材で数字の出所が追えるもの、★3は事実は取れるが論調が入るもの、★2は短信・伝聞・一社のみ、★1は裏取り前提の未確認情報です。

統計・法令(★5)

議会・行政の記録(★5)

報道(★4〜★3)

関連(当サイト既報)

この記事に登場する人物習近平高市早苗

編集者K

速報より本質。話題のニュースの裏側を裏取りして届ける、一日の最後に読むニュースサイトです。