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移民問題──フランスは50年前に受け入れを止めていた。それでも人口の4分の1になり、電車内の窃盗は被疑者の80%が外国籍になった

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公共交通機関の中で起きた、暴力を伴わない窃盗。その被疑者のうち80%が外国籍だった。

これはネットの噂ではない。フランス内務省が国会で答えた数字である。官報に載っている。

フランスの人口のうち外国人は8%。その8%が、電車内の窃盗の8割を占めている。

日本はどうか。外国人の検挙人口比は日本人の1.36倍から1.72倍。まだ「倍」の世界にいる。フランスは「桁」の世界に入っている。

ではフランスは、何を間違えたのか。調べると、失敗は4つに整理できた。そして4つとも、日本はまだ手を打てる位置にいる。

まず、フランス内務省の数字を見る

2025年9月、フランス下院のエレーヌ・ラポルト議員が内務省に質問状を出した。回答は2025年12月2日の官報に掲載されている。

内務省の統計部門(SSMSI)が集計した2024年の数字が、これである。

罪種(2024年・フランス) 被疑者に占める
外国籍の割合
人口比
(8%)との差
公共交通機関内の暴力を伴わない窃盗 80% 10.0倍
公共交通機関内の窃盗・暴力(全体) 48% 6.0倍
住居への侵入盗 38% 4.8倍
武器を用いない暴力的窃盗 30% 3.8倍
武器を用いた強盗 22% 2.8倍
15歳以上への故意の傷害 20% 2.5倍
殺人 18% 2.3倍
性暴力 13% 1.6倍
被疑者全体 17% 2.1倍
受刑者に占める外国籍 約22.5%
(1万8752人)
約2.8倍
※フランス内務省SSMSI「Insécurité et délinquance en 2024」および同省の国会答弁(2025年12月2日・2024年12月5日の各官報)。受刑者数は2024年1月31日時点。

この表の読み方を、先に書く

数字が強いので、注意点を先に置く。ここを飛ばすと、表ごと反論で潰される。

一つ目。「外国人」には観光客と短期滞在者、不法滞在者が含まれる。フランスは世界最大の観光国である。分母の「人口8%」に彼らは入っていないので、比率は実態より大きく出る。

二つ目。罪種で差が大きい。財産犯で極端に高く、殺人18%・性暴力13%と対人犯罪では相対的に低い。「あらゆる犯罪で」という話ではない。

三つ目。長期では下がっている。受刑者の外国籍比率は1990年代初頭には30%を超えていた。いまの22.5%はそこからの低下である。

それでも、電車内の窃盗の80%という数字の重さは変わらない。フランス人は日常の移動で、この現実の中にいる。

失敗① 入り口を締めたのに、かえって増えた

ここから、フランスが何を間違えたのかを4つに分けて見る。

まず前提を一つ。日本でよく言われる「フランスは移民を入れすぎた」は、正確ではない。

フランスは1974年7月3日、新規の移民労働者の入国を停止している。オイルショックによる不況を受けたジスカール・デスタン政権の決定だった。EC諸国以外の外国人について労働目的の新規入国を止め、失業した移民労働者には帰国を促した。

52年前である。日本がいま議論していることを、フランスはすでにやっていた。

それでも増えた。理由は二つある

一つ目は、よく指摘される話だ。家族の呼び寄せを認めたままだった。労働者本人の入国は止まったが、妻と子は入ってこられた。

二つ目は、ほとんど語られていない。そしてこちらのほうが重要である。

それまでの労働者は、稼いだら帰る前提で動いていた。景気が悪ければ一度帰り、良くなればまた来る。行き来する存在だった。

1974年に新規入国が止まったことで、この往復が成り立たなくなった。一度帰れば、もう二度と入れない。

だから帰らなくなった。帰国という選択肢が消えた瞬間、彼らは「滞在者」から「定住者」に変わった。そして家族を呼んだ。

入り口を締めたことが、定住を固定させた。これがフランスで実際に起きたことである。

結果、2024年時点で移民は約770万人。人口の約10.3%。2世まで含めると成人人口の約4分の1、3世まで含めると約3分の1が移民と血縁を持つ。

フランスが移民受け入れを停止したのに移民が増えた構造1974年の新規移民労働者の入国停止が、家族呼び寄せの継続と労働者の定住化という二つの経路を通じて、移民人口の増加につながった流れを示した図失敗①「止めたのに増えた」構造(1974年〜)1974年7月3日新規の移民労働者の入国を停止(ジスカール・デスタン政権)抜け道 家族呼び寄せは認めたまま労働者本人の入国は止まったが妻と子は入ってこられた逆効果 帰れなくなった一度帰れば二度と入れない→ 往復をやめ、定住を選んだ滞在者が定住者に変わり、家族が増えた移民の数は1990年代まで増加が続いた2024年 移民 約770万人(人口の約10.3%)2世まで含めると成人人口の約4分の1、3世まで含めると約3分の1※出典はフランス国立統計経済研究所(INSEE)、労働政策研究・研修機構および国立国会図書館の各報告。

失敗② 郊外に集めて、そのまま放置した

2つ目の失敗は、入れたあとの話である。そしてフランスが本当に壊れたのは、ここだった。

1960年代、フランスは高度成長を支える労働力として100万人を超える移民を受け入れた。そして彼らを都市郊外のHLM(中・低所得者向けの公営集合住宅)に集めた。

移民は物理的に一箇所に固まった。郊外の団地群である。そこで世代が変わった。

数字がすべてを語っている。2004年、ZUS(優先介入地区)における15歳から59歳の失業率は平均20.7%。フランス全体の平均の2倍以上である。

貧困、高等教育への機会の薄さ、就職での差別。移民2世・3世はこの環境で育った。

そして暴動を起こしたのは、外国人ではなかった

ここが日本の議論で最も見落とされている点である。

2005年10月末、パリ郊外で暴動が起きた。全国に拡大し、11月中旬に終息するまでに放火された乗用車は9000台を超え、逮捕者は3000人近くに達した。非常事態宣言が出された。

2023年6月27日にも、パリ郊外ナンテールでアルジェリア系の17歳が警官に射殺されたことを機に全土で暴動が起き、逮捕者は3000人を超えた。

この2つの暴動に加わったのは誰だったか。

移民の2世・3世の若者たちである。つまりフランス国籍を持つフランス人だった。

フランスの国籍法は出生地主義の要素が強く、移民の子孫はフランス国籍を得る。法的には完全にフランス人である。

これは日本の議論の前提を揺らす。在留資格を厳しくし、帰化要件を10年にし、不法滞在者を送還する。すべて必要な措置だが、2世の世代には効かない。その人たちは最初から日本人だからだ。

フランスが失敗したのは、入れたことではない。入れたあとに、一箇所に集めて放置したことである。

失敗③ 統計に、いちばん見たい部分だけ穴を空けた

3つ目の失敗は、測り方である。

冒頭で見たとおり、フランスは外国籍の被疑者比率を公表している。80%という数字も出せる。だが「移民」は数えられない。この2つはまったく違う。

内務省が国会で認めたこと

2024年12月5日の官報に載った内務省の答弁に、決定的な一文がある。上院のステファン・ラヴィエ議員への回答である。

「SSMSIは、被疑者のうち誰が複数国籍者であるかを特定できる情報を、現時点で有していない」

── フランス内務省の答弁(2024年12月5日・上院官報4727ページ)

これが何を意味するか。具体的に書く。

帰化した翌日から、統計上「フランス人」になる

ある移民が、フランスで20年働いて帰化する。国籍を取った翌日から、その人は統計上「フランス人」である。

本人は何も変わっていない。分類が変わっただけである。

フランスで生まれた移民2世は、最初から「フランス人」として数えられる。フランスの国籍法は出生地主義の要素が強いからだ。

つまりフランスの統計は、こういう人たちを見ている。

統計に「外国籍」として映る人 統計から消える人
来週帰る観光客 20年住んで帰化した人
出張で来たビジネスマン 郊外の団地で生まれ育った2世
昨日入国した留学生 失業率20.7%の地区で育った3世
短期滞在の労働者 9000台の車に火をつけた若者たち
※左が「外国人=人口の8%」に数えられる側。右は全員「フランス人」として集計される。

左の列を見てほしい。電車内の窃盗80%という数字は、来週帰る観光客まで含めた「外国籍」の数字である。

そして右の列。フランスがいちばん困っている人たちは、全員こちらにいる。

問題は、消えた側で起きている

2005年と2023年、2度の暴動の主体は移民2世・3世だった。統計上は全員フランス人である。

フランスの統計は、いちばん見なければならない層だけが見えない。

だから対策も打てない。誰が困っているのかを国が把握できない。予算をどこに配ればいいのかも決められない。

そして数年ごとに車が燃える。燃えたあとで「原因は貧困だ」「いや移民だ」と言い合って、数字がないまま終わる。

結果、片方は「80%を見ろ」と言い、もう片方は「観光客込みの数字だ」と言う。どちらも部分的に正しい。だが本当に問題が起きている層の数字は、誰も持っていない。

だから議論が終わらない。数年ごとに暴動が起きて、また元に戻る。

統計を半分だけ取ることは、取らないことより危険かもしれない。半分の数字は、双方に「自分が正しい」と言わせる材料になるだけだからである。

失敗④ そして、少子化は止まらなかった

4つ目は、日本にとって最も重い話である。

日本で外国人の受け入れを進める理由は、ほぼ一つに集約される。人口減少と労働力不足だ。「移民を入れなければ日本は縮む」という論である。

ではフランスはどうなったか。半世紀にわたって移民を受け入れ、いま人口の1割が移民、2世まで含めれば成人の4分の1という国である。

フランスは戦後初の人口自然減に向かっている。

2025年1月1日のフランスの人口は6860万人。前年から16万9000人増えたが、その増加分はすべて移民の純流入(15万2000人)によるものだった。自然増はほぼ消えている。

移民2世の出生率も下がった

「移民は子どもを多く産むから人口が支えられる」という前提も崩れている。報じられているのは移民2世の出生率も低いという事実である。

移民の子どもたちは、その社会に適応するにつれて、その社会と同じ出生行動をとるようになる。

つまり移民は人口減少を先送りするだけで、解決はしない。入れ続けなければ効果が続かない構造である。

公平に書けば、同化が進んでいる面もある。外国籍または外国生まれの親を持つフランス人の4人に1人は、親の母国語を話さない。フランス社会に溶けている人は確実にいる。

だが人口の話に限れば、答えは出ている。移民は少子化対策にならなかった。これは50年かけたフランスの実験結果である。

フランスで起きたこと
1960年代 100万人超の移民を受け入れ、都市郊外のHLM(公営集合住宅)に集める
1974年7月3日 失敗① 新規の移民労働者の入国を停止。ただし家族呼び寄せは認めたまま
1970〜90年代 帰国という選択肢が消え、労働者が定住化。家族呼び寄せで人数が増え続ける
1978年〜 失敗③ 民族・出身の統計分類を法的に制限。外国籍は数えられるが「移民」は数えられなくなる
2004年 失敗② ZUS(優先介入地区)の15〜59歳の失業率が20.7%。全国平均の2倍以上
2005年10〜11月 パリ郊外で大規模暴動。放火された車9000台超、逮捕者3000人近く。主体は移民2世・3世(フランス国籍)
2023年6月27日 ナンテールで17歳が警官に射殺され全土で暴動。逮捕者3000人超
2024〜25年 失敗④ 移民約770万人(人口の約10.3%)。戦後初の人口自然減へ。移民2世も低出生率

日本はいま、どこにいるのか

ここで日本の現状を確認する。都合の悪い数字も含めて書く。

在留外国人は2015年末の223万人から、2025年6月末には395万6619人になった。約1.8倍である。

一方、来日外国人の検挙件数は2015年の1万4267件から2024年の2万1794件。約1.5倍。

人口の伸びのほうが大きい。つまり率としては下がっている。ここは正直に書いておきたい。

検挙人口比では、外国人は日本人の1.72倍(警察庁・入管法違反を除く)。ただし在留外国人は平均年齢が若く都市部に集中するため、性別と年齢を揃えて比較すると1.36倍まで縮む。

1.36倍は無視できる差ではない。だがフランスの表と並べれば、日本はまったく別の段階にいる。

フランス自身も、いま方向転換している

付け加えておくと、フランスは手をこまねいているわけではない。

2024年1月26日、「移民の管理と統合の改善に関する法律」が成立した。内務省は前述の国会答弁のなかで、この法律が与える手段を全面的に活用し、送還の加速と入国の流入抑制に取り組むと述べている。

実際、犯罪を犯した外国人の国外追放は2021年の1800人から2022年に3615人、2023年には4686人へと増えた。前年比30%増である。

50年かけて4分の1になった国が、いま必死に締めている。

だから、いまが分かれ目である

フランスが入り口を締めた1974年の時点で、フランスの移民人口比はすでに、いまの日本の水準を大きく超えていた。フランスは手を打つのが遅かった。

日本はまだ「倍」の段階にいる。4つの失敗を全部避ける余地が、まだ残っている。日本が1.36倍の段階でこの記事を読めることの意味は、そこにある。

高市政権の対策を、4つの失敗で採点する

高市政権は2026年1月23日、関係閣僚会議で「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」をまとめた。6つの柱がある。

フランスの4つの失敗に照らして採点すると、こうなる。

フランスの失敗 日本はどうしているか 評価
①抜け道と
定住の固定
特定技能1号は家族帯同を認めず、2号でも配偶者と子のみ。扶養能力の証明が必要。特定技能の受け入れに上限を設け、すでに国内にいる在留者も上限に含める 対応済み
②集住と
放置
共生策として日本語・社会習慣の学習プログラムを整備。ただし集住地域そのものへの対策は薄い 不十分
③統計の穴 警察庁が国籍別の検挙統計を毎年公表。土地取得では国籍情報の開示を義務化。フランスより開かれている 優位
④少子化は
解決しない
在留審査を厳格化(社会保険・税の未納が更新に影響、永住に日本語能力要件)、帰化要件を2026年4月1日から原則10年以上に。労働力を移民に頼り切らない方向 方向は妥当

4つのうち3つは、方向が合っている。とくに「すでに国内にいる在留者も上限に含める」という設計は、フランスの最大の失敗を正面から避けている。フランスは「新規」だけを止めて既存を放置した。

家族の扱いも、1974年のフランスより明らかに狭い。

ただし注意点はある。特定技能2号の対象分野が広がり、2号に移る人が増えれば、家族滞在の人数は自動的に増えていく。いまの制度が厳しいのではなく、いまの対象が狭いだけ、という可能性は残っている。

足りていないのは「入れたあと」の3つだ

採点で「不十分」が付いたのは、失敗②である。そしてフランスが本当に壊れたのは、まさにここだった。

日本の議論は、入り口の管理にほぼ集中している。人数、在留資格、帰化要件、送還。どれも必要だが、すべて「入れる前」の話である。

足りないものを3つ挙げる。

足りないもの① 集住地域の知見を、全国に配ること

実は日本には、すでにフランスの郊外と同じ人口比の自治体がある。

群馬県大泉町。総人口4万1267人のうち、外国人が9011人。人口比で約22%である(令和7年12月末現在)。

もとは自動車関連の工場で働くブラジル人が集まり「日本のブラジル」と呼ばれた町だ。受け入れが始まってから30年以上が経ち、いまアジア系の住民が急増している。

興味深いのは、この町が掲げている言葉である。「言葉や文化、習慣の違う人たちがともに安心して快適な生活が送れる秩序ある共生のまちづくり」。

高市政権が今年1月にまとめた対応策の名前は「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」である。

同じ言葉だ。国が今年ようやく掲げた方針を、この町は先に使っていた。

大泉町は多言語広報紙「GARAPA」を出し、多文化共生コミュニティセンターで生活ルールを伝えている。フランスの郊外との決定的な違いは、自治体が逃げずに向き合ってきたことである。

ただ、ここは素直に評価だけして終われない。

この町は30年、ほぼひとりでやってきた。ゴミ出し、騒音、学校の日本語指導、税と社会保険の未納。人口4万の町が、国の政策より30年早く現場を抱えてきた。

そして国が同じ言葉を使い始めたのは、2026年である。

フランスの中央政府が郊外を見なかった52年と、日本の国が大泉町を見なかった30年は、質としてそれほど違わない。違うのは、日本にはまだ町が壊れていないという一点だけである。

この30年分の知見を全国に配ることは、在留資格の審査を厳しくすることと同じくらい重要な仕事だ。それも、いま急いでやる仕事である。

足りないもの② 仕事と場所が固定されないようにすること

フランスの暴動の根っこは、ZUSの失業率20.7%だった。貧困と失業が犯罪と結びつくのは、国籍を問わない。

日本の外国人労働者は、特定の業種と特定の地域に強く紐づいている。工場が撤退したら何が起きるか。2008年のリーマンショックのとき、大泉町を含む集住地域で実際に起きたことである。

雇用が切れたときに、その人と家族がどこへ行くのか。ここに手当てがないまま人数だけ管理しても、フランスの郊外と同じ条件が揃う。

足りないもの③ 起きた犯罪を、解決すること

最後がこれである。

2025年の日本の刑法犯の検挙率は38.9%。窃盗犯は51万3931件で、前年より1万2424件(2.5%)増えた。

そして農作物盗難の検挙率はわずか11%。被害の48%は露地の畑で起きている。

福岡県うきは市の梨農園では、2026年7月16日から17日にかけて幸水梨が約5000個盗まれた。被害額は約200万円。前年も約6000個が盗まれていて、2年連続である。農家は閉園を決断した。

犯人は捕まっていない。国籍も分かっていない。前年の6000個の犯人も、捕まっていない。

ここが日本の統計の優位を無意味にする。データがあることの価値は、対策を打って効果を検証できることにある。捕まえられなければ、データは「増えている」という記録にしかならない。

そして被害者が救われないまま被害が積み上がると、人は数字を待たなくなる。目の前で梨が5000個消えて誰も捕まらない状況が続けば、「たぶん外国人だ」という説明のほうが、1.36倍という統計より強くなる。

フランスが暴動でしか動かない国になったのは、統計に穴を空けたからだけではない。問題を放置して、住民が制度を信じなくなったからである。

間に合うが、放っておけば間に合わなくなる

フランスの失敗を4つ並べて、はっきりしたことがある。

フランスは入り口の議論だけを52年前にやって、入れたあとを放置した。統計に穴を空け、郊外に集めて忘れ、それでも少子化は解決しなかった。

日本はいま、そのどれも避けられる位置にいる。検挙人口比はまだ1.36倍。人口比では犯罪率が下がっている。国籍別の統計は毎年公表されている。人数の上限には既存の在留者も含めている。30年やってきた自治体がある。

条件は、フランスより全部いい。

それでも危ないのは、やる主体がいないからだ

足りないのは、入れたあとの3つだった。集住地域の知見の共有、雇用と居住の固定を防ぐこと、起きた事件を解決すること。

この3つに共通するのは、票にならないということである。

「不法滞在者を送還します」は選挙で言える。「帰化要件を10年にします」も言える。だが「大泉町の30年分のノウハウを全国の自治体に配ります」「農地の防犯カメラに予算を付けます」「窃盗の捜査員を増やします」は、演説で拍手が来ない。

だから誰もやらない。地方に押し付けて、国は数の話をしている。

フランスが52年やらなかったのも、たぶん同じ理由である。郊外に予算を付けることは、移民を止めると宣言することより、ずっと票にならなかった。

順番を間違えなければ、日本は勝てる

入り口の管理は、高市政権が今年から始めた。方向は合っている。特定技能の上限に既存の在留者を含める設計は、フランスの最大の失敗を正面から避けている。

問題は、入り口を締めたあとに何が起きるかを、フランスが実演してくれているということだ。締めると人は帰らなくなる。定住が固定される。だから入り口を締めた瞬間から、入れたあとの仕事が本番になる。

1974年のフランスは、そこで手を止めた。日本はいま同じ地点に立っている。

あなたは、いま日本に必要なのは入り口の管理だと思いますか。それとも入れたあとの手当てだと思いますか。

私は、大泉町が30年ひとりで抱えてきたものを国が今年やっと同じ言葉で呼んだ、というのがこの国の速度なんだと思っています。

主要ソース

フランスの外国人犯罪の公式データ(一次資料)

フランスの移民政策と郊外・暴動

フランスの人口と少子化

日本の外国人犯罪と在留者数

日本の検挙率・農作物盗難・集住地域

日本の受け入れ制度と高市政権の対応策

編集者K

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