ホーム ニュース TBS「サンデーモーニン…
ニュースメディア政治

TBS「サンデーモーニング」は報道番組ではない──2年分の放送をたどって、この番組を定義する

関心度 ★★★★☆ 信頼度 ★★★☆☆ 賛否度 ★★★★☆


先に、10年前の文章を読んでほしい。政治家が国会で述べた、「政治的に公平でない放送」の定義である。

国論を二分する政治課題について、一方の政治的見解を取り上げず、ことさらに他の見解のみを取り上げてそれを支持する内容を、相当の時間にわたり繰り返し放送した場合

述べたのは、当時総務大臣だった高市早苗氏。2016年2月8日、衆議院予算委員会での答弁である。

10年後の2026年7月12日、TBS系『サンデーモーニング』のスタジオで、出演者3人が高市政権の国会運営を「異常」「史上最悪最低」と評した。司会の膳場貴子氏は「国民を二分した状態で」という言い方をしていた。

反対側の見解を述べる人は、その場にいなかった。

この記事は「偏向だから停波しろ」という話ではない。それは後で書くとおり、筋が悪い。やりたいのは別のことだ。

膳場氏が総合司会になった2024年4月以降、この番組が何をどう報じてきたかを並べる。事実として正しかった部分と、事実と違って伝わった部分を分ける。そのうえで、視聴者にとって何が問題なのかを整理する。

先に結論だけ書いておくと、この番組は嘘を流してはいない。ただ、報道番組の要件も満たしていない。最後に、では何なのかを定義する。

7月12日、スタジオで語られたこと

まず素材を出す。J-CASTニュースが放送内容を記事化しており、以下はその報じるところによる。

膳場貴子さん(総合司会)

「皇室典範に象徴するように、高市首相こだわりの法案ばかりが通り、国民を二分した状態でどんどん通っていくという印象がある」

薮中三十二さん(元外務事務次官)

「本当に異常な国会だと思う。国民が高市政権に期待したとすればそれは経済、外交安全保障の問題、それから身を切るということで議員定数の削減、それをまともに議論しないで皇室典範の改正に突っ走る。なぜ急がなければいけないのか」

高橋純子さん(朝日新聞・政治担当編集委員)

「史上最低最悪と言ってもいい国会だと思う。(略)高市首相と日本維新の会というキャラクターが悪い方向にかみあって、幼稚な全能感に浸ってとにかく暴走する。慣例や慣習はどうでもいいと、皇室典範改正もたった3時間余りで決する。国民の総意をなめているのかと思う」

この番組のコメンテーター席は、1回の放送で4名。政治のテーマで発言した3人が、そろって同じ評価を口にしたことになる。

ネットでは「偏向報道だ」という声が広がった。ただ、その言葉で片づけると事実確認が飛ぶ。順番に見る。

事実の検証①──正しかった部分

結論から言うと、この回の発言には裏付けのある部分がある。批判する側がここを飛ばすと、同じ穴に落ちる。

「皇室典範改正をたった3時間余り」は事実

皇室典範改正案は2026年7月10日に衆議院を通過した。日本経済新聞は〈衆院審議3時間のみ〉と報じている。委員会質疑が約3時間で、同日中に本会議で可決という日程だった。

J-CASTも〈衆議院を半日で通過〉と書いている。つまり「3時間余り」は数字として正しく、ここを「デマだ」と攻めても空振りになる。

批判しているのは朝日新聞だけではない

改正案への疑問も、特定の陣営の専売ではない。日本経済新聞は〈結論ありきの皇室典範改正は理解得られぬ〉という社説を掲げている。

世論調査も見ておく。7月下旬の各社調査では、女性天皇を認めることへの賛成が7〜8割を超えた。

調査 女性天皇を認める 補足
読売新聞 賛成85%/反対8% 典範の再改正を問う形式
日経・テレビ東京 容認84% 養子の子息の継承権は賛否が拮抗
共同通信 賛成81.0%/反対16.1% 7月25・26日実施
毎日新聞 認めるべき72%

旧宮家の男系男子を養子に迎える今回の枠組みは、世論の主流とズレている。この点では、番組の批判は世論から浮いていない。むしろ寄っている。

だから「サンモニは嘘をついている」という批判は、少なくともこの回については当たらない。問題は、言ったことが嘘かどうかではなく、言わなかったことが何かだ。

事実の検証②──事実と違って伝わった部分

ここが本題である。薮中氏の発言のうち、次の一節を取り出す。

「身を切るということで議員定数の削減、それをまともに議論しないで皇室典範の改正に突っ走る」

この言い方だと、視聴者にはこう伝わる。高市政権が定数削減の議論を避けた。だが経緯は違う。

削減法案を止めたのは、野党だった

2026年7月7日、高市首相(自民党総裁)と日本維新の会の吉村洋文代表が国会内で会談し、衆院定数465を1割削減する法案について今国会での成立見送りを確認した。

日経は〈同法案は野党の賛同が得られず、成立の見通しが立っていなかった〉と報じている。与党側は6月末に特別委で審議入りを強行までしたが、採決に至らなかった。

反対していたのは野党側だ。公明党の竹谷とし子代表は「先送りで済むものではなく、明確に断念すべきだ」と述べ、断念そのものを求めた。

法案・テーマ 今国会の帰結 誰が止めたか/通したか
議員定数1割削減 見送り 野党の賛同が得られず。公明は「明確に断念すべき」
皇室典範改正 成立(7月17日) 自民・維新・国民民主・参政などの賛成。衆院審議は約3時間
国旗損壊罪 成立の見通し 与党主導
副首都構想 成立の見通し 自民・維新
食料品の消費税減税 持ち越し 与党内・国民会議で調整つかず

「議論させなかった」のと「議論して賛成が集まらなかった」は別の話である。前者なら政権の責任、後者なら反対した側の責任になる。責任の向きが逆になる。

優先順位の付け方を批判するのは自由だ。だが「まともに議論しない」という表現は、止めた側の存在を画面から消してしまう。

当サイトは定数削減そのものには賛成の立場で、比例に絞った削減案は評価している。潰れた経緯は別稿で追った(議員定数削減法案はなぜ潰れたのか)。

これは嘘ではない。だが、視聴者の記憶は書き換わる

誤解のないように書くと、番組が虚偽を放送したという話ではない。因果の説明が抜けただけだ。

しかし視聴者に残るのは、審議の経緯ではなく印象である。「高市は身を切る改革をやらなかった」という一行が残る。次の選挙で、その一行が判断材料になる。

事実の欠落が印象を反転させるとき、それは意見の偏りより実害が大きい。

報道姿勢の型──膳場体制2年分を並べて見えるもの

7月12日の一件だけなら、たまたまその日そろっただけかもしれない。膳場貴子氏が総合司会に就いた2024年4月以降の2年あまりを並べる。

時期 何を、どう報じたか その後
2024年7月 トランプ元大統領の銃撃事件を伝える中で、薮中三十二氏が「選挙戦に有利に働く可能性がある」、膳場氏が「凄くプラスのアピールになりかねない」。参加者1人が死亡した直後の放送だった Xで大規模に批判。局の公式対応は確認できず
2024年9月 アンカーの青木理氏が別のネット番組で、自民党に投票する人々を「劣等民族だから」と表現(番組外) 撤回・謝罪し活動を自粛。10月6日以降は松原耕二氏が連続で出演
2024年10月 レギュラーの田中優子氏が集会で、高市早苗氏を「安倍氏の女装。中は男でしょ」と評す(番組外) 橋下徹氏が「これはあかんやろ」と批判。出演は継続
2025年5月 コメ価格の高騰について、寺島実郎氏が「家庭の消費量を1割減らせば価格が落ち着く」という趣旨の提言 SNSで「消費者に我慢させる話か」と批判。対応は確認できず
2025年7月 参院選の外国人政策をめぐるやりとりで、出演タレントの発言が問題化 後日、本人が釈明
2026年5月 トランプ大統領や高市首相がSNSで直接発信することについて、膳場氏が「為政者がメディアを介さず…メディアのありようが今、問われている」と問題提起 X上で「問われているのは信頼の方だ」と逆に議論が起きる
2026年6月 週刊文春が報じた高市首相陣営の中傷動画疑惑を取り上げ、膳場氏が「メディアの責任も感じます」。「追及すべき」との声を紹介する形で放送 週刊誌報道の段階での追及色に批判も
2026年7月 高市首相が就任以来「0〜3時間睡眠」とXに投稿したことに、膳場氏が「正直仰天したんですけど」。予算委の集中審議への出席が14時間と少ない点を歴代首相と対比 賛否が拡散
2026年7月5日 野党が全審議を拒否した「空回し」を取り上げ、元村有希子氏が空席への怒りを述べたうえで「高市さんに現実に向き合ってもらわないといけない」と首相に注文 欠席した野党側への注文はほぼ出ず
2026年7月12日 国会終盤を「異常」「史上最悪最低」と、出演者がそろって評す 拡散。番組は通常放送を継続

この2年分から、報じ方の型が3つ取り出せる。

型①──出来事を、まず政治的な損得で読む

トランプ銃撃の回が典型だ。前大統領が撃たれ、参加者1人が死亡した事件を、番組は最初に選挙戦への影響として扱った。

テロが民主主義に何をするか、という筋道は後ろに回った。事件そのものより、事件が誰に有利かを先に置く。これは政局報道の作法であって、事件報道の作法ではない。

型②──政権の落ち度は原因まで掘り、野党の落ち度は画面に出ない

皇室典範の審議時間は3時間と分単位で示された。一方、定数削減が流れた理由は「議論しない」で処理された。

この型は、7月12日の1週間前にもっとはっきり出ている。7月5日の放送だ。

当時の国会は、野党側が与党の運営に反発して全ての審議を拒否していた。本会議でも委員会でも野党の席は空のまま、やりとりがなくても審議時間だけがカウントされる。「空回し」と呼ばれた異常事態である。

番組はこれを取り上げた。毎日新聞客員編集委員の元村有希子氏のコメントが、そのまま型の見本になっている。

「空回りならわかるが、空回しという状況を初めて見た。空席のまま、無言で10分とか30分とか過ぎていく。私たちの税金がああいう人たちの給料に使われているんだなと素朴な怒りを感じた。そもそも、高市首相の総裁選での中傷動画疑惑とかサナエトークンに対する野党側の追及に、誠実に答えようとしない。(略)高市さんに現実に向き合ってもらわないといけない

前半で怒りの対象は空席、つまり欠席した野党である。だが3文で主語が入れ替わり、結論は首相への注文になる。

審議を拒否したのは野党側という事実は動かない。それでも番組を見終えた視聴者に残るのは「高市が現実に向き合っていないから国会が止まった」という一行だ。

同じ回で松原耕二氏は「司令塔なき学級崩壊状態」と述べ、消費減税や皇室典範の進め方について「あんな乱暴なやり方はあまり見たことがない」と与党側を批判している。欠席した側への注文は、ほとんど画面に出ていない。

審議時間を調べる手間と、反対した会派を調べる手間は、たぶん同じである。掘る対象が片側だけに寄っている。

型③──司会が進行役でなく、論評の一員として座っている

膳場氏の発言を並べると、この2年で「正直仰天したんですけど」「メディアの責任も感じます」「為政者がメディアを介さず」と、いずれも評価を含んだ言葉になっている。

司会が論評側に立つと、番組内で意見の対立が起きにくくなる。進行役が中立でないなら、誰が反対意見を引き出すのか。

型④──数字を出すが、分母を出さない

2026年7月の回では、高市首相が予算委員会の集中審議に出席した時間が14時間と少ないことを、歴代首相と対比して示した。首相の国会出席の少なさは野党も問題視しており、論点として成立している。

ただ、視聴者が多いか少ないかを判断するには、会期の長さ、審議日程の設定、召集の時期といった条件が必要になる。数字だけを歴代と並べれば、条件の差は消える。

週刊文春が報じた首相陣営の中傷動画疑惑も同じで、疑惑の段階と確定した事実の段階を分けずに「追及すべき」と紹介すると、視聴者の側では両者が同じ濃さで残る。

キャスティングも、この2年ほとんど動いていない

ついでに書いておくと、司会交代は人選を組み直す最大の機会だった。実際に変わったのはサブキャスターと番組ロゴ、テーマ曲で、コメンテーターは全員続投している。

2年で空いた席は青木氏の1つだけ。そこに入ったのは、もともと隔週で同じ席に座っていた元TBS報道記者だった。方向が変わる余地のない入れ替えである。

現在の顔ぶれは、朝日新聞の政治担当編集委員、前AERA編集長、元毎日新聞論説委員、元共同通信記者、元TBS報道記者、大学教授、フォトジャーナリスト、ピースボート共同代表という並びだ。減税の話で「では財源はどこですか」と返す席は、この中にない。

番組の中に、訂正の仕組みがない

ここまでは「何を報じたか」の話だった。次は「間違ったとき、どう直るのか」の話をする。結論を先に言うと、直る経路がほとんどない。

経路①──番組内での反論:席がない

4脚のうち1脚が別の方向を向いていれば、7月12日はこうなっていた。「いや、定数削減は野党が反対して止まったんですよ」。5秒で番組は自己修正できた。

誰も言わなかった。これは意見の問題ではなく、事実の補正が働かなかったという問題だ。

経路②──番組審議機関:委員がその番組に出ている

放送法は放送事業者に番組審議機関の設置を義務づけている。番組の適正を図るための、局内のチェック機構だ。

ところが目加田説子氏はTBS番組審議委員会の委員として紹介され、同じ番組に月1回程度出演している。寺島実郎氏は元委員である。

TBS番組審議委員会 放送法にもとづく設置義務 サンデーモーニング コメンテーター席(4脚) 目加田説子さん(委員) 寺島実郎さん(元委員) 番組を審議する ※審議する側と出演する側が、同じ人物で重なっている

人選が違法だという話ではない。放送に詳しい人を委員に選べば、テレビに出ている人と重なるのは自然でもある。

ただ、番組を外から点検する席にその番組の出演者が座っているなら、点検はどこまで働くのか。視聴者が「言っても届かない」と感じる理由の一つは、ここにある。

経路③──視聴者の抗議:2年間、番組は変わっていない

前の表を縦に読むと、対応の型は2つしかない。本人が謝罪・自粛するか、何もしないか。

トランプ銃撃の回も、コメ発言も、番組の編成は動いていない。青木氏の席が空いたのは番組外の発言についての自粛で、番組の作りが問われた結果ではない。

この2年、Xでの炎上が番組を変えた例は一つもない。

だから「停波」を持ち出すのは筋が悪い

ここで冒頭の2016年答弁に戻る。高市氏は、公平を欠く放送が繰り返され行政指導でも改善しない場合、電波停止の可能性を否定しないと述べた。

ただ、当サイトはその道を推さない。理由は三つある。

第一に、この答弁自体が当時から強い批判を受けた。東京弁護士会は会長声明で撤回を求め、民放労連も抗議している。放送法4条は倫理規範であって処分の根拠にすべきでないという立場は、法学の側でも有力だ。

第二に、政府が番組内容を裁く前例を作れば、次の政権がそれを使う。いま都合のよい武器は、5年後には別の相手に向く。

第三に、効かない。番組は視聴率12%前後を保つ人気番組で、公権力に叩かれれば「圧力を受けた」という物語が加算されるだけである。

視聴者にとって、何が問題なのか

ここまで番組の側を見てきた。次は受け取る側の話をする。「偏っている」ことそのものより、視聴者にとって実害が大きいのは別の点だ。

問題①──因果が逆に伝わり、そのまま記憶に残る

もう一度、定数削減の例に戻る。番組を見た人の頭に残るのは、こうだ。「高市は身を切る改革をやらずに、こだわりの法案ばかり通した」。

実際は、削減法案は野党の賛同が得られずに見送られた。止めた側が画面に出てこないと、責任の所在が入れ替わる。

日曜の朝、家事をしながら流している番組の一行は、あとで検証されない。次に選挙の話になったとき、その一行が判断の土台になる。

問題②──「報道番組」として受け取られている

意見の色がある番組それ自体は、悪いものではない。海外には社の立場を明示した放送局がいくつもある。色がわかっていれば、見る側は割り引いて受け取れる。

だが『サンデーモーニング』は、日曜朝の報道番組として編成されている。視聴者は社説ではなく「ニュース」を期待して座る。

色があると分かって読む社説と、中立だと思って見るニュースでは、同じ言葉が別の重さで入る。受け取る側の防御が外れている状態だ。

問題③──訂正されないまま、次の週が来る

前章で見たとおり、番組内に反論の席はなく、審議機関の委員は出演者と重なり、Xの炎上は2年間で番組を変えていない。

つまり一度画面に出た評価は、そのまま残る。新聞なら訂正記事が載る。テレビの論評には、その手続きがない。

問題④──届く範囲が、反論の届く範囲と重なっていない

数字を一つ。『サンデーモーニング』は世帯視聴率12%前後を保ち、週間番組ランキングのトップ10に毎週のように入っている。テレビ離れが言われる時代に、報道番組としては異例の水準だ。

一方、この番組への批判はXとまとめサイトで起きる。放送は日曜の朝8時、批判はその後のタイムライン。両者を同時に見ている人は、たぶん多くない。

番組を見て「そうか」と思った人のところに、反論はほぼ届かない。だから炎上が2年続いても、視聴率も番組の作りも動かない。批判と番組が別の部屋で完結している。

問題⑤──番組の温度と、世論の温度が合っていない

数字も置いておく。「史上最悪最低」と評された政権の支持率は、7月時点でこうだ。

調査(2026年7月) 内閣支持率 前回比 備考
読売・NNN 57% −12 発足以降最低
日本経済新聞 58% −10
時事通信 49% 下落 5割を割る
毎日新聞 41% −10 不支持44%で初めて逆転

下がっているのは事実だ。読売は12ポイント、日経は10ポイントの下落で、いずれも発足以降の最低である。

それでも読売57%、日経58%。半分以上が支持している政権を、番組は「史上最悪最低」と呼んだ。

下落の要因も、各社の分析では物価高対応への不満が大きい。政府の物価高対策を「評価しない」は前月から15ポイント上がって7割を超えた。番組が長く時間を割いた論点と、国民の怒りの中心は、完全には重なっていない。

社によって数字が16ポイント離れる問題は、別稿で扱った(支持率は「作られた数字」だった)。

この番組を、定義する

最後に、ここまでの材料から『サンデーモーニング』を定義する。

まず、これは虚報を流す番組ではない。7月12日の審議時間も、女性天皇をめぐる世論の位置も、事実として正しかった。捏造を疑う批判は的を外す。

一方で、報道番組の要件も満たしていない。意見の対立する論点で一方の見解しか置かず、政権側の落ち度は分単位で掘り、反対会派の責任は掘らず、司会が論評の一員として座り、訂正の経路を持たない。

ここで一つ、確認しておきたい事実がある。

この番組は1987年にワイドショーとして始まったが、1996年にTBSの社会情報局が廃止されたのを機に、制作は報道局に移っている。いま画面に出ているのは、報道局が作っている番組である。

ワイドショーが政治を論評しているのではない。報道の看板と報道の人員で、論評が作られている。

これは報道の失敗ではなく、別のジャンルの完成形だと思う。定義するならこうなる。

『サンデーモーニング』は報道番組ではない。日曜朝に、決まった立場から政治を評価する「論説番組」である。しかも社説とちがって、反論欄を持たない。

見分ける方法は、3つの質問で足りる

これは『サンデーモーニング』だけの話ではない。日曜朝でも平日夕方でも、番組が報道か論説かは、見ながら3つ確かめれば判別できる。

一つ、止まった話について「誰が止めたのか」を言うか。言わない番組は、責任の向きを演出している。

二つ、数字を出すときに分母を出すか。「14時間」だけを歴代と並べる番組と、会期や日程まで添える番組は、別の仕事をしている。

三つ、その場に、反対の立場から答える人がいるか。いなければ、それはニュースではなく社説の朗読である。

だから、やることは2つしかない

一つは、番組が看板を書き換えることだ。「これは意見を述べる番組です」と明示すれば、偏りは看板と一致する。視聴者は割り引いて見られるようになり、批判の半分は成立しなくなる。

もう一つは、4脚のうち1脚の向きを変えることだ。「皇室典範は拙速だが、定数削減を止めたのは野党だ」と言う人が座れば、それだけで番組は討論になる。

停波も、BPOへの申し立ても要らない。必要なのは看板1枚か、椅子1脚である。

どちらも選ばれていない理由は、たぶん視聴率だ。12%の視聴者は、いまの4脚を見に来ている。摩擦は数字に響く。そろっている方が安全なのだ。

だとすれば、これは報道倫理の問題ではなく、商売の問題ということになる。視聴者の側にできるのは、この番組を「ニュース」ではなく「論説」として見ることだ。そう見た瞬間から、日曜の朝の一行は判断の土台ではなく、一つの意見に戻る。

主要ソース

本稿は放送を直接視聴したものではなく、番組内の発言はいずれも報道記事に依拠している。引用の前後が切り取られている可能性は残る点を、あらかじめ記しておく。

7月5日・12日の放送と国会終盤

議員定数削減の見送り

膳場体制(2024年4月〜)の報道と発言

世論調査

番組の構造・放送法

関連(当サイト既報)

🌿 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

編集者K

速報より本質。話題のニュースの裏側を裏取りして届ける、一日の最後に読むニュースサイトです。