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「辞表を出した翌日、女子会やったの」──元朝日記者が明かした4人の名前と、高市早苗を止め続けた9か月

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「小渕優子さんが(税調の)辞表を出した翌日、女子会やったの」

そう語ったのは、元朝日新聞政治部記者の今野忍氏である。集まったのは、小渕優子、野田聖子、小池百合子、そして連合の芳野友子。今野氏はこう続けた。「凄くない?」

中身は語られていない。何を話したかは、わからない。

それでも、この四人の名前が並んだだけで意味が通じてしまう。理由は、彼女たちの9か月分の記録にある。

2014年、雑誌の座談会で野田聖子氏と小渕優子氏はこう語り合っていた。タイトルは「憂国女子酔談 女たちよ、政治家をめざせ!」。

それから12年。日本は憲政史上初の女性首相を持った。2025年10月21日、高市早苗氏が第104代内閣総理大臣に指名された。

では、「女たちよ、政治家をめざせ」と語った人たちは、いま何をしているのか。

2014年、彼女たちは「政治家をめざせ」と語っていた

『新潮45』2014年9月号に、その座談会は載っている。金子恵美、野田聖子、小渕優子。当時、小渕氏は経済産業大臣に就任する直前で、女性初の総理候補として名前が挙がっていた時期だった。

野田聖子氏は、選択的夫婦別姓の導入を1996年から27年以上訴え続けてきた人物である。「男社会」の自民党で女性の政治参加を推進する立場を、一貫して取ってきた。

小渕優子氏は2008年、34歳で少子化担当大臣となり、戦後最年少の閣僚となった。父・小渕恵三元首相の急逝を受けて26歳で議員になった、いわゆる二世議員である。

同じ時期、高市早苗氏はどこにいたか

高市氏は当時、自民党政調会長。翌9月には総務大臣に就任している。この三人と同じ「女性の政治家」でありながら、進む道はまったく違っていた。

違いは明確だった。選択的夫婦別姓である。高市氏は2020年12月、この制度について「家族単位の社会構造が壊れる恐れがある」と述べ、反対の立場を明確にしている。

野田氏と高市氏の対立は「野田・高市論争」と呼ばれ、自民党内では長く知られた構図だった。2021年の総裁選でも、野田氏は「実現を目指す」、高市氏は「慎重」と、真っ向から分かれている。

つまり、日本初の女性首相が誕生する前から、「女性の権利」を掲げる側と、高市早苗という個人は、同じ側に立っていなかった。

小渕優子──消費税減税に反発し、党の中枢から降りた

2026年6月25日、共同通信、日本経済新聞、時事通信、テレビ東京が一斉に同じニュースを報じた。

自民党の小渕優子元選対委員長が、党税制調査会の「インナー」と呼ばれる非公式幹部会合のメンバーを辞任したいとの意向を、小野寺五典税調会長に伝えた、というものだ。

党税調のインナーは、日本の税制を実質的に決める場である。ここに入れるのは、党内でも十指に満たない。その席を自ら降りると言い出した。

理由は、高市首相の看板政策への反発

報道によれば、辞任意向の理由は、飲食料品の消費税率引き下げをめぐる対応への不満だ。

党税調と超党派の社会保障国民会議では、2027年4月から2年間限定で、飲食料品の消費税率を8%から1%に下げる案の議論が進んでいた。小渕氏は周辺に「受け入れられない」との考えを示していたと報じられている。

小渕氏は財政規律を重視する立場で知られる。2026年1月のインタビューでも「責任ある積極財政」を基本としつつ、物価高対策の効果を見極める必要があると述べ、規律側に軸足を置いていた。

政策上の主張として、この立場そのものは筋が通っている。減税は財源を必要とし、恒久財源のない減税は将来へのつけ回しになる、という批判は成立する。

ただし、出し方が問題だった

反対するなら、インナーの中で反対すればいい。そこは議論の場である。

小渕氏が選んだのは、議論の場から降りることだった。小野寺税調会長は「素晴らしい実績と能力を持っている。考え直していただきたい」と慰留している。

J-CASTニュースはこの動きを「ポスト高市にらんで小渕優子に動き?」という見出しで報じた。党内の要職を降りるという行為が、政策への反対ではなく、次の総裁選をにらんだ距離の取り方と読まれたということである。

そして、前回の記事で扱った国民民主党の玉木雄一郎代表も、同じ7月28日に、この1%案に反対している。減税に反対する側で、自民党の小渕優子氏と、減税を掲げてきた野党の代表が並んだ。

野田聖子──総裁選出から10日、すでに「高市おろし」の側にいた

2025年10月4日、高市早苗氏が自民党総裁に選出された。その10日後の10月14日、東京スポーツは「自民大分裂か…党内で早くも〝高市おろし〟」という記事を出した。

きっかけは公明党の連立離脱だった。26年続いた自公連立が、高市総裁の選出直後に崩れた。

船田元衆院議員はフェイスブックで「高市総裁に一度退いていただき、早急に総裁選挙をやり直して」と書いた。野村哲郎元農水相は地元の会合で「高市氏でよかったのか、悔やまれてならない」と語った。

野田氏が音声配信で語ったこと

この記事に、野田聖子氏の発言が並べて掲載されている。音声配信サービスVoicyでの言葉だ。

「人って相手とのコミュニケーションじゃないですか。今回の自民党のトップみたいな人たちは常に自公でやってきても、(公明党への)アンチの発言が多かったので、人間って悪口を言われると言った方は忘れちゃうけど言われた人は一生忘れない。そういうのもあったのかなあ」

── 野田聖子氏(2025年10月、Voicyでの発言/東京スポーツ報道)

「今回の自民党のトップみたいな人たち」。名指しはしていない。だが、公明党の連立離脱の原因は高市氏本人の言動にある、という趣旨であることは読み取れる。

総裁選出から10日である。まだ首相にもなっていない。政権が何かを実行する前の段階で、党の重鎮が公の場で「原因はあの人の人格だ」という形の説明をした。

野田氏は2026年2月の衆院選で12選している

その後、2026年2月8日の第51回衆院選で、野田氏は岐阜1区で当選し、12選を果たした。65歳。党内での発言力は失われていない。

「女たちよ、政治家をめざせ」と語った人が、日本初の女性首相の誕生から10日で、その退陣論が飛び交う場に発言を置いた。これは記録である。

小池百合子──祝意を送りながら、財源では「地方自治の否定だ」

小池百合子東京都知事の動きは、この4人の中で最もわかりにくい。表向きは、高市氏を持ち上げているからだ。

高市氏の総裁就任時には祝意を表明し、「女性登用を期待」と述べた。米誌TIMEが選ぶ「世界で最も影響力のある100人」に高市首相が選出された際には、推薦文を寄せて「首相の素晴らしい活躍を期待している」と書いている。

2026年1月には首相官邸で高市氏と面会し、和やかにやりとりしたと報じられた。

だが、カネの話になると態度が変わる

2025年12月、自民党と日本維新の会がまとめた2026年度与党税制改正大綱に、東京都の税財源を地方に再配分する仕組みの拡大が盛り込まれた。固定資産税についても新たな偏在是正措置を検討する、とされた。

小池氏はこれに正面から反発した。発言は激しい。

「地方自治の否定だ」
「国の推計はフィクション」
「偏在がどこにあるのか」

── 小池百合子東京都知事(2025年12月〜2026年、税収偏在是正をめぐる一連の発言/日本経済新聞)

都の主張はこうだ。1人当たりの一般財源は全国平均22万9千円に対し、東京は23万8千円で、ほぼ同じ。国が計算する都の基準財政需要は約3.8兆円だが、都の試算では2兆円以上の算定漏れがある。だから東京に財政の余裕はない、と。

2026年4月10日には、国と都の協議会が始まった。都が与党税制大綱の偏在是正措置に反論する場である。

小池氏は同年4月、「パイを分ける構造は成り立たない」とも述べ、議論の枠組み自体を否定する立場を打ち出している。

選択的夫婦別姓では、高市氏と逆の立場

小池氏は選択的夫婦別姓についても、都民の不便・不利益を解消する観点から「早急に結論を」と述べ、容認する立場を示している。高市政権が進める旧姓の通称使用の法制化とは、方向が違う。

祝意は言葉で、対立は制度で。この二つを同時にやれるのが小池百合子という政治家である。

芳野友子──玉木雄一郎を止めていたのは、この人だった

4人目は国会議員ではない。連合(日本労働組合総連合会)の芳野友子会長である。2025年10月の第19回定期大会で再選され、3期目に入った。連合初の女性会長だ。

この人の存在は、高市政権を語るうえで決定的な意味を持つ。

2026年6月18日、国民民主の連立入りを封じた

高市首相は2026年6月、国民民主党を念頭に連立の枠組み拡大に含みを持たせた。これに対し、芳野会長は6月18日の記者会見で、国民民主の連立入りは容認できないとの認識を示した。

同年1月にも同じ趣旨の発言をしており、「考えは変わらない」と述べている。

国民民主党にとって、連合は最大の支持組織である。その代表が容認しないと言えば、党は動けない。玉木雄一郎代表が二度にわたって連立を断った背景には、この壁があった。

さらに芳野氏は、玉木代表に対し「中道改革連合への批判は控えてほしい」と異例の自制要請まで行っている。これにはネット上で「連合が野党の代表に口出しするのか」という反発も出た。

選択的夫婦別姓でも、高市政権に「反対の立場」

2026年3月5日の記者会見。旧姓使用の法制化方針を盛り込んだ第6次男女共同参画基本計画が閣議決定される見通しとなったことについて、芳野会長はこう述べた。

「連合は一貫して選択的夫婦別姓制度の導入を求めている。反対の立場だ」

── 芳野友子・連合会長(2026年3月5日の記者会見/時事通信)

前年12月の男女共同参画会議でも、自身が求めていた選択的夫婦別姓が進まない政府案に失望を示していたと報じられている。

一方で芳野氏は、2025年10月の高市氏の総裁就任時には「女性の先頭を切って」と期待を表明していた。過去には小池都知事について「連合東京の政策を理解してもらい、評価できる。関係性も良い」とも述べ、「連合は自民党に近いのか」とネットで異論が出たこともある。

この人は、誰に選ばれたのか

ここで一つ確認しておきたいことがある。芳野友子氏は、国政選挙に出たことがない。

連合会長は、傘下の労働組合の代表が集まる定期大会で選ばれる。組織内の手続きとしては正当である。だが、有権者が票を投じて選んだ役職ではない。

その立場から、政権の枠組みそのものに「容認できない」と言えてしまう。国民民主党が連立に入るかどうかは、本来は同党の判断であり、最終的には選挙で有権者が評価する話である。

連合の組合員数は約680万人(2025年6月末時点、厚生労働省の労働組合基礎調査で682万2千人)。日本の有権者は約1億人である。その680万人を束ねる立場が、1億人の選択の結果である国会の枠組みを左右している。

これは芳野氏個人の問題というより、支持団体と政党の関係という構造の問題だ。だが結果として、有権者が「減税をやってほしい」と思っても、その扉が組織の判断で閉じられる構図になっている。

玉木代表が二度断った理由を、当サイトは前回の記事で「発言と行動の記録」から検証した。だがその背後にあった一番大きな壁は、この人だった。

4人が一致している一点

ここまでの記録を、一枚に並べる。

人物 立場 高市政権への抵抗の記録 時期
小渕優子 自民・衆院10選 飲食料品の消費税8%→1%案に反発し、党税調インナーの辞任意向を伝達。「ポスト高市」と報道 2026年6月25日
野田聖子 自民・衆院12選 公明党の連立離脱を「トップみたいな人たち」の言動に帰す発言。「高市おろし」報道に並記 2025年10月14日
小池百合子 東京都知事 与党税制大綱の偏在是正措置に「地方自治の否定だ」「国の推計はフィクション」と反論。国と都の協議会で対峙 2025年12月〜
芳野友子 連合会長(3期目) 国民民主の連立入りを容認せず、連立拡大を封じる。旧姓法制化に「反対の立場」 2026年3月・6月

四つの記録は、それぞれ別の理由から出ている。財政規律。党内の人間関係。都の財源。労働組合の政策。

互いに連絡を取り合った証拠は、どこにもない。この記事はそれを主張しない。

それでも、結果として向いている方向は一つである。日本初の女性首相が、党内でも、地方でも、労働界でも、進もうとするたびに止められている。

高市早苗首相と4人の関係図小渕優子、野田聖子、小池百合子、芳野友子の4氏が、それぞれ別の理由から高市政権の政策や立場に抵抗している構図を示した図日本初の女性首相の前に立つ4人(2025年10月〜2026年7月の記録)高市早苗第104代内閣総理大臣2025年10月21日就任・憲政史上初の女性首相小渕優子(自民・衆院10選)飲食料品の消費税1%案に反発党税調インナーの辞任意向(2026年6月)野田聖子(自民・衆院12選)公明離脱を「トップ」の言動に帰す総裁選出10日後の発言(2025年10月)小池百合子(東京都知事)税収偏在是正に「地方自治の否定だ」国と都の協議会で対峙(2025年12月〜)芳野友子(連合会長・3期目)国民民主の連立入りを容認せず旧姓法制化に「反対の立場」(2026年)※6月26日に4氏が会合を持ったとの証言(今野忍氏)はあるが、その目的は確認されていない。※各記録は個別の公開報道・記者会見に基づく。矢印は抵抗の方向を示し、組織的な連絡関係を意味しない。

時系列で並べると、途切れていない

高市政権が発足してから9か月あまり。この間、政権が何かを動かそうとするたびに、誰かが止めに入っている。

時期 高市政権の動き 止めに入った側
2025年10月4日 高市氏が自民党総裁に選出 ──
2025年10月14日 公明党が連立を離脱 野田聖子氏がVoicyで「トップみたいな人たち」の言動に原因を帰す
2025年10月21日 高市内閣が発足(自民・維新の連立) ──
2025年12月 与党税制改正大綱に東京の税財源の再配分拡大 小池百合子氏が「地方自治の否定だ」と反発
2025年12月 男女共同参画会議で旧姓使用の法制化方針 芳野友子氏が政府案に失望を表明
2026年3月5日 第6次男女共同参画基本計画を閣議決定へ 芳野友子氏が「反対の立場だ」と明言
2026年4月10日 国と都の協議会が開始 小池百合子氏が「パイを分ける構造は成り立たない」
2026年6月18日 高市首相が連立枠組みの拡大に含み 芳野友子氏が国民民主の連立入りを容認せず
2026年6月25日 飲食料品の消費税8%→1%案の議論が進む 小渕優子氏が党税調インナーの辞任意向を伝達
2026年6月26日 ── 4人が会合(今野忍氏の証言。中身は語られていない)
2026年7月28日 高市首相が1%引き下げに向け党内を説得 国民民主・玉木雄一郎氏が「やり方が間違っている」と反対
2026年7月29日 ── 今野氏の「女子会」証言と、宮崎謙介氏の中国大使館発言がX上で拡散

9か月で、8回。しかも止めに入る側は、そのつど入れ替わっている。党内、地方、労働界。政権が触れようとする分野ごとに、別の人が立っている。

偶然だと言われれば、それまでである。だが偶然が9か月続くと、それは構造と呼ばれる。

「辞表を出した翌日、女子会やったの」

ここで、この記事のきっかけになった証言に戻る。

語ったのは今野忍氏。元朝日新聞政治部の記者で、首相官邸や自民党を長く担当し、菅義偉・岸田文雄の両首相の番記者を務めた人物である。2026年2月からフリーで活動している。

「小渕優子さんが(税調の)辞表を出した翌日、女子会やったの。小渕優子さん、野田聖子さん、小池百合子都知事、連合の芳野会長、凄くない?」

── 今野忍氏(元朝日新聞政治部記者)の発言として、2026年7月29日にX上で拡散

小渕氏が小野寺五典税調会長に辞任の意向を伝えたのは6月25日。その翌日、6月26日ということになる。

今野氏は「中身」を語っていない

ここは正確に書いておきたい。今野氏が述べたのは、会合があったことと、そこにいた四人の名前だけである。

何を話したかは語っていない。「打倒・高市を誓った」とも言っていない。「凄くない?」の一言で終えている。

だから当サイトも、この会合の目的については書かない。書けるだけの材料がない。会合の存在も、今野氏の発言という一つの証言に依っている。

それでも「凄くない?」で通じてしまう

興味深いのは、今野氏が中身を説明しなかったのに、聞いた側には意味が通じたことである。

四人の名前が並んだだけで、「それは高市早苗の話だ」と伝わった。翌日にはX上で拡散し、多数の反応が集まった。

なぜ通じたのか。政治記者の勘でも、聞いた側の妄想でもない。この記事でここまで並べてきた、9か月分の記録があるからである。

消費税を止め、連立を封じ、財源に反対し、政権発足前から退陣論に発言を寄せる。四人が、別々の場所でそれを続けてきた。

だから名前が並んだだけで意味が立つ。この会合に意味を与えているのは、密談の中身ではない。彼女たち自身の、公開された行動である。

繋がりそのものは、以前から実在する

この四人が同じ場に並ぶのは、初めてではない。

冒頭で触れた2014年の座談会「憂国女子酔談 女たちよ、政治家をめざせ!」には、野田聖子氏と小渕優子氏が並んで登場している。

小池百合子氏と野田聖子氏には、2017年に新党構想があったと報じられた過去もある。細川護熙元首相が描いたとされる野党再編の絵で、実現はしなかった。

芳野友子氏と小池百合子氏については、芳野氏本人が「関係性も良い」と公の場で語っている。連合という旧民主党系の支持組織のトップが、自民党出身の都知事との近さを認めた発言だった。

会って何を話したかは、わからない。だが、会う理由がないという関係ではない。

もう一つの証言──「中国大使館が反高市陣営を招いた」

今野氏の発言と並んで、同じ7月29日に拡散したものがもう一つある。元衆議院議員の宮崎謙介氏の発言である。

「中国大使館が、高市総理の次を見据えて、小渕優子さんを中心に“反高市”陣営を大使館に招いた」

── 宮崎謙介氏(元衆議院議員)の発言として、2026年7月29日にX上で拡散

この発言を受け、北村晴男参院議員らが「中国の政治介入だ」と批判し、X上では小渕氏への非難が急速に広がった。

反対材料を先に書く

ここは、批判する側に不利な事実から書く。

小渕優子氏は、日中友好議員連盟の事務局長である。中国大使館での会食は、その職務の一部として十分にありうる。

日中友好議連は超党派の組織で、歴代の自民党幹部が名を連ねてきた。大使館との会食も珍しいことではない。招かれたこと自体を問題視するのは、無理がある。

宮崎氏の発言にも、日時や出席者名簿といった具体は伴っていない。当サイトは、この会合が「反高市工作」だったという確認を取れていない。ここを断定するつもりはない。

だが、問われるのはタイミングである

それでも、一つだけ書けることがある。

これが「よくある議連の会食」なら、なぜ今になって燃えるのか。

答えは単純である。小渕氏が党税調の幹部会を降りた直後だからだ。デイリー新潮はこの辞任劇を「『反高市』の狼煙?」と報じ、党内抗争に発展する可能性を指摘している。

同じ行動でも、置かれる文脈で意味が変わる。議連の事務局長として大使館に行くのと、党の税制の中枢を降りた直後に大使館に行くのとでは、受け取られ方がまったく違う。

それを承知のうえで動いているなら、政治家としての判断である。承知していないなら、それはそれで別の問題になる。

いずれにせよ、この二つの証言に共通しているのは「小渕優子を中心に」という一点である。党税調を降りた人物が、いま中心に置かれて語られている。

では、女性活躍の足を引っ張っているのは誰なのか

ここまでは記録である。ここからは、この記事の意見になる。

日本は長いあいだ、女性の政治参加が進まない国だと言われてきた。国際比較のたびに下位に置かれ、「女性が活躍できない社会」として語られてきた。

その日本が、2025年10月に女性首相を持った。

では、そのとき最も強く抵抗したのは誰だったか。「女性の権利」「女性の活躍」を最も長く掲げてきた人たちだった。これが記録の示すところである。

「反対の理由」は、それぞれ筋が通っている

公平に書けば、4人の主張にはそれぞれ根拠がある。

小渕氏の財政規律論は、恒久財源のない減税を問題視する立場として成立する。小池氏の東京の財源論は、都民の税金がどこに使われるかという地方自治の問題である。野田氏の言葉は、公明党との26年の関係を惜しむ側の見方だ。芳野氏の選択的夫婦別姓は、連合が何十年も掲げてきた要求である。

どれも、政策論として反論に値する。この記事はそれを否定しない。

だが、問われるのは順番である

問題は、これらの主張が「初の女性首相が誕生した直後」に、集中して出てきたことだ。

野田氏の発言は、高市氏が首相になる前だった。総裁に選ばれて10日である。政権はまだ何もしていない。それでも「原因はあの人たちの言動だ」という説明が、公の場に置かれた。

小渕氏は、党税調の中で反対するのではなく、席を降りることを選んだ。議論するより、距離を取ることを選んだ。

芳野氏は、政権の枠組みそのものを外から封じた。国民民主が連立に入れば、政策協議の中で減税や年収の壁の議論が進む可能性があった。その扉を、選挙で選ばれていない立場から閉じた。

そして、これは「女性の問題」なのか

ここは慎重に書きたい。4人が女性だから抵抗したのだ、という主張は成り立たない。それは差別的な決めつけになる。

しかし、こうは言える。この国で「女性活躍」を語ってきた人たちは、女性が実際に権力を握ったとき、その人が自分と同じ考えでなければ支持しなかった。

つまり彼女たちが求めていたのは「女性の活躍」ではなく、「自分たちの政策を実行する誰か」だった。性別は看板であり、中身ではなかった。

選択的夫婦別姓に賛成する女性首相なら、応援したのだろう。財政規律を守る女性首相なら、税調に残ったのだろう。東京から財源を取らない女性首相なら、称賛し続けたのだろう。

だが、そうではない女性首相が出てきた。すると彼女たちは、日本で初めての事態を「守るべきもの」とは見なさなかった。

減税を止めている側に、与野党の垣根はない

物価高が続いている。円安は164円をつけた。食料品の消費税を1%に下げる案は、家計に最も直接届く政策である。

その案に自民党内から反発したのが小渕優子氏で、野党から反発したのが玉木雄一郎氏だった。止めている側に、与党も野党もない。

この4人が並んでいる限り、日本初の女性首相は前に進めない。進めない分だけ、負担を負うのは国民である。

そもそも、この4人は同じ席を目指していた

もう一つ、履歴を並べておきたい。この4人が、これまで何を目指してきたかである。

小池百合子氏は2008年、自民党史上初の女性候補として総裁選に出馬した。麻生太郎、与謝野馨に次ぐ3位。党員票では2位につけたが、地方票は0だった。

野田聖子氏は2021年の総裁選に出馬している。このとき同じ選挙に立ったのが、高市早苗氏だった。女性が複数出馬するのは1955年の結党以来初めてで、二人はその選挙を戦った相手同士である。

小渕優子氏は34歳で戦後最年少の閣僚となり、長く「女性初の総理候補」と呼ばれてきた。2014年、経済産業大臣に就任した2か月後に政治資金の問題で辞任し、その道は事実上閉じている。

芳野友子氏は連合初の女性会長である。労働界における「女性の代表」の座に、いま3期目で座っている。

つまり、こういうことである。高市早苗が座った席は、この人たちがかつて自分で目指した席だった。

向いている先が、国民ではない

4人の抵抗を、もう一度最初から読み返してほしい。国民の暮らしが理由として出てくる場面が、一度でもあっただろうか。

財政規律の理屈。都の取り分。組織が何十年も掲げてきた要求。公明党との26年の関係と、そのときの言葉づかい。

消費税1%案を止めた側に、家計の話をした人が一人もいない。

私にはこう見える。この人たちが向いているのは国民ではない。自分が長く座りたかった席と、そこに先に座った相手である。

これは政策論争ではなく、女同士の主導権争いだ

「女性活躍」を看板に掲げてきた人たちが、実際に女性が頂点に立った瞬間、こぞってその足を止めにかかった。

止める理由は毎回きれいに用意されている。財政規律。地方自治。夫婦別姓。組織の方針。どれも、単体で聞けばもっともらしい。

だが9か月分を並べて眺めれば、見えてくるのは別のものである。誰が「日本の女性の代表」なのかという、座席の取り合いだ。

国民にとって、これほど無関係な争いはない。有権者は「どの女性が代表か」を決めるために税金を払っているのではない。物価を下げてほしくて、生活を楽にしてほしくて、政治にカネを出している。

その一点において、私はこう断じる。国民の方を向かず、女同士の主導権争いの中でしか動いていない政治家は、この国に必要がない。

性別は関係ない。もしこれが男性四人でも、私は同じことを書く。国民の生活を人質にして自分の席を争う政治家は、男でも女でも、いらない。

ただ、今回に限って言えば、それをやっているのが「女性の活躍」を最も長く語ってきた人たちだった。日本の女性活躍を止めているのは、男社会ではなく、この人たちである。

次に票を投じるとき、この9か月を思い出してほしい

「日本は女性が活躍できない国だ」と、私たちは長く聞かされてきた。

だが記録を並べてみると、女性首相の前に立ちはだかったのは、男社会でも、古い自民党でもなかった。「女性の活躍」を最も声高に語ってきた人たちだった。

この4人のうち、有権者が直接評価できるのは3人である。小渕優子氏は群馬5区、野田聖子氏は岐阜1区、小池百合子氏は東京都知事。芳野友子氏だけは、有権者の手が届かない場所にいる。

次に票を投じるとき、この9か月を思い出してほしい。誰が国民の方を向いていて、誰が自分の席の方を向いていたのか。

あなたはこの4人を、どう見ますか。

主要ソース

「女子会」と中国大使館をめぐる二つの証言

小渕優子氏の党税調インナー辞任

野田聖子氏と「高市おろし」

小池百合子氏と税収偏在是正

芳野友子・連合会長

高市政権と選択的夫婦別姓

4人が過去に目指した「席」

関連(当サイト既報)

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編集者K

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