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日本人が気づいていない、変えるべき古い規制10選――シリーズ案内

話題性 ★★★★☆ 信憑性 ★★★★★ 共感性 ★★★★★

#規制改革 #既得権益 #医療法人 #ライドシェア

「気づかないから変わらない」――日本を縛る古い規制たち

日本には、多くの人が気づいていないけれど、もう変わるべき規制が山ほどある。

例えば、医療法人の理事長は原則として医師でなければならない。「当たり前」と思うかもしれないが、これは医療経営から経営の専門家を排除する規制である。経営に不慣れな医師が経営を担うことで、病院倒産や医療事故が増えている。

例えば、ライドシェアは原則禁止。タクシー運転手が高齢化して全国で人手不足になっているのに、Uber的なサービスは未だに「白タク」として違法扱いされる。

これらは「公益を守るための規制」と説明される。しかし実態は、特定の業界の既得権益を守る規制でしかないことが多い。本稿は、そうした「もう要らない、変わるべき規制」を10個まとめて紹介する。

本稿はシリーズの「入口」である。それぞれの規制は、追ってシリーズ記事として深掘りしていく予定だ。読者の判断材料を提供したい。

「変えるべき規制」10選――全体像

変えるべき古い規制10選
既得権益を守る、時代に合わない規制たち
医療・健康
① 医療法人の医師理事長限定
医療法46条。経営の素人が経営を担う構造

医療・健康
② 薬機法のOTC販売規制
薬剤師業界保護のため利便性犠牲

士業・資格
③ 業務独占資格の濫造
行政書士・社労士・宅建士…人為的希少性

交通
④ ライドシェア禁止
白タク扱い。タクシー業界保護の典型

メディア
⑤ NHK受信料強制契約
放送法64条。テレビ所有で自動契約

メディア
⑥ クロスオーナーシップ無規制
新聞×テレビ集中所有、報道多様性損なう

選挙
⑦ 公職選挙法のSNS制限
古い時代の規制が新興政党を阻む

労働
⑧ 派遣法の硬直性
3年ルール・同一労働同一賃金の歪み

家族・戸籍
⑨ 夫婦同姓強制
国際的に異例。選択的夫婦別姓議論

情報
⑩ 個人情報保護法の過剰運用
災害時の連絡共有さえ阻む規制運用

① 医療法人の医師理事長限定――経営素人が経営を担う構造

【根拠法】医療法第46条の6

【現状】医療法人の理事長は原則として「医師」または「歯科医師」でなければならない。都道府県知事の認可があれば例外的に非医師の理事長も認められるが、申請の多くは門前払いとなる。

【何が問題か】

  • 医師は医学のプロであっても、経営のプロではない
  • 経営失敗による病院倒産が増加(年間50件超)
  • 理事長交代時に「外部から医師を招く」必要があり、乗っ取りリスク
  • 一人医療法人では、理事長の死亡・重病で長期間病院閉鎖になることも
  • 民間経営手法を医療に導入できず、医療の効率化が進まない

【改革の方向】
規制改革会議は2014年から「非医師の経営者を理事長にできる制度」を提案している。医師は医療の責任者として残り、経営は経営のプロが担う分業構造に変えるべきだ。

【既得権益】
日本医師会が反対している。医師による医療の独占的支配を維持したいというのが本音とされる。

② 薬機法のOTC医薬品オンライン販売規制――薬剤師業界保護のため

【根拠法】医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)

【現状】OTC医薬品(一般用医薬品)のオンライン販売には、薬剤師による電話やメールでの「対面相当の情報提供」が義務付けられている。第1類医薬品は薬剤師の関与が必須。

【何が問題か】

  • 欧米では一般的な医薬品オンライン販売が日本では事実上制限
  • 過疎地・離島では薬局アクセスが困難なのに、ネット販売も実質できない
  • 夜間・休日の医薬品入手が困難
  • 薬剤師に法外な権限を与え、結果として薬剤師が「医療の門番」になっている

【改革の方向】
リスクの低い医薬品はネット販売を全面解禁し、リスクの高いものだけに薬剤師の関与を限定する。

【既得権益】
日本薬剤師会、ドラッグストア業界が反対。OTC医薬品の販売利益を守りたい。

③ 業務独占資格の濫造――行政書士・社労士・宅建士…人為的希少性

【根拠法】行政書士法、社会保険労務士法、宅地建物取引業法など

【現状】日本には「○○士」という独占業務を持つ国家資格が異常に多い:

  • 弁護士・税理士・司法書士・行政書士・社労士・弁理士・公認会計士
  • 宅地建物取引士・建築士・土地家屋調査士
  • マンション管理士・管理業務主任者・賃貸不動産経営管理士

【何が問題か】

  • 欧米では一つの資格で済む業務が、日本では複数資格に分断
  • 新規参入を阻む人為的な障壁
  • 業界団体が規制改革に反対し続ける構造
  • 消費者は複数の専門家を雇わざるを得ず、コスト高
  • AI・デジタル化で代替可能な業務も独占

【改革の方向】
業務独占を「資格による独占」から「能力ベースの独占」に転換。例えば許認可申請業務は、行政書士でなくとも誰でもできるようにする。

【既得権益】
各士業の業界団体(日本行政書士会連合会など)が政治献金・選挙協力で守りに入る。

④ ライドシェア禁止――タクシー業界保護の典型例

【根拠法】道路運送法第78条

【現状】自家用車での有償輸送は「白タク」として原則禁止。罰則は3年以下の懲役または300万円以下の罰金。2024年4月から条件付きで部分解禁されたが、「タクシー会社による事業」に限定されている。

【何が問題か】

  • タクシー運転手の高齢化で全国的にタクシー不足
  • 訪日外国人増加でタクシー需要急増
  • 地方・観光地での移動手段が圧倒的に不足
  • Uber・Lyftなど世界標準のサービスが日本では使えない
  • 2024年解禁の「日本版ライドシェア」もタクシー会社の事業に縛られ、本質的な競争にならない

【改革の方向】
個人ドライバーが自家用車で輸送業務できる制度の全面解禁。

【既得権益】
全国タクシー協会、二種免許制度を守りたい運輸業界。

⑤ NHK受信料強制契約――放送法64条の異例性

【根拠法】放送法第64条

【現状】テレビ受信機を設置した時点で、NHKと受信契約を結ぶ義務が生じる。地上契約:月額1,225円、衛星契約:月額2,170円。視聴の有無にかかわらず支払い義務。

【何が問題か】

  • 世界でも稀な「強制契約」モデル
  • 視聴しなくても払う必要がある異例の構造
  • スマホ・PCでもNHKプラスを契約していないのに対象になる議論
  • 受信料収入6,125億円という巨額の独占的安定収入
  • 偏向報道が指摘されても、視聴者は「支払い拒否」で抗議できない

【改革の方向】
スクランブル化(見たい人だけ契約して見る)、サブスク型への転換、または公的補助金型への移行。

【既得権益】
NHK、総務省(受信料制度の所管)。

⑥ クロスオーナーシップ規制の不在――メディア集中所有を許す構造

【根拠法】放送法、新聞関連法(規制が「ない」状態)

【現状】日本では新聞社が系列テレビ局を支配することが認められている:

  • 朝日新聞 → テレビ朝日
  • 毎日新聞 → TBS
  • 読売新聞 → 日本テレビ
  • 日経新聞 → テレビ東京
  • 産経新聞 → フジテレビ

【何が問題か】

  • 欧米では報道の多様性を守るため、新聞社×テレビ局の同一資本支配を制限
  • 日本にはそうした規制が存在しない
  • 結果、新聞紙面とテレビ報道で同じ偏向報道が展開される
  • 市民は「異なる視点」を得る機会を奪われる

【改革の方向】
新聞社の系列テレビ局支配を制限。報道の多様性を確保するための法整備。

【既得権益】
全大手新聞社、5大民放テレビ局。

⑦ 公職選挙法のSNS・動画規制――新興政党を阻む古い規制

【根拠法】公職選挙法

【現状】選挙期間中のSNS活動には複雑な規制がある。動画の有償広告、リツイート、いいね、コメントすら制限される場合がある。

【何が問題か】

  • 規制が複雑すぎて、有権者・候補者ともに何ができるか分からない
  • 結果、SNSを使いこなせる新興政党に不利
  • 既存政党・候補者は古い選挙手法(街頭演説、ポスター、ハガキ)に固執
  • 2024年兵庫県知事選で「SNSこそ主要情報源」と判明したのに、規制は古いまま

【改革の方向】
SNS時代に対応した選挙規制の全面再構築。情報の透明性と公正さは確保しつつ、市民の自由な表現を妨げない。

【既得権益】
既存政党、選挙ポスター・ハガキ業界。

⑧ 派遣法の硬直性――3年ルールの歪み

【根拠法】労働者派遣法

【現状】同じ派遣先で同じ業務を3年以上続けると、派遣先に直接雇用の義務が生じる「3年ルール」がある。

【何が問題か

  • 3年経過時点で派遣社員が雇い止めされるケース多発
  • 派遣会社・派遣社員の不安定化
  • 同じスキルでも違う業務に強制移動
  • 結果として、派遣社員のキャリア形成が阻害される

【改革の方向】
3年ルールの柔軟化、雇用の選択肢を労働者本位に。

【既得権益】
労働組合(連合)、派遣会社業界。

⑨ 夫婦同姓強制――国際的に異例の制度

【根拠法】民法第750条

【現状】婚姻時に夫婦は同じ姓を名乗らなければならない。実態は約96%のケースで妻が夫の姓に変更している。

【何が問題か】

  • 世界で唯一、夫婦同姓を法律で義務付けている国
  • 女性のキャリア継続に支障(旧姓使用の煩雑さ)
  • 結婚をためらう原因の一つ
  • 少子化の遠因とも指摘される

【改革の方向】
選択的夫婦別姓の導入。希望する夫婦が別姓を選べる制度。

【既得権益】
旧来の家族観を守りたい保守勢力(ただし、これは「経済的既得権益」ではなく「価値観」の問題)。

⑩ 個人情報保護法の過剰運用――災害時の連絡共有さえ阻む

【根拠法】個人情報の保護に関する法律

【現状】個人情報の取得・利用には本人の同意が原則必要。違反すれば罰則あり。

【何が問題か】

  • 災害時に高齢者の所在情報を共有することすら難しい
  • 学校が生徒の連絡先を取得・共有しにくい
  • マンション管理組合が住民連絡簿を作りにくい
  • AI・データ利活用が他国に遅れる
  • 「個人情報保護」を名目に、組織が必要な情報共有を拒む

【改革の方向】
リスクに応じた段階的な規制。本人の不利益にならない情報共有は積極的に認める制度設計。

【既得権益】
個人情報保護委員会、コンプライアンス産業(弁護士・コンサル)。

共通する「変えるべき理由」

10の規制を見ると、共通する構造が見える。

古い規制が生き残る5つの理由
変わらない構造の解剖
① 既得権益団体の抵抗
医師会、薬剤師会、士業団体、タクシー業界、NHK等が政治献金と組織票で規制維持

② 官僚機構の自己保存
所管省庁(厚労省、総務省、国交省等)が権限を手放さない

③ 「公益」を装った保護
「国民の安全を守る」という名目で、実は特定業界の利益を守る構造

④ メディアが報じない
クロスオーナーシップやNHK制度はメディア自身の利益、報じる動機が小さい

⑤ 国民が気づかない
「ずっとそうだった」「当たり前」と思い込まされる。気づきが第一歩

結論――気づくことが、変わる第一歩

日本には、変わるべきなのに変わらない古い規制が無数にある。本稿で紹介した10個は、その代表例に過ぎない。

これらの規制は「公益」「安全」「秩序」という名目で守られている。しかし実態は、特定の業界の既得権益を守るための仕組みでしかないものが多い。そして、規制を維持するための声は政治献金と組織票という形で大きく届く一方、規制によって不利益を被る国民の声は分散し、聞かれない。

このシリーズでは、それぞれの規制を順次深掘りしていく予定だ。

医療法人の医師理事長限定はなぜ続くのか、医師会の力学
ライドシェアと日本のタクシー業界、規制改革会議の議論
NHK受信料の海外比較、スクランブル化の可能性
士業独占のAI時代における意義
公職選挙法のSNS規制と新興政党の戦略

判断は、読者に委ねる。

ただし、「気づかないから変わらない」という構造を見抜くこと――それが、規制改革の第一歩である。

オールドメディアは、こうした規制改革のテーマを正面から取り上げない(特に自分たちに関わる⑤⑥は決して報じない)。だからこそ、独立した分析・解説が必要になる。

主要ソース

医療法人の規制

ライドシェア・白タク

規制改革全般

士業・独占資格

NHK受信料・メディア規制

  • 本サイト姉妹記事「いまだに言論統制を目論むオールドメディア――各社の収入構造と言論統制の支持母体を解剖する」

コメンテーター1号

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