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消費税の真実─給料が上がらない本当の理由と、大企業だけが得をする仕組みをメディアは報道しない

話題性 ★★★★☆ 信憑性 ★★★☆☆ 共感性 ★★★★★

「消費税は消費者が払う税金だ」

ほとんどの日本人はそう思っている。レジで10%が上乗せされ、自分が払っている感覚がある。だからこそ「消費税を上げるな」と怒り、「消費税を下げてほしい」と訴える。

しかしこれは、半分しか正しくない。

消費税の本当の仕組みを理解すると、なぜ日本で給料が上がらないのか、なぜ大企業だけが消費税で得をするのか、なぜ政府はこの構造を説明しないのか──すべてのつながりが見えてくる。


まず「消費税の納税義務者は誰か」を確認しよう

消費税法を読めば、一行でわかる。

消費税の納税義務者は「事業者」だ。消費者ではない。

あなたがコンビニで110円の商品を買うとき、10円の消費税を払っているように見える。しかし法律上、その10円を税務署に納めるのはコンビニだ。あなたではない。

消費者が払っているのは「消費税相当額」を含んだ「商品の価格」であり、それを受け取った事業者が、自分で計算して国に納める。これが消費税の正確な仕組みだ。


消費税は「付加価値税」である

消費税の正式な国際名称はVAT(Value Added Tax)、「付加価値税」だ。

付加価値とは、企業が「仕入れたもの」と「売ったもの」の差額のことだ。パン屋が材料費100円でパンを200円で売れば、付加価値は100円。消費税はこの100円に対してかかる。

重要なのは、この付加価値の中に人件費(給料)が含まれているという点だ。

つまり──給料を上げると、消費税の負担が増える。

さらに、仕入れ先への支払いを増やすと消費税が控除(減額)されるが、人件費(給料)はこの控除の対象にならない。制度上、人を雇って給料を払うより、外注・派遣を使う方が税務上有利になる。これが非正規雇用を増やし、正規雇用を抑制するもう一つの構造的な力だ。


消費税:誰が負担し、誰が得をしているのか

メディアが報道しない消費税の構造

🏭 輸出大企業
消費税増税で恩恵

輸出品はゼロ税率+国内仕入れ分を還付

仕組み

消費税還付を毎年受領
税率が上がるほど還付増
経団連が増税に反対しない理由

推定規模

トヨタ単独で年間数千億円規模の還付と試算

実質的な負担

ほぼゼロ〜プラス
5%

🏪 中小企業・フリーランス
最大の負担者

価格転嫁できず消費税を「自腹」で負担

問題点

大企業からの転嫁拒否圧力
インボイスで実質増税
廃業・取引排除の圧力

インボイス制度の影響

数百万人の免税事業者が実質的な増税を強いられた

実質的な負担

売上の一部が消費税に消える
90%

👷 労働者・低所得者
逆進性の直撃

所得に関係なく一律10%・低所得者ほど打撃大

問題点

消費税=給料が上がらない構造
逆進性:年収200万も2000万も同率
非正規化を促進する税構造

賃上げとの関係

人件費は消費税の控除対象外→企業の賃上げ意欲を削ぐ

実質的な負担

低所得者は可処分所得の10%超
75%

🏛️ 国・財務省
説明しない側

「社会保障のため」と説明し構造は伏せてきた

報道されない事実

消費税導入後に法人税を大幅減税
消費税収=法人税減税の穴埋め
還付額の総額は非公表

数字

1989年 法人税40%→現在23.2%(消費税導入と同時進行)

透明性

構造的な説明はほぼなし
15%

※負担度バーは筆者による相対評価


なぜ日本だけ給料が上がらないのか──消費税が作る賃上げの罰則

バブル崩壊後、日本の実質賃金はほぼ横ばいが続いている。アメリカ・ドイツ・フランスが1990年代比で1.5〜2倍に賃金が上昇している中、日本だけが取り残された。「デフレだから」「企業が内部留保を溜め込んでいるから」という説明もあるが、消費税の構造がこの問題を深く作り出していることはほとんど語られない。

人を雇うより外注・派遣の方が「得」になる仕組み

消費税の計算では、仕入れや外注費を支払うとその分が「仕入れ税額控除」として消費税から差し引かれる。しかし従業員に払う給料は、この控除の対象にならない。

具体的に考えてみよう。ある仕事を、正社員に月30万円の給料で任せるか、フリーランスに月33万円(消費税3万円込み)で外注するか、という選択があるとする。

正社員なら月30万円の人件費で消費税控除はゼロ。外注なら月30万円+消費税3万円を払うが、3万円分は消費税から控除できる。企業側から見ると、外注にした方が実質的な消費税負担が減る。さらに社会保険料・退職金・有給休暇などのコストも不要になる。

消費税の仕組みが、「正社員を雇うより外注・派遣を使え」というインセンティブを制度的に作り出している。これが非正規比率40%の一因だ。

数字が示す「賃上げへの罰則」

売上1億円・仕入れ4,000万円の企業が人件費を年間500万円上げたとする。消費税(600万円)は変わらないが、利益は500万円減る。利益が減れば設備投資ができず、次の賃上げの余力も失われる。

一方で外注費を500万円増やした場合、消費税の控除が増えるため消費税負担が約50万円減る。企業の手元に残るお金は、人件費を上げた場合より多くなる。

人件費を上げる→利益減・税務上の恩恵なし。外注・派遣を増やす→消費税控除で実質コスト減。この非対称性が三十年間続いた結果が、実質賃金の停滞と非正規比率の拡大だ。消費税は「消費者が払う税」と説明されてきたが、実態は「企業が正社員を雇い、給料を上げるほど不利になる税」として機能してきた。


輸出大企業だけが「丸儲け」する還付制度

消費税は国内の取引にかかる税で、輸出品にはかからない(ゼロ税率)。しかし輸出企業は国内で仕入れるとき消費税を払っている。この「払ったけど売上に消費税がかからない」分は税務署から還付される。

トヨタ自動車は消費税還付で毎年数千億円規模の還付を受けていると試算されている。消費税率が上がるほど、還付額も増える。消費税増税は、国内の消費者と中小企業が痛みを負い、輸出大企業は恩恵を受ける構造だ。

経団連(大企業の業界団体)が消費税増税に反対しないのは、この構造を知っているからだという指摘は以前からある。消費税は「社会保障のための税」として国民に説明されてきたが、輸出大企業への還付という「隠れた補助金」として機能してきた側面がある。


中小企業と消費者が実質的に負担している

中小企業・個人事業主は、大企業との取引で「消費税分を値引きしろ」という圧力(転嫁拒否)が長年問題になってきた。下請け中小企業は消費税を「かぶる」ことが常態化していたケースも多い。

消費税は所得に関係なく一律にかかる「逆進性」の高い税だ。年収200万円の人も年収2,000万円の人も、同じ10%を払う。低所得者ほど消費に占める税負担割合が高くなる。

そして消費税導入(1989年)以降、法人税の税率は40%から23.2%へと大幅に引き下げられてきた。消費税収入の相当部分が、法人税減税の穴埋めに使われてきたという指摘は、財政学者の間で繰り返しなされている。


インボイス制度が中小・フリーランスをさらに追い詰めた

2023年10月から導入された「インボイス制度」で、年間売上1,000万円以下の免税事業者・フリーランスは「インボイスを出せないなら取引しない」「消費税分を値引きしろ」という圧力にさらされた。課税事業者になれば消費税を納税しなければならない。この二択を迫られた数百万人の小規模事業者が、実質的な増税を強いられた。


なぜこの仕組みはメディアで報道されないのか

消費税の本当の仕組みは難しくない。知れば誰でも理解できる。にもかかわらず、テレビや新聞でこの構造が正面から報道されることは少ない。

大手メディアの広告主の多くは大企業だ。消費税還付で恩恵を受けている輸出大企業は、メディアにとって重要なスポンサーでもある。また「消費税は消費者が払う税」という誤解が広まっている方が、増税への批判が「消費者の感情論」として処理されやすい。


本当に必要な議論とは何か

消費税をめぐる議論は「上げるか下げるか」に終始しがちだ。しかし本質的な問いはそこではない。

給料を上げた分だけ消費税が減る「賃金控除方式」に変えられないか。輸出大企業への還付に上限を設けるべきではないか。低所得者への給付付き税額控除など、逆進性への直接的な対応が必要ではないか。

消費税は「社会保障のための税」として導入された。しかしその恩恵が誰に届き、誰が負担しているかを正直に問い直す議論は、三十年以上避けられてきた。

レジの前で「また10%か」と思うとき、その怒りの矛先は正しい場所を向いているだろうか。


あくまでも個人の見解です。

コメンテーター1号

世の中のニュースに、一個人の視点でコメントしています。情報の真偽は読者各自でご判断ください。